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価格の決め方

昔、つきあっていた方(←このくだりはどうでもいいなw)がコンサルティングファーム出身だったのだけれど、「価格の付け方は大企業の社長でも悩むんだよ」と聞いた言葉が今でも頭を過ぎる。

フリーランスになったときも、あまり市場がないサービスだったので、「キャリアカウンセリング」に個人がどれくらいお金を払ってもらえるのか?を悩んだし、経営者コーチングの料金設定も悩んだ。

自分の価値、自分が提供する価値が何か?を考えるし、相手がその価値をどう受け取るのか、未知なるサービスの場合、悩む。顧客としたい方々がそれにどのくらいの価値を感じ、どのくらいの懐事情なのかも悩む。

そして今だと、単発でお金をいただくか、サブスクにするのかなど、お金のいただき方も考えねばならない。

CLUB HUBlicの価格決めも悩んだ。コワーキングスペースとして捉えて会費をいただくのか、でも、私の提供したい価値はそこではない。実際に会員さんのほとんどがワークスペース利用は週一回程度。違う価値だから、今度は高い料金設定にするのか?それも違うし、それでは顧客がそもそもいなくなってしまう。

コストから考えないというのは自分の中ではとても重要なことで、コストから考えると割りに合わない商売であることは最初からわかっている。賃料高めな設定だし、箱が狭いので、コストを考えて会員数を増やしてしまったり、料金を高くすると満足度が下がると感じるからだ。

一般会員の価格は近隣のコワーキングスペースと同程度に抑えた。が、箱(ワークスペースとしてのハード面)は他のスペースの方がいいので、箱としての価値だけではない価値を感じてもらう必要がある。

よって当スペースは、会員になると、ライブラリーの貸し出し、コピー(プリンター)、テプラなど備品は無料となる。かつ会議室予約が月10時間利用できたり、貸切する権利があったりと、別の価値を提供している。なんならドリップコーヒー(シェア店舗内にあるクアルトさんのドリップバッグ)も無料で飲めるし、各種ティーバッグも用意していて、お茶なども飲み放題。ミニキッチンも使える。

そして一番の売りは、コラボレーションにつながるコミュニケーションが生まれる仕組みを設計したり、仕事自体をこちらが創出するなどの支援を行っている。

そして、オプションとして、バックオフィス機能(総務・経理・広報など)がアウトソースできるサービスやコーチングサービスが会員特価で受けられる。CLUBで行うイベントや講座も割引がきく。

もともとの一般会員の会費が1万円(税込)/月で初期費用もなし。その代わり、バックオフィスサポートが5千円(税込)/月、コーチングが5千円(税込)/月なので、トータルで2万円(税込)/月となる仕組みにしている。必要なものを必要なだけ受けられるように設計した料金設定なのである。

かつ、熱海で働く若い人たちは所得が低く、寮にWi-FiもなければPCも持っていない人が多い。スマホの中だけがインターネットに接続されている世界だが、やはり資料を作成したり、動画を見たりはなるべく大きい画面で見たいよねと。

なので、会社員、若手の方向けのプランも走らせる。18:00-9:00というプランである。このプランは会社員の方が朝使ってもらったり、仕事帰りによって本を借りて帰ったり、調べ物などができるようにつくったプランである。ナイト会員は4,000円(税込)/月。会員には、パソコンも使えるように、数台、入荷した。本も借りれて、パソコンも借りられる。手ぶらで来て仕事して帰れる。Googleドライブなどを活用すれば、PCを共有することも手軽にできる。(一応Officeも入っているけれど、Googleドライブの使い方の方が汎用性が高いかなと思い、そちらを推奨)

一般会員の夜利用が少ないこともあるので、ナイト会員は安い料金設定が実現できたことと、ここでスキルUPしてもらい、自分の可能性を開いてくれたら、それは熱海の未来への投資でもあるので、この価格でOKなのである。

最初から安くするのではなくユーザーインタビューして、いくらなら、即決して払えるか?ということと、こちらがここで感じてほしい価値が一致していればそれでいいのだ。

スマートロックの入室記録などを見ながら、どの時間帯が混雑するかも分析しつつ、土日利用が少ないので、ホリデー会員の金額を少し安くしてもいいかなと思ったりしながら価格調整を行っている。

「誰に対して
何の価値を提供し
相手が何を価値と感じて
対価を支払うのか?」

相手の置かれた今の状況と未来の状況を想像し、今の価値なのか、未来価値なのかも判断する材料としている。そして投資なのか、コストなのか、備品を買うにも1つずつ考える。
PCを数台用意することはコストではないと思っているので即決で買う。それによって、若い人たちが当CLUBに来て、学び始めてくれたらそれが一番見たい景色だからだ。本だけではなく、漫画で読むビジネス書のシリーズや、ボードゲームなどでビジネスが学べるように、そういうものも入荷する。顧客に対して徹底的に寄り添うとそういうサービスになるのだ。

料金が安いから入ってくる会員さんのためではなく、ここに来てほしい会員さんが気持ちよく払える金額を設定しているので、同じ4,000円だとしても考え方は違うのである。

という、当社の価格設定の考え方。普通かなw
ただ、料金が安いよねと言われるので、私なりの考え方を書いてみました。なので、料金が安いからと言って使われるのはイヤなので積極的な会員募集はせず、審査・面談が必ずある。こちらから声をかけて、ここで働いてほしい方には営業して来てもらっている。

手間も時間もかかるのだけれど、そんなやり方をしています。

2021.7.3の熱海伊豆山の災害により、コロナ禍であることも含め、熱海で働く若者たちの環境はより悪化していきます。そんな若者の自律支援にいただいたお金は使わせていただきます!いつもサポートありがとうございます!