ヘルシンキ、アアルトツアー 1 スタジオ(Studio Aalto)
上映中の映画「AALTO」を見て、かつて訪ねた場所を懐かしく思い出すと同時に、アアルトの人生や人柄を知って、アアルトがもっと好きになりました。
ヘルシンキ北西部にあるアアルトのスタジオ、次の記事でオフィスも兼ねていた自宅の訪問記を書きます。どちらも予約でガイドツアーに参加することができます。
自宅兼スタジオが手狭になったため、アアルトは1955年に自宅から歩いて10分のところに新しいスタジオを建てました。 閑静な住宅街にあり、うっかりすると通り過ぎてしまいそうです。
白壁に木製のドア、足元のレンガ。シンプルで素朴だけれど素敵な組み合わせです。
野外劇場のような扇型の中庭を囲んで、L字型にスタジオが建てられています。庭の図面をみると、中庭の段差は元々の高低差を生かして作られたのでしょうか。
真っ白なアトリエ。 美しい!!
アルテック社の名作家具がそこかしこに並び、蔦が這う壁には、曲げ木のサンプルがかかっています。
このアトリエで家具や照明のプロトタイプの検証が行われていました。
隅っこのティートロリーに挨拶をして、2階の製図室へ。
これは広い! 片側に傾斜した天井が太陽光を反射して、明るく開放感があります。
現在はアアルト財団のオフィスとして使われています。
私的には、こんな紙の質感もたまりません。 建設会社の設計部にいた知人が、「納期ギリギリの日付で図面を発送しようと、深夜に中央郵便局に駆け込むと同業者によく会う」と言っていたけれど、それももう昔話ですね。
アナログな道具も良いなあ。
ミーティングルーム。 棚に保管されている図面の箱がオブジェのよう。
アットホームな雰囲気の食堂。 見学者はまずここに通されます。席に座って開始を待っていると、大勢の社員で食堂がにぎわっていた頃が偲ばれました。
食堂の食器棚は、裏のキッチン側からも使えるようになっています。
中庭はまさに古代の野外劇場。白と緑のコントラストが美しい。
次は10分ほど歩いてアアルト自邸へ行きます。周辺にはため息のでるような邸宅が並んでいました。
スタジオのすぐ隣にあるムンキニエミ図書館に寄ってみました。ほとんどの方はスタジオと自邸の両方を見学すると思いますから、こっそり時間調整するのに良いです。
典型的な地域図書館。 いつオープンしたのか分かりませんが、アアルトの子供たちも通ったのかしら?
Reading Dogのネラちゃんも来るんですって♡ ワンちゃんに読み聞かせ出来るなんて楽しいワン♪
映画「Aalto」の監督であるヴィルピ・スータリ(Virpi Suutari)さんは、子どもの頃、アアルトが設計したロバニエミ図書館に足しげく通い、控えめな美しさに魅了されたそうです。
フィンランドでは、どの家庭にも一つはアアルトの製品があると言われ、学校や公共施設でもアアルトの家具が使われています。
これほど国民に浸透した建築家は稀ではないでしょうか。
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