HACCPを上手く使うために㉖ ~原則5 是正措置 草を刈る?根っこを抜く?~
こんにちは! あたたけ です。
前々回は『CCP工程の管理がうまくいったかの判断基準』である
CLについて、
前回は『CCP工程の管理がうまくいったかの確認方法』である
モニタリングについて考えました。
今回は『CCP工程の管理がうまくいかなかった時の対応』となる、
『原則5(手順10) 是正措置』について考えます。
まず初めに、『是正措置』って日本語では様々な呼ばれ方をしています。
是正処置、改善措置、逸脱時の対応、修正、是正、、、、、
『corrective action』および『correction』の日本語訳次第ですね。
言葉の統一(≒認識の統一)は大切なことですが、
残念ながら、すぐに日本全国で統一というのもムリでしょう。
ということで、まずは、是正措置の基本?本質?である
『是正措置には2つの側面(モノへの対応、原因への対応)がある』
ということを理解しておきましょう。
『除草』で例えることもありますね。
地面から上の草を刈ること(≒モノへの対応)と
地面の中の根っこを抜くこと(≒原因への対応)の違いという感じです。
まぁ、この例えは、『モノへの対応の軽視』に繋がりかねないのですが。
HACCPに限らず『原因への対応』というものを軽視している場合に
『上の草だけ刈っても、また、すぐに生えてくるで』と
注意を促す?ダメ出しする?ために使う例え方ですね。
なんにしろ、『是正措置の2つの側面』が理解出来ていれば、
いろんな呼ばれ方、書き方をされたとしても、
『このことを言っているのか!』と気づくはずです。
ちなみに、あたたけは以下のように言葉を使っています。
【是正措置】CCP逸脱時に行う一連の作業(広義の是正措置)
特に、原因への対応を指す(狭義の是正措置)
【修正】 CCP逸脱時のモノへの対応
昔は、上から順に『改善・是正・修正』としていましたが、
ISOの定義などなどを踏まえ、この辺りが無難かな?としています。
さて、前回、『原則3 CLの設定』『原則4 モニタリング』にあわせ
『原則5 是正措置』も一緒に考えるのが良いと書きました。
これらは全て『CCP工程での具体的な管理手段』に関わるものだからです。
是正措置から見た、CL、モニタリングというものを考えてみましょう。
まず、CLについてです。CLの記事で、
CLとは別に、作業上の限界となる基準値(OL:Operation limit)を
設定することが望ましい、というようなことを書いています。
OLを設定する狙いは『CL逸脱の可能性を減らすこと』ですが、
これは『安全性の向上』だけでなく、
『生産性の向上』つまり、『是正措置(特に修正)』を減らすことも
大きな目的です。
ですので、『OLを設定している場合』には、
OL逸脱時とCL逸脱時で対応を変える必要があります。
具体的には『OL逸脱時は(出来る限り)修正をしない』ということです。
『OL逸脱も全てアウト』とするのであれば、あまり意味がありません!
ただし、OL逸脱時の是正措置(原因への対応)については、
『ほっておくとCL逸脱に繋がる可能性がある』ことを踏まえ、
取り組んでも良いかもしれませんね。
続いて、モニタリングについてです。
まず、『モニタリングの頻度』が『修正の範囲』に直結します。
HACCPでのモニタリングは『連続的に』行う、つまり、
『全数、もしくは(バラツキを考慮し)全数と見なすことができる頻度』
で行い、全数の安全性確保に繋げます。
ということは、逸脱した際のモノへの対応(修正)は、
前回モニタリング分までさかのぼって行う必要があります。
現場での負担を考えると、
出来る限りモニタリング頻度を少なくすることが望ましいです。
それは間違いありません。
が、その裏には『逸脱時の修正が多くなる』というものがあると忘れずに!
(なので、逸脱を防ぐため、なるべくブレをなくしたいものです)
また、『何をモニタリングするか』によって、同じような対応でも、
修正と是正措置の区分が変わる(とされる)ことがあります。
あたたけは、修正を『CCP逸脱時のモノへの対応』としていますが、
ISO22000での『修正』の定義をざっくりまとめると
『不適合を除去するための処置、
安全でない可能性がある製品の処理含む』というものです。
ですので、加熱工程でのモニタリングを
『中心温度(※あたたけがおススメしていない!)』とした場合には、
修正はモノへの対応、
つまり製品に対する措置として、廃棄、再加熱など、
是正措置は原因への対応
つまり工程に対する措置として、設定確認⇒ミスを正す、条件変更など、
となります。
が、モニタリングを
『加熱温度(※あたたけがおススメしている!)』とした場合には、
『加熱温度の設定ミスを正す』という行為は
定義の上では『修正』の方が正しくなります。
この辺りは、けっこうな自己矛盾を感じてはいるのですが、
あたたけとしては、ISOでの定義を都合よくマルっと無視して、
修正 :モノへの対応、主に製品に対する措置
是正措置:原因への対応、主に工程に対する措置
というものが、わかりやすいのかなぁと考えています。
それでは、今回はこの辺りで!
次回は『原則6(手順11)検証』です。
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