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アバシリ

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そこはありとあらゆる悪意が叶えられる都市。 殺人も、暴行も、性的暴行も、食人も、ありとあらゆる悪意を発散することが許された都市。 そんな悪意の坩堝の都市で105番と、73番は出会…
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記事一覧

悪意肯定監獄都市ABASHIRI

悪意肯定監獄都市ABASHIRI

「皆さん!どうか皆さん!私の話を聞いてください!」

「………ありがとうございます!では少しだけ皆さんのお耳を拝借させていただきます!」

「今!人類は絶滅の危機を迎えようとしているのです!」

「これを聞いて何を言っているのか、この男は馬鹿なのではないかと思った貴方!考えてください!何故私がそんなことを言ったのか!」

「人類は何によって滅びるか!」

「温暖化や海面の上昇、蝗害による食糧難!?

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午前① 起床は諍いと肉の焼ける匂いと共に

「………!………!」

「………!………!」

男と女の喚く声、そして肉が焼けていく臭い。
105番の目覚ましとなったのはその2つだった。息を殺しながら、壊れかけのデジタル腕時計の液晶画面を確認するため、ゆっくりと腕を動かす。

「俺の肉だってんだろ!」

「アタシの肉だよ!」

締め切った場所で寝ていても、感覚が研ぎ澄まされた結果嫌でも105番の耳に届いてしまう。男女は恐らく、共同で狩りをしたが

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午前② 73番

向かいの家の玄関がわずかに開き、そこから一人の少女が顔を出した。
少女は105番と同じ15歳ほどの見た目に、濡れ羽色のロングヘアを上から降り注ぐ光に輝かせていた。
少女は辺りを確認し、105番以外の住人がいないのを確認すると、ニッと笑い105番の方へと走り出した。

「おはよう!トーゴ!」

「その名前で呼ぶんじゃねぇよ。俺は、105番だ」

「えー?いいじゃん?」

親し気に話しかけてくるが、1

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午前③ 朝食

「フッフッフーン」

「ふっふっ…ふーん」

14番と15番が、鼻歌を歌いながら空いてる方の手を元気よく振り回す。
105番はその歌の名前も、歌詞も知らない。
あの二人の年齢を鑑みて、製造時にダウンロードされたのだろうなということだけは理解している。
そう、ダウンロードだ。

この都市の住人は生まれた後すぐに、強制的に成長させられ、その年齢に応じた知識がダウンロードされる。
その年齢らしい知識を。

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午前④ オリジナル

「こちらに来なさい!」

「ふざけんじゃねぇよカルト共が!テメェらの所に連れてっても碌な目に遭わねぇじゃねぇか!」

外から、そんな声が聞こえてくる、
14番と15番が見ている窓の反対側、廊下側の窓から見下ろせるグラウンドからその声は響いていた。

「トーゴ…」

「ああ」

毎朝恒例の、勧誘だ。

彼ら彼女らは気が付けばそこにいた。
シャツにズボン、量販店で大量に売られているような服装をした男女

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午後① 狩り

走る、走る、走る、少年はひたすらに走る。
息を切らしながら、割れたガラスを踏みしめ、ズタズタに引き裂かれた足の裏の激痛を耐え、少年は走り続ける。
後ろから、ハッハッハッと断続的な獣の吐き出す息の音が、消えないから。

一緒に逃げていたはずの少年と少女たちは、もういない。
少年を追っている獣に、足首を噛まれ、腕を引き裂かれ、首を噛み砕かれたから。

一人、また一人と消える度、後ろから歓声が響く。

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午後② 他者の飢えは最高のスパイス

老爺は、ひどい飢えと渇きで目を覚ました。
ハッと目が覚めるのではなく、寝る体力もなく、起きてしまう。
それが老爺の現状だった。
なにせ、三日も何も食べず、磔にされているからだ。

「はぅっ…はうぅっ…」

老爺ははくはくと口を動かす。
その口に歯は一本もなかった。
ペンチで一本一本、丁寧に折られたからだ。
麻酔もなく、抜いた後の処置もせずに。
口の周りに付いた血も既に渇き切り、変色している。

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 篝火崎善人は人を焼き■したい

始まりは、小さな火だった。

善人の家族は毎年、夏になったらキャンプに行くのが恒例だった。
家族五人、海に行ったり、山に行ったり、湖に行ったり…
善人は、そこでやるキャンプファイアーが大好きだった。

今時、ガスコンロの家は殆どなくなり、こうやってまともに火を見る機会は限られている。
だから、こうして火をじっくり見られる機会が来るのを、毎年楽しみにしていた。

火を前にすると、どこか心が落ち着かな

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午後③ 見捨てればいいのに

105番は、寝床で息を殺していた。
暗闇の中で、ただ時間が過ぎるのを待っていた。

昼飯ももう食べきり、あとは終わるまでの耐久レース。
蒸し暑い、屋根裏の暗闇の中で、気配を殺し続ける。
ペットボトルの水はもう温く、ペットボトルの表面の結露ももう消えている。
14番も15番も、73番の言いつけを守って、水を飲む量はセーブできているだろうか。

都市は、住人に優しくない。
夏の設定の時はとにかく暑く、

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午後④ 炎の逃走劇

105番は遮二無二、走り出した。
火炎放射器、それを向けられ、そして火を放たれるのは、105番と言えども初の経験だった。
銃口やナイフ、そしておおよそ人を殺すためとは言い難いチェーンソーすら向けられたことはあった。

ショットガンや弾が広範囲にばら撒かれるもの以外の、大体の銃は分かりやすい。
弾が真っすぐ飛ぶのだから、とにかく走り続けたり、壁に隠れたりすれば、当たる確率はそれなりに低くできる。

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悪意肯定監獄都市ABASHIRI 1日目 午後⑤ 監獄都市の幽霊

「………」

無感動に、善人は火の塊を眺めていた。
先ほどまで叫び声をあげていた炭の塊。
そこにあった命の輝きも何もかも、ゴミとなった。

「つまらないな………」

平坦な声が、善人の口から漏れ出た。
つまらない、それが、十数人の老若男女を焼き殺し、その走馬灯を見た感想だった。

善人は思う。
焼き殺すなら、純粋な人間、特に、子供や犯罪者がいいと。
一番最初に焼き殺したあの三人の子供たちは、三人の

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