案外、この世はわからないコトだらけなのかもしれない。
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子どもの頃。
世界は、不思議であふれていた。
「これはなぁに?」
「なんで?」「どうして?」
こうやって聞くと、
大概のコトは、周りの大人が教えてくれた。
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そのうち、
「…大人になったらわかるさ」
なんて言われることも増えて、
内心なんとなくモヤモヤすることも増えた。
(いいなぁ。オトナはなんでも知ってるんだ)
(はやくオトナにならないかなぁ)
なんてボンヤリと考えていたら、
いつのまにか、大人になっていた。
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けれど。
オトナになったからといって、
ある日突然ものしりになった!
なんてことは、もちろんなかった。
どんなに勉強しても、
不思議に思うことは山のようにあった。
否、知ることが増えた分、
〈わからない〉コトは、子どものころより増えたかもしれない。
わたしはなかなかあきらめの悪い性分だから、
人に聞くことを、そう簡単にやめなかった。
かたくなに態度を変えないわたしの秘技、
「なぜ?どうして?攻撃」を後目に、
周りの大人の対応は、明らかに変わっていった。
イラっとされながら、
「何でもかんでも人に答えを聞こうとしないで!」
「自分で考えてみた?まずは自分で調べなさいっ」
そう冷たく突き放されることが増えた。
もちろん自分で調べたし、
自分なりに考えた上で、
それでもわからないから教えを請うたつもりだった。
しかし、こうも冷たくあしらわれては
さすがのわたしも少なからず、ショックを受けた。
〈わからないことは恥ずかしいこと〉
〈聞くことは、いけないこと〉
そんな気持ちを秘めたまま、大人になった。
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先日、どうしてもわからないことがあった。
どんなに参考書を調べても、
今までの経験をひっくり返してみても、
やっぱり〈わからない〉。
ちょっと怖めの先輩2人に、聞いてみた。
わたしは固唾を飲んで、彼らの言葉を待った。
両者、答えは同じだった。
「それ、実は私も、〈わからない〉。」
そうか。
オトナでも、わからないことがあっていいんだ。
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〈わからない〉と白状することは、
少しだけ、勇気が要った。
でも正直に伝えてみると、
だいぶラクになることも知った。
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何なら聞いてよくて、
何なら聞いちゃダメなのか、
オトナになった今でも、いまいち釈然としない。
というか、
正直、全然〈わからない〉。
それなら、思いきって聞いてみよう。
周りの人からは、安直なヤツと思われるかもしれないけど、まあいいや。
みんな意外と、この世は知らないコトだらけなのかもしれない。
さあ、勇気を出して。
わかることは〈わかる〉。
わからないことは〈わからない〉。
わからないことは、決して恥ずかしいことではない。
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みんなの〈わかる〉をシェアしていったら、
この世界はもっと豊かになるかもしれないし、
〈わからない〉の共感からはじまる人の繋がりもあるんじゃないか、
なんてわたしはちょっと、期待している。
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