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人は機械ではない! ~変動をどう捉えるか~

こんにちは! あたたけ です。

前回に引き続き、
『レジリエンスエンジニアリング』『Safety-Ⅱ』の話です。

最初におわびです。
前回の記事で参考資料が抜けていました。申し訳ありません。
※前回記事にも追記しました。

レジリエンスエンジニアリングが目指す安全
Safety-Ⅱとその実現法
北村正晴 著


前回は(私なりの)概要の説明でしたので、
今回はそれを踏まえての私が感じたこと、考えたことなどをまとめます。

まずは、改めて言葉の定義から。

Safety-Ⅰ
・『安全』とは、ダメなことが起こっていないこと、
 決めたことをきちんと出来ていること。
 ⇒悪い結果が出来るだけ低い状態が『安全』
  安全のためには、『うまくいかないことを防ぐ』。

Safety-Ⅱ
・『安全』とは未然防止に加え、危険な状態からの回復、
 損傷を受けた機能の復旧までを、状況に応じて対応できること。
 ⇒成功の結果が多い状態が『安全』
  安全のためには、『ものごとがうまく行くことを確実にする』。
・そのためには、臨機応変に対応できるよう、
 柔軟性・復元力(レジリエンス)を持つことが大切

現在の食品安全の考え方は、
『ルール・基準で管理する=Safety-Ⅰ』が主流です。
ルールがないと作業ができないという前提で、
事故が起こらないようなルールを決める、
事故が起こったらルールの見直し・追加をする、
従業員は決められたとおりに作業すれば良い、って感じでしょうか。
考え方のベースは『変動をなくす』ということです。

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でも、変動ってなくせるの?という疑問
(というより、変動を失くすことは非現実的という現状認識)が、
Safety-Ⅱに繋がっていると思います。

変動をなくすことが不可能な理由には以下のようなものがあります。
人は、全く同じ指示があっても個々が実際にやることは少しずつ異なる。(モラルや人格、環境、さらにはその日の気分などによる)
作業環境も日々異なるのが普通。
 (温度・湿度から原料ロット、設備の摩耗度まで常に変化する)
・ルールや基準を作る人は、現場で起こりうること全てを
 想定することは出来ない

 ⇒ムリヤリ想定することで、膨大なルール、非現実的なルールに繋がる。
 ⇒膨大&非現実的なルールは誰も守らず、やることがバラバラになる。

品質管理・食品安全担当の立場からしたら、
『事故を起こしたら会社の危機に繋がるから、完ぺきなルールを作る。
 現場担当者はゼッタイにルール厳守(人として守るのが当然)。』
と言いたくなるのは良くわかるのですが、
膨大&非現実的であれば、ルールを守らせようとするほど、
現場はルールを守らなくなるという悪循環が起こりそうですね。
(作った側ですら全てのルールを把握していないということも。。。)

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実際、いろいろな方とお話させていただくと、
『現場がルールを守らなくて困る』という意見が多くあります。
が、そういう方が目を逸らしている(けど、ホントは気づいている)のが、
現場は思っている以上にルールは守ってない、
 でも事故は起こっていない
』という現実です。

『このままだと、いずれ大きな事故が起こる』ということも言われますが、
『そんなに大事なルールを守っていないなら、
 既に事故が起こっているのでは?』と思ったり思わなかったり。

なぜ事故が起こらないのか?

まず一つは、ルールが過剰というやつですね。
そもそも完ぺきに守らなくても大丈夫なルールって、、、
この話はまたの機会に。

もう一つ考えられること、これがSafety-Ⅱに繋がるのですが、
状況に合わせて、現場の人が、なんとなく調整をしている
ということが実はけっこうあるのでは?と思うことがあります。

例えば、汚れたもの(食材のダンボール箱など)を触ったあと、
ルールでは、『マニュアル通りに1分手洗い』だけど忙しいからしない。
でも、とりあえず、手指にアルコールはした、とかですね。

作業環境や状況の変動に合わせ、人も変動して、おおよそうまく処理する、
人間の柔軟性を活かして、システムの柔軟性・強靭性を実現する
というのがSafety-Ⅱの狙いなのかなと思います。
(Safety-Ⅰでは、人の柔軟性は変動の要因(≒悪)となり、制約される)

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Safety-Ⅱによる安全を実現していくためには、
以下の2つがポイントなのかなと個人的には考えています。
①Safety-Ⅰ『ゼッタイに守ること・ゼッタイにやらないこと』を示す。
 ⇒今までの取り組みで行っていることがベース。過剰なことをなくす。
②Safety-Ⅱ『良い・悪いの判断できる知識』を現場の人に伝えていく。
 ⇒判断のベースとなる知識を教育する。

それでは、今回はこの辺りで!

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