『秋の田の かりほの庵の とまをあらみ わが衣手は 露にぬれつつ』天智天皇
《意味》
秋の田のほとりに建てられた仮小屋は、屋根を葺いた苫が粗い。そこで番をして泊まっている私の袖は、夜露のせいで濡れてしまっている。
小倉百人一首の記念すべき一首目は、心優しい帝の、民を思いやるお心の歌でした。
天智天皇といえば大化の改新、中大兄皇子として起こした革命とその後の政治改革は、歴史の授業で学んだ記憶があるという方も多いのではないでしょうか。
弟である大海人皇子の妻であった歌人・額田王との恋のエピソードもよく知られたところです。
そんな帝が詠んだにしてはこの歌は地味、と思ってしまうかもしれません。
頭を垂れて実る秋の田、その収穫作業のために田んぼの傍らに仮小屋を作り、番のために寝泊まりをする。しかしその小屋は粗末に作られているので屋根の目が粗く、厳しい寒さと共に夜露が体を冷やしてくる。
そんな農民の苦労を帝が想像し思いやるために詠んだとされています。このように民を思いやるところも、天智天皇の愛される理由の一つでした。
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