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『ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる』後徳大寺左大臣

《意味》
ほととぎすが鳴いたと思ってそちらを眺めるとそこには何もなく、ただ有明の月だけが空に残っているよ。

夏の到来を告げる爽やかな一首です。

ほととぎす、「テッペンカケタカ」と鳴くと言われるお馴染みの鳥です。
平安時代には「初音」と言い、その年初めてのほととぎすの鳴き声を心待ちにし、夜明けになくその声を聞くために夜通し起きて待つというようなことも行われていました。

かの清少納言もほととぎすをこよなく愛し、「気品があり美しく魅力的な声を聞くと、とても心惹かれて落ち着かなくなり、どうしようもなくなる」とベタ褒めしており、ほととぎすの声を聞くために同僚たちと共に遠出するという話が枕草子に書かれています。このエピソードからも解るように、ほととぎすは古来からとても愛された鳥で、万葉集に約150首、古今和歌集、新古今和歌集にそれぞれ40首ほととぎすの歌があります。

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