欲求五段階説はビジネス・ターゲットのステップアップ

 先日、授乳ボックスを導入するアメリカ企業の記事を読んで、ピンと来たのだが、
ビジネスの立ち上がりはまず、生命活動に直面する問題から始まるものではないだろうか?


 最も身近なビジネスは、飲食店やスーパーといった食に関するものだし、
住まう家も金を支払って手に入れている。


 最低限欲しいもの、そして最底辺でも欲しがるサービスが、まずビジネスとなる。



 はっとしたのは、マズローの欲求五段階説は、自己実現への欲求のステップアップを示すというより、
ビジネスのターゲティングのステップアップを示しているのではないか、と思ったところにある。


 食は、生命の維持を求める第一段階の「生理的欲求」
 住は、生命の安全を求める第二段階の「安全欲求」
 第三段階に、人とのつながりを求める「社会的欲求」
 第四段階に、それら人からの承認を求める「承認欲求」
 第五段階は、ありたい自らの姿を求める「自己実現欲求」
となっている。


 ちなみに、その上の第六段階として、見返りを求めず、自我も忘れて目的のみを達成しようとする「自己超越欲求」というのもあるとか何とか。


 私は人もそのつながりもシステムとして捉えているため、第三、第四の欲求を感じ取れていなかったが、
概ねこれを意識してビジネスを考えると、市場規模が見えてくると思われる。



 後進国の社会発展も、この段階を意識して行えるよう、現地の人に意識してもらえるといいのかも知れない。
 営業もステップアップで構築し、相手の欲求を徐々に満たしていくようなプランをプレゼンテーションするなり、ヒアリングしていくなりでやっていくと効果的だろう。


 日本では、第四段階までは大半の人が達している。そこから第五段階にいくのには、思って以上にコストがかかると思う。
 承認のためではなく、ありたい自己像のため、時間と金のコストをかけられるかどうか。年を重ねてその欲求が出てくるだろうか。



 だがあくまで欲求五段階説は仮説である。フレームワークとしてはすっきりし過ぎているし、欲求だけでは人の活動は把握しきれない。
 分析としては粗いが、マーケティングではエモーションの枠組みだけでも、ある程度効果が見込めるだろう。



 加えるが、おそらく欲求がステップアップするのは、知恵が欲求と連動してくるから
 より安全な術があると知ればそれを求めるし、メディアで活躍している人を知れば、それに憧れる。


 どうすれば自分がしたい生き方ができるか分かれば、それを自ずと求めるようになるだろう。
 ただ、分かったところでその通りに動くかは別問題。行動するまで時間がかかるので、長い目で見る必要がある。


 昨今は目的がなくとも欲求を満たせる時代。
 社会的役割を自覚して生きようとする人物は、教育やビジネスでは作りにくいだろう。

 それも長い時をかけ、偶然現れるのを待つほうが効率的にすら思える。
 そういった人物はマーケットを消費して満たされるのではなく、むしろマーケットを作り出して納得する欲求を持つ。


 要するに、アーティスティックな欲求は、マズローの五段階には含まれないのである。

 

 

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