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『ながからむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ』待賢門院堀川

小倉百人一首の中で一、二を争う官能的な一首です。
髪は女の命なんていうこともありますが、この時代こそ長く美しい黒髪は女性にとって美そのものの象徴でした。背丈ほどにも長く伸ばし、艶を出し、香を焚き染め、男性たちは顔も見えぬままに、その髪の美しさに心惹かれ、想いを募らせていたようです。
代表されるのが源氏物語「末摘花の君」。光源氏は顔が分からぬまま一夜を共にした姫・末摘花の容姿が思っていた様と全く違ったためかなりショックを受けますが、その髪だけは長く美しく立派であると感心しています。髪が美しさの評価の一つの要素でしたから、そこだけは救いであるように描かれています。

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