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サービス業の実態を語る

1.初めに

そもそもお前誰やねんと思ってる方へ

私はアルバイトで7年間、正社員で7年間の計14年間、某ファミリーレストランで働いていました。

正社員だった7年のうちの6年半は店長という扱いでした。

楽しいこともありましたが、「この状態で働くのやばくね?」と思うことが増えてくるようになり、先日、脱獄・・・間違えました。逃亡・・・また間違えました。

退職しました。
ちゃんと言えました。
転職はできたので、心配しないでください。

今回はファミレスが中心ですが、サービス業全体の過酷さを伝えていきたいと思います。
値段が安い店でしたので、客層は悪く、メインは学生とチンピラと元ヤン大家族と浮浪者です。

傷害罪、パワハラ、カスハラ、脅迫罪、労基法違反等で、誰かが捕まったり、死んだりする気がするので、フィクションということでお願いしたいのですが、1日20時間労働とか、まー過酷でしたね。

ただ、前提として、私は一緒に働く人には上司(エリアマネージャー(AM)、子会社社長)、部下(店舗スタッフ)問わず本当に恵まれていました。(一部例外あり)

それに、売上は上げ続けていたので、上からの圧もそこまでありませんでした。

なので、私も会社内では楽な方だったのですが、サービス業の人間って基本的に性格悪いので、周りはもっと苦労しているはずです。

※何気に死と接する機会がある仕事なので、「死」という単語はたくさん出ると思います。ご了承ください。

書こうと思ったきっかけ

大きく2つの理由があります。

1つ目は、
ディズニーキャストざわざわ日記――〝夢の国″にも☓☓☓☓ご指示のとおり掃除します

 https://www.amazon.co.jp/dp/4866809213/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_1VGZYM89KRAG779NHMWE

という本がそこそこ売れてるみたいだからです。

ざっくり内容を説明すると、結構なエリート街道にのってた会社員が早期退職して、ディズニーランドのキャスト(スタッフ)になったら、サービス業ってきつかった、ということです。

私も読みましたが、サービス業経験者からすると全てのエピソードが普通すぎて何も感じませんでした。

というか、むしろ「さすがオリエンタルランドはきちんとしてるわー」「夢の国の客層そうとういいやん」と思うことの方が多かったのです。

まあこの本が売れて、カスハラするようなカスが、ハラハラするような法改正が起こってほしいので、宣伝で載せはします。
読んでみてください!

2つ目は、まだ働いている知り合いのスタッフがガチ病みで死にそうだったからです。

基本的に会社が、キッチンに一人、ホールに一人いれば営業はできるというスタンスなので、マジで過酷なのです。

人間じゃ無理な平行作業、クレームは絶対に起こさない、決められた時間内での調理とマジで過酷なのです。マジで。

なので、遺言は?と聞いたら、この惨状を世に広めてほしいとのことだったので、発信しようと思いました。

私だけの体験ではないですが、どこかの店舗で実際に起こった事件です。
あ、フィクションですけど。

2.死亡案件

1.駐車場内交通死亡事故

とある店舗で起こりました。

そんなに忙しくはない、平日のディナーでの出来事です。
子どもが店内を走り回っていました。

普通の感性なら、「親が注意しろよクソが」となると思うのですが、客層が悪く、日常茶飯事ですのでこれぐらいはスルーしてください。

なので、店員が注意することになるのですが、騒いでいた子どもが消えていました。
外の駐車場に出たかと思って、外に見に行きました。

そしたら、明らかに動揺しまくってるおじさんと、下から人間の足がでてる車がありました。

当時の店長が、急いで警察と救急車を呼び、足をパンパン叩きながら「大丈夫ですか!」と声をかけていましたが、ひかれた人は即死でした。

ちなみに走り回ってた子どもは席についていて、ひかれたのは全然関係ないおじいさんでした。

店長も入社してそんなに経ってない若い方だったのですが、自分が死体をパンパン叩いてたということにブルーになりながら、AMに連絡の電話をしました。

状況を聞いたAMの第一声は「落ち着け!落ち着くんだ!警察よべ!救急車は!落ち着け!落ち着けえええ!」というものだったらしいです。

警察も救急車も呼びおわってること、お前が一番落ち着けよという内容のことを伝えると、
「警察が現場見終わったら死体のあった場所掃除しといてね」
と言われ、切られたそうです。

まあ確かに血まみれのままにしておくのもまずいので、翌日掃除をするのですが、血がコンクリートにこびりついて全然取れません。
デッキブラシと店の中で最強の洗剤を使って2時間かけてやっと落としたそうです。
泡まみれになっているので、水をバシャーとかけると、どこからかまだ血が出てきて、結局赤黒い場所の面積が増えたらしいです。

2.発砲事件

とある店舗の12時半ごろ、ランチのピーク中でものすごい忙しかった時のことです。

怖い系の人が急に入ってきて、何か叫んだあと、食事中のお客さんを射殺しました。

ただ、忙しすぎて、店員はなかなか気づきません。

通報は他のお客さんがしてくれたのですが、そこで店員がやっと気づき、キッチンにいた店長に「お客さん殺されましたー!」と報告しました。

しかし、クソ忙しかったため、店長は「ふざけたこと言うな!」とまともに取り合わず、「早くこの料理運べよ!」とか言っています。

状況的には店長のほうがふざけたこと言っています。

結局、事件現場付近のお客さん、店長含め店員全員に事情聴取で一旦閉店しました。

3.若年層の孤独死を自分がしかけた

私の話ですが、何か月連勤したかもわからないぐらいの状態で、過労のピークに達していました。

朝起きると、身体が全然動かず、心臓だけがバクバクなっていました。

眠気もあったのですが、「あーこれ急性心不全やん。死ぬやつやん」と本気で思いました。

特殊清掃の動画を見たことがあったので、腐乱死体で見つかるのはいやだ、早めに見つかりたいと思い、玄関の鍵を開けようとするのですが、身体が動かないのです。

なんとか床を這って玄関に近づきながら、「よく中途半端な場所で死体が発見されるのはこういうことか」と妙に納得した記憶があります。

その後、玄関についた瞬間意識を失いました。

店から、「遅刻してんじゃねーよ」という内容の電話がかかり目が覚めましたが、欠勤するわけにもいかないので、ゾンビみたいなペースで駅に向かい、貞子みたいなテンションで、仕事をしました。

幸い、その日にはだいぶ回復して、生前の貞子ぐらいのテンションにはなれました。

死ぬと思っていても意外と冷静な行動できるんだなーと自分をほめてあげたいですね。

ただ、いま振り返ってみると救急車呼べよと思うのですが、もっと必要な人がいるかもしれないと思い、電話しませんでした。

ちなみに死にかけても無欠席を貫きました。

4.自殺

まあタイトル通りです。
通算2名亡くなりました。
現場仕事から本社に異動して、パワハラでボコボコにされたようです。

3.お客様対応

1.底辺客

価格が安いので、とにかく客層は悪いです。

怒鳴られるのは当たり前、食べ方は汚い、細かいことででかいクレームになる、キスの距離まで詰め寄られる、酔っ払いが大声で喚くなど日常茶飯事でした。
胸ぐらをつかまれたことも何回かあります。

一般的に、サービス業で嫌なところというと、
お金を投げて渡される。
高圧的な態度。
嘔吐。
トイレを汚される。
などだと思うのですが、よくありすぎて慣れてしまいました。

ある店舗は客に燃やされました。
店内でこっそりタバコを吸っていて、それが火種となり、ボヤが起こったのです。

お客様は神様文化が本社にはまだ残っているので、逆らうとクレームが本社までいき、弁明の機会もなく、ただただ詰められるだけでした。

2.戦闘術

そんなやつばっかり相手にしているので、こちらも手を打たないといけないと思いました。

自分の身を守ることはもちろんのこと、店長という立場上、スタッフも守らないといけないのです。

そこで私は、接客担当者に武器(ペティナイフ)を持たせようとしましたが、AMの反対にあい断念しました。

せめてということで、鎖分銅を置くことは許されました。
本当は鎖鎌がよかったのですが、刃物はダメとのことでした。

しかし、鎖分銅とモンキーレンチで、だいぶ対等に戦えるようにはなりました。

まあ「こいつ頭おかしい」と思わせてしまえば、8割勝てます。

怒鳴ってきたら、モンキーレンチで机殴ったりとか、
高圧的な客の椅子を蹴り飛ばすとか、
胸ぐらつかまれたら足の力を抜いて腰を落とすとか。
ボディブローは、ボクシングをやっていたので、なんとか耐えました。
そんな感じで耐え忍ぶ術を身に着けました。

ここまでやったら本社クレームにもならないのです。

もはやきちんとした接客などできないほど客層がカオスなのです。

まあでも、「帰ってください」と言って帰らなければ不退去罪で通報すればいいです。

3.デリバリー対応

テイクアウト、デリバリーで箸がないとか弁当1個足りないなどとなったら最悪でした。

普通のキレる客はだんだんキレるのですが、弁当のキレる客はすでにキレている状態で電話してくるのです。

だから、本社に何度も弁当でミスが起こらないようなマニュアルを作るよう要請していたのですが、本社は現場を見ないので、改善には至りませんでした。

何度も言っているので、最後の方は結構なお偉いさん相手に「貴様いい加減にしろよ」とか「殺すぞ」とか言ってましたが、業績良すぎで不問となりました。

話がそれましたが、電話で「弁当1個足りんのやけどどうしてくれるんや!」と怒鳴り散らしてきます。

「持って行って謝罪」が誠意ある対応だとは思うのですが、デリバリーの場合、こちらで持っていくことが契約上できないのです。

基本的に、客がデリバリーの会社に連絡を入れて、キャンセルにするのか再度配達をするのかを決めることになります。

しかし、底辺の人間を相手にした商売なので、そんな理屈は通用しません。

そんな時は、「大変申し訳ございません。商品をお持ちしたいので、住所を教えてくださいますか?」と言うしかないのです。

そして、住所がわかれば、態度を変えて、「てめえいい加減にしろよ。もっていけんのじゃこっちは。家の場所わかったからな。燃やすぞ。」といえば解決します。

デリバリーのドライバーもキレてくることがあります。その時もキレ返してました。

その後、デリバリーの拠点に「なんやあいつの態度。いつまでに改善できるん?できんかったら殺せ。さもなくば俺が目白拠点を燃やす」と電話しておきました。

4.オペレーション

1.煩雑化する作業

私が入った14年前と比べると、キャッシュレスの浸透、デリバリー需要の増加、人件費高騰、原価高騰といろいろなことが変わりました。

特に、デリバリーは苦しめられました。
怒りマックス電話がかかってくるので、絶対にミスできないのです。

しかも、問題点も多かったのです。
イートイン用のメニューを無理やり弁当箱に詰め込んでいるので、なかなか蓋がしまらない。
デリバリー受注と同時に、伝票が発行されるシステムにすればいいのに、ハンディで手打ちになっている。
しかもそのハンディが見づらい。
などなど、しょうもないことで躓く仕様になっていたのです。

また、フェアメニューの販促物が増える、調理工程が複雑化するなど、じわじわと苦しめられていました。

2.変わらない作業

一方で変わらない作業もあります。
ハンバーグは未だに鉄板で焼く。
ドリアはただのオーブンで焼く。
食材の種類が増えたのにフライヤーが小さい。
勤務管理は紙に手書き。
などです。

要はアナログなのです。

ハンバーグはインピンジャーオーブン使えば焦がさないし、
ドリアはスチームコンベクションオーブン使えば焼き上がりに差が出ないし、
フライヤーはでかいのに切り替えればいいし、
勤務管理も名札にバーコードでピッとやればいいのです。

変にアナログなせいで、新人は覚えきれない、ベテランですら迷う時がある、という状況になっており、大戦力が自身喪失しています。

しかも、最低限の人員で営業するので、一人急病になったりしたら店が死にます。
キッチン一人、ホール一人いればなんとかなるやろ精神が根付きまくってます。

結果、退職につながり、いつまでも人員不足が続き、より地獄のような環境で働くことになります。

もはや職人を育成する必要があります。
実はすごいことをしているのです。

最低賃金なのに。

3.なぜ手を打たないか

本部に問題点として上がっていないのです。
私は何度も上げましたが、AMでとまります。
AM以上になると上に逆らわないのです。

結果、店舗でうまくやっているという状況だと認識されています。
うまくいってるならもっと売りをとるため負担をかけてもいいだろうという悪循環ですね。

5.まとめ

いかがだったでしょうか。

サービス業の大変さが伝わって、店員さんに優しくする文化が根付けばいいなと思います。
サービス業って下に見られますが、実はなかなか難易度の高いことをしているのです。

私は、もはやスポーツだと思っていたので、採用時に、スポーツ経験があるかは絶対聞いていました。

しかし私は、周りの人には恵まれていたので協力してもらっていました。
他の人はもっと地獄絵図です。

ここまで修羅なサービス業は少ないかもしれませんが、上であげた、ディズニーよりはきついと思います。

ただ、業種によってはうちはもっときついという方もいらっしゃると思うので、スキと、フォローして、コメントで愚痴ってください!

一つ思うのは、人口も減っている中でサービス業というくくりは厳しいんじゃないかということです。

ファミレスであれば、飲食業か、接客業かのどちらかに寄せる必要が出てきます。
物販であれば、小売業にするか、接客業にするかみたいな。

両方やろうとすると相当値上げしないと厳しいんじゃないかなーと思います。

ご清聴ありがとうございました。

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