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ライトノベル新人賞を受賞して、できなくなったこと

割引あり

私は川崎中と申します。かわさきあたりと読みます。
10年ほど前にライトノベルの新人賞を受賞したことがあります。
ただその後は一切結果が出ず、商業出版とは無縁の人生を送っています。

noteでは、あの時なぜ受賞できたかの検証と、その時のやり方を言語化すれば改めて受賞できるのかの挑戦を行っていきます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。


私は受賞作をどう書いたか

私が新人賞をいただいたのは、自身2作目の長編小説でした。
その作品以降も何作品も長編を仕上げていますが、結果が出ないままいつの間にか10年以上が経ちました。

2作目を思い返せば、何とか書いたな、というのが本当のところです。
元々掌編ばかり書いていた自分は、長い文章を書く執筆体力もないし、まとめる構想力もありませんでした。

更に、どんな物語が長編になるのかという発想も乏しかったため、突飛なハイファンタジーを書くような挑戦もできませんでした。

一方で、現実をガチガチに書いて人の心を動かすような物語を書く自信もありませんでした。

歴史スペクタクルを見せられるような学習能力もありません。

ただし、それらがラノベ新人賞において絶対に必要ではないこともまた知っていました。
当時新人賞作品を読み漁りましたが、むしろそうではない作品が多かった記憶があります。(歴の長いプロの方の作品はまた別の傾向があるとは思います)

要するに、現代日本ベースだが、完全に現代日本ではなく、ちょっとしたファンタジー要素が混じっているような作品です。

これであれば、

  • あまり資料を漁らなくて良い
     → 現代日本という設定の細かい部分は読者の頭の中にある

  • 見せ場を作りやすい
     → 現実ではドラマチックな場面などそうそうないが、ファンタジーなので作り放題

  • 複雑なプロット・表現不要
     → ハイファンタジーのように複数の設定が絡み合う必要がない

などなど、まだまだ色々あると思いますが、作品を作りやすい要素が目白押しです。

当時、自分自身にはそんな細かい判断はなかったと思いますが、私はなんとなく書きやすそうという理由で現代日本ベースのワンポイントローファンタジーを書くことにしました。

また、先述の通り私は新人賞の作品を読みあさっていました。
そうすると、その中でも出来の良い作品、もう一歩の作品、様々な作品に出会うことになります。私は角川スニーカー大賞に応募したのですが、直近の他賞で現代日本ベースのローファンタジーで面白い作品があったので、それをパクった参考に書いたという部分もありました。(そうであったとしても、同じように面白い話を書く技術は到底ありません)

まとめると私は、新人賞作品の中から書きやすそうな作品を見つけ出し、自分の書きやすいように書いたということかな、と思います。

上手くなるにつれて、やらなくなっていくこと

2作目、そうやってなんとか作品を仕上げた私は、それっぽい出来の作品が書けたことで自信を深めました。
そうすると、次はもっと難しい作品を書きたいな、と思うようになりました。

だから、3作目にはハイファンタジーを書くことにしました。確か、子供達の血が高級な画材になる世界観の設定で、将来画材となる運命の少年少女の話でした。
ややこしくダークな設定で書きがいがあり、世界観も中世ヨーロッパ的にしたかったので図書館で資料を読みつつ書きました。

しかし、元々中世ヨーロッパに知見のない私の初ファンタジーは稚拙だったとは思います。
でも、大満足です。
自分が作り出した、全く別世界の話を書き切ることは、書き手として本当に冥利につきることなのだと思います。

そして、4作目は現代日本の学園ものですが、各クラスがプロ野球のドラフト制度のようなもので生徒を入れ替えていき、最強のクラスを作る、みたいな話を書きました。いえ、単に私はプロ野球のドラフトが好きなのです。

これも、独自のルール説明や複雑なやりとりのある話で、尚且つ自分の趣味を入れこめたので書くのが大変楽しかったことを覚えています。

4作目を書いた後、私は2作目で受賞し、2作目のリライトと打ち切りの決まった2巻の執筆をすることになりました。

これは、本当にプロ意識が欠如していると思うのですが、大変つらい作業でした。
チャレンジしていない範囲の話で、尚且つ自分以外の誰かの意見を汲み取って書くという初めての経験。

私は別に、担当編集様に何か指示を受けてもそれを混ぜ込んでより良い話を書くことなんて簡単だと、受賞前は思っておりました。でも実際やるそれは、事前に思い描いているよりもはるかに難しいものだったのです。

担当編集様の指示が間違っているから辛い、というわけではないのです。現に、受賞時の状態と出版後の状態を読み比べて知人は出版後の方がずっとよくなっていると言っています。

ただ、自分の思い通りに作品を進められないのが辛いのです。そんなこと、私は知らなかったのです。

私は角川に赤字を残し、それからなんだかかけない時期が続きました。恐ろしいもので、パソコンの画面に向かって執筆しようと思うだけで辛くなってしまうので全然筆が取れませんでした。

でも、私はそもそも小説家になりたい。その思いはまだ潰えません。
だから、徐々に書き始めました。

書きたいものを書きました。
チャレンジしたものを書きました。
それしかできなかったからです。

そうすると、少しだけ書けるようになってきます。徐々に感覚を取り戻し、思い通りに書けるようにもなってきます。

しかし、私は次のことはやれませんでした。

  • 他人の作品を強く参考にすること

  • 書きやすく、コントロールしやすい作品を書くこと

  • 市場分析から作品を構想すること

だってそれはそうですよね?
自分の趣味的な作品を、自分なりにチャレンジして書くほうが楽しいに決まっているじゃないですか!

そして、たくさんの有名作家様方がチャレンジングな作品を書いて、あれほど世間に受け入れられ、それで生計を立てているのです。

私のなりたい作家像は、大変身の程知らずながらそれでした。
マーケットインで何とか食い繋ぎ、書きたいものを押し殺してまでものを書くというプロ意識が、私には一向に育ちませんでした。

さて、私はこの振り返りが正しいのか気になります。
私がプロ意識を持って、上記の意識で作品を書いたら果たして受賞できるのか、それに挑戦してみたいのです。

その挑戦が成功するか失敗するかわかりませんが、なるべく詳細に過程を共有していきますので、どうかお付き合いいただければ幸いです。

コンテンツはここまでですが、以降はちょっとだけ隠したい部分を有料にさせていただきます。

  • 私が当時パクった参考にした新人賞受賞作

を公開いたします。
その内容に興味がある方、またこの活動を応援してくださる方にご購入いただければ幸いです。

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