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HACCPを上手く使うために㉔ ~原則3 CLの設定 基準⇒判断の速度・精度を踏まえる!~

こんにちは! あたたけ です。

前回は『CCPをいかに管理するか』について、
いわゆるCCP整理表とはどのようなものかをまとめました。

ということで、今回はCCP整理表の中、
HACCPの『原則3(手順8) CLの設定』です。

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CL(critical limit:許容限界)ですが、
一言であらわすと『CCP工程の管理がうまくいったかの判断基準』です。

判断の具体的な方法は『モニタリング(原則4)』になりますが、
モニタリングは『リアルタイムに全数相当を行う』ことが必要ですので、
CLも『リアルタイムに全数相当で判定できるか(速度)』を考えましょう。
また、『正しく判定できる(精度)』ことも当然ですが大切です。
ですので、『数値でわかるもの』が
リアルタイムでわかり、かつ、間違いにくい
つまり、速度と精度の視点から理想的なものとなります。

ただし、全てのCCPを必ずしも数値で判断できるとは限りません。
食品は『原料のブレ』が大きいこともあり
熟練者が見た目や音で判断する方が、精度が高いこともあります。
『職人さんが天ぷらを揚げ上がりの音で判断する』とかですね。

このように、数値でないもの(見た目、音など)をCLにすることも、
『リアルタイム(速度)』という観点から見ると何も問題ありません。
『判定を間違わないか(精度)』という問題を解決できればOKです。
解決策としては『担当者の力量評価』がベストだとあたたけは思います。
てゆーか、他に策はないような。。。。。。

極端な話ですが、『職人が作業すること自体がCL』としても
管理ができるかもしれませんね。
『測定』をどのように捉えるのか次第ですが、、、、、
『金属検出器を全数通過』をモニタリングするのであれば、
『職人さんが全数調理』もモニタリングできると思いますけどね。

『誰でもわかるCLの設定』に労力をかけるのか、
『高い力量が必要なCL』とし『教育⇒力量評価』に労力をかけるのか、
それはその組織の考え方次第で、正解はありません。

あたたけは、後者の方が美味しいものができると思いますが、
逸脱に気づかない可能性の高さが不安ではあります。
まぁ、これは素人考えで、職人、ベテランと言われる方々からすると、
間違う訳がない!と言われそうなんですけどね。
(出来上がりのブレがないのが、
 そもそも職人として必要な力量なのでしょうね)

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さて、CLを考える際には、根拠を明確にすること、
つまり、『そのCLで安全が実現できる妥当性を示すこと』が大切です。

食中毒菌の管理を考えますと、
『食中毒菌がいない』が『安全』という意味では確実な基準です。
が、これは『リアルタイム』という点では適していません。

なので、『安全(ここでは、食中毒菌がいないこと)』に対し、
『リアルタイムで確認できる事項』は何があるかを考え、
その事項が安全に結びついていることを示す(確認する)ことになります。

これを満たすものとして、
加熱工程でよく言われるのは『中心温度』という事項です。
が、あたたけは『不可能ではないが、負担が大きい』という意味で
『リアルタイム・全数相当って難しくない??』と考えています。
(状況次第ではありますが。。。。)

ということで、あたたけは加熱時間などなどの設定をおススメしています。
ただし、『中心温度』という1つの要素に対し、
加熱に関わる要素は複数存在する、つまり、
複数の要素で基準を決める必要がある
ことを忘れないように!

『CL(および関連する基準)の設定』に労力をかけるのか、
『モニタリング』に労力をかけるのか、
それはその組織の考え方次第で、正解はありません。

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さて、CLに関してもう1つ考えていただきたいことがあります。
CLとは『安全上の基準』と言えますが、
『作業する上での基準』も必ず同じにしないといけないのでしょうか?

商品価値(味・見た目)の確保やCL逸脱の可能性を減らすことを考えると
CLとは別に、作業上の限界となる基準値(OL:Operation limit)を
設定することが望ましいと思います。
特に、中心温度等の『一定になりにくい実測値』の場合は
CLだけで考えると、『逸脱⇒廃棄』とか『過加熱⇒美味しくない』が
多数発生する気がします。
安全は大切ですけど、そのために、
『おいしさ』とか『利益』を損ねてしまっては、
事業として問題がありますよね。

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それでは、今回はこの辺りで!
次回は『CCP整理表』の『原則4(手順9)モニタリング』です。

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