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【エッセイ】僕は忘れてしまうけど

自分の記憶力に自信はあるだろうか。

僕は基本的に人の記憶や認識力に対して疑ってかかるタイプだ。
人間は都合のいいように記憶を改変するし、見たいものしか見ない。そういう生き物だと思っている。
もちろんそれは他人に対してだけではない。
自分自身にも疑ってかかってしまう。
例えば誰かとの会話で記憶違いがあると、「どっちも間違っている可能性がある」と自分の中では考えてしまう。
しかし相手はだいたい「自分が正しい」と思っているため、どうしても押し負けてしまうのだ。
いつも「自分の記憶に自信を持てたらなあ」と思うが、どうしても染みついて落とせない癖である。

とは言っても、そもそも僕は記憶力がない方だと思う。

記憶力が悪いと思う一つの理由に、一夜漬けができないということがある。
学生時代に単語テストなどがあると、数日前から準備しないと間に合わない。
初めて一夜漬けという存在を知った時は「俺って天才アピール」だと思っていたが、どうやら本当に一夜漬けでイケる民がいることを知って驚愕した。

記憶力が悪いと思うもう一つの理由に、漫画の単行本で新刊が発売されると、前の巻から読み直さないと話が繋がらないということがある。
前の巻から出てきた新キャラなどがいると、その存在をすっかり忘れていたりもする。
場合によっては2~3巻前から読み直すこととなる。

だが忘れるというのも悪いことばかりではない。

漫画の例で言えば、物語をもう一度楽しむチャンスがあるということだ。
最近だと十数年ぶりにスラムダンクを一気読みしたのだが、当然のように細かい内容を忘れていた。結果、新装版の1から最終巻まで一気にぶっ通しで読んで楽しむことができた。
いや、これはスラムダンクがただ名作なだけで、内容を覚えていても楽しめるのではという疑念もあるが。

また、嫌な記憶をすぐに消してくれるというところもいい。
ちょっと嫌なことがあっても、たいていそれをすぐ忘れてしまう。
すごく嫌なことや将来に対するネガティブな情報などは消せないが、些細な嫌なことは翌日には忘れている。
「この前はごめんね」と言われても、だいたいのことは思い出せないし、思い出せたとしても忘れる程度の事だったのだからと責める気持ちはわかない。

ただ、やっぱり弊害もあって、誰かと喧嘩した時にその理由もすぐ忘れてしまうのだ。
お互いに許せる事柄ならまだいいが、今後の行動の変化を伴うような喧嘩だった場合、同じ過ちを犯しかねない。
そして恐らく、すでに忘れてしまった決まりや約束があると思う。
……いや、ある。
今日もついさっき怒られてしまったばかりだった。

あなたは自分の記憶力に自信はあるだろうか。
僕は記憶力がない方だと思う。
だから、それを補うためにも、大切なことはちゃんとメモをする癖を作ろうと思う。
そう思ったことさえ僕は忘れてしまうけど。


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