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なぜこんなにもラジオが愛おしいのか

ラジオがとにかく大好きだ。

出会ってまだ1年数ヶ月なのにもかかわらず、わたしは毎日ラジオを聞きまくっている。ラジオと出会う前の生活は、もはや思い出せない。

では、私はラジオの何にそんなに惹かれているのだろうか。
私が思うラジオの魅力とは、以下の5つだと思う。

魅力1「世界を広げてくれる」

RadikoのCMのコピー通り、ラジオは私の世界を広げてくれた。

今まで興味のなかったお笑い番組や映画を見るようになった。
世の中のあらゆるニュースを聞いては、
あのパーソナリティならどう話すだろうか、と考えるようになった。
ラジオを通して好きになったアーティストのファンクラブに入った。
ラジオの世界を介して様々なものに興味を持つようになった。

多種多様のコンテンツが溢れかえっている時代。
だからこそ、自分の知らないジャンルに触れるハードルがかなり高くなっていて、結果として自分の好きなものばかり選択してそれを消費する傾向にあるように感じる。だけどラジオは自分の興味のないジャンルのものを知るきっかけを与えてくれて、それに触れるハードルも下げてくれる。
私にとって、「お笑い」と「映画」がそうだった。興味がない、ハードルが高いものだったけれど、ラジオでパーソナリティが話題にしているのを聞くと、見てみようかなという気持ちになれた。それが新しい「好き」を生み出すことにも繋がっていた。

魅力2「あらゆる人に出会える」

世の中には本当に色々な人がいるのだということを知ることができる。

日常生活の中では「類は友を呼ぶ」というように、似たような環境で生活している人とばかり交流する。極端な話、その自分の周りのような人しか世界にはいないと思ってしまう。でもラジオを聞くとパーソナリティやゲスト、リスナーの言葉から、世の中には本当に色んな人が色んな生き方をしていることに気づけるし、自分とは全く重なりあうことのない人の人生や生活を覗き見ることもできる。
中でも「空気階段の踊り場」の「サラリーマンじゃない人の声」というコーナーがとにかく大好きだった。

ラジオは、小説よりも生々しく、ドキュメンタリーよりも身近なのだ。

さらにラジオを聞いてると自然と「何かのプロ」に出会える。
90年代のロック音楽の批評家だったり、美容関係の人だったり。普段の生活の中で自分の興味の範囲外のことであったら、その話題に自ら触れようとは思わない。だけどラジオは受動的だからこそ、そういうプロに抵抗なく出会うことができる。しかも、プロが話す言葉には「熱」がある。
私にはわからない、その人を惹きつけるなにかがあって、惹きつけられた人が熱を持って話す話は、どれも聞いていて面白いのだ。

魅力3「その人の中身に触れることができる」

「音声のみ」ということは、その人の外見よりもファッションよりも、その人の言葉から垣間見える「中身」が一番の判断材料になる。

普段テレビの映像や実際に対面で会う時は、どうしてもその人の見た目の印象に大きく左右されてしまう。第一印象でその人の中身をジャッジして何となく「この人はこういう人かかな」と決めてしまうことが多い。それで「私とは気が合わないかも…」と話すのをやめてしまうことも往々にしてある。しかし「話してみたら意外と気が合った」なんてこともたくさん経験してきた。
その点、ラジオは人の外見など関係なく、初めからその人自身の考え方や生き方を言葉から知ることができる。「ラジオでついたファンは離れない」ということをよく色々な方が言っているが、それはまさに、その人の外見ではなく中身に惹かれたからだろう。

魅力4「今、この瞬間を共有できることの面白さ」

ラジオでは、その日のニュースや出来事を家族や周りの人と話すだけでなく、全国のあらゆるリスナーやパーソナリティと共有できる楽しさがある。

ラジオに参加している人の分だけ、トピックに関する意見を聞くことができる。例えばM1の時期が近づくと、色々な芸人さんが自分たちのラジオでM1について話す。生放送の番組で、その日のテーマについてリスナーが色々なメールを送ってくることも同じ。そのテーマに自分では気づきもしなかった角度からのコメントを聞くたびに「そんな見方もあるのか!」と毎回、驚かされるのが面白い。
そして、それを聞きながら自分もそのトピックについてより関心を持てるようになる。ラジオでは、ネットのように適当にモノを言うのではなく、一回自分の中で整理した上で意見を言うため、コメントにはどこか優しさが感じられる。

またこの瞬間を共有する時だけに感じられる「熱量」が存在すると思う。
ラジオを聞き始めてアルピーANNが面白かったということを知りアーカイブを聞いた。確かにものすごく面白かったし、生放送なのに物語調で最後に必ずオチがある構成にびっくりした。しかし話している話題は当然古く、アルピーの立場も今とは異なるため「時代が違う」ということを突き付けられているようで、リアルタイムのような熱量を持つことはできなかった。
大好きだった「高橋みなみ 朝井リョウ ヨブンのこと」というラジオ番組の終わりも経験して、好きな番組や面白そうだと思う番組は、熱量をしっかりと感じられる「今」ちゃんと追っていきたいと強く思う。

魅力5「遠く離れた場所で生きる誰かの言葉に生かされる」

ラジオで聞いた何気ない言葉に何度も救われた経験がある。

ある時、「#むかいの喋り方」で向井さんが「テレビ番組で失敗した時、すごく傷つくけど少し時間が経てばその傷も癒える。だから中間結果がどんなにダメだとしてもそれはそれ。最終結果だけしか気にしない。」ということを言っていた。
私は就活で第一志望に落ちた時、ショックでひどく落ち込んだ。だけど、その時の向井さんの言葉を思い出し「今ダメだったからといって道が途絶えたわけではない。まだ中間結果発表だ。」と思い、立ち上がることができた。

他にも、星野源ANNでゲストにYOUさんが来た回。YOUさんは「流れに身を任せて生きることは悪いことではないし、流された場所で一生懸命頑張ればいい」と言った。私は心配性で保守的な性格から「計画を立ててから動かなくては!」という思いが強かった。だからこそ、YOUさんの考えは自分にない発想で強く印象に残り、自分の描いた通りに物事が進まなかった時は、その言葉を思い出して、自分に「大丈夫」だと言い聞かせるようになれた。

このようにラジオで聞いた言葉に救われる、生かされるたびにラジオの良さを改めて実感している。

最後に

私には好きな「瞬間」がある。
それはラジオをきっかけに新しい何かに出会う時だ。

アトロクで宇多丸さんが評論していた映画を見に行った時。
ラジオをきっかけに好きになったCreepy Nutsのライブに行った時。
それまで全く興味のなかったお笑い番組を心待ちにしている時。
朝井リョウさんの本を買って読んだ時。
たりないふたりのライブ配信を見た時。

そういう時は決まって「ラジオにここまで連れてこられたのか」という気持ちになる。ラジオを聞いていたから出会えたもの。ラジオを聞いていなかったら出会えていなかったかもしれないもの。それらには不思議な親近感と希少価値、そして何よりも深い感謝を感じずにはいられない。

わたしはラジオに出会えて、ほんとうに幸せだ。

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