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アルゼンチンタンゴでリーダー役を学ぶ20代女子が、始めた当初にぶち当たった「リードの壁」について語る

書き手:Sakurako



入門のリーダーがぶち当たる壁、それは即興ーーー

みなさんは、アルゼンチンタンゴは2種類あるってご存知ですか?
ひとつはピスタ。パーティなどで曲に合わせて、即興でその場の人と踊るタイプ。何組もいる中に混じり、踊る。
もう一つはエセナリオ。ステージの上でパートナーと決まった曲、決まった振り付けで踊るタイプ。
(詳しくはこちらに説明があります)


本題

ここで話題にしたいのは、ピスタのおはなし。
即興で踊るってことは、その場で流れてきた音楽のリズムや雰囲気に合わせてステップを踏むわけです。
言い換えれば、自由。
フロア内のルールさえ守れば、どんなステップをしようがその人の自由ーーー




振り返れば5年前、、、
フランスはパリでタンゴを始めた筆者。
向こうではリーダー=男性、フォロワー=女性という概念が薄かったため、何となく楽しそうという理由でリーダー役を始めた。(このあたりの話はまたいずれ)


先生「一曲かけるから、自由に踊っていいわよ〜♪」


ワタシ「!?!?!?」



イヤイヤ、アンタ(失礼)、自由ってなんですの。こちとらやっとこさ歩けるようになったばかりですねん。何するの??ワタシ何したらいいの??歩くの??え、大して親しくない女性と無言で3分間歩けばいいの??相手苦笑いしてますけど!?パートナーがワタシでごめんねえええええ


こんな感じで思ってました。


あれから早5年。リーダー視点から「自由に踊る」って何だろうとずっと考えてて、最近出た答えは
「ステップにとらわれずに踊ること」なんじゃないかなと。


リーダーはステップを覚えるのが必須。
さらに、そのステップ(意思)を正確に女性に伝えることで、始めてリードが成り立つ。


とまぁ、ここまででかなりモタつくんです。
「次、右足?左足?」
「女性は軸足どっち?」
「体はどっちにねじるんだっけ?」

↑こう考えてる時点ですでに「不自由」なんです。頭の中はリードの方法でいっぱい。相手のことを考える余裕も、音楽を聴く余裕もない。
これって「不自由」です。
(この感覚を超えた方々はすでに「自由」への一歩を踏み出しています)

それじゃあ、何をするべきか?

「反復練習」

これにつきます。
レッスンで、プラクティカ(練習会)で、ひたすら同じリードを繰り返して自分の体に叩き込む。
相手をしてもらう女性はきっと思ってることでしょう、、、


この人さっきから同じステップするな


でもいいんです!!!
相手も、それが嫌なわけじゃない。少なくともワタシがフォロワーのときは、同じリードが何回来ても打ち込み稽古のつもりで取り組みます。自分の学びにもなるし。


こうして、特に意識せずとも勝手に体がリードしてくれる状態になったら、あとは音楽にのせるだけ。
これで晴れて、一つのステップの「不自由」からの脱出です。


もちろん、細かいことを言い始めたらキリがないほどの不自由はあります。
だけど、「音楽があって」「パートナーがいて」「一緒に楽しく踊る」ここまでいけば一つのゴールなんじゃないかなと思う。


だから、たくさんある「不自由」をひとつずつ「自由」にしていくことがリーダーにとって大切なことなのではないかと。


5年前の自分は、ひとつの自由も持ってない状態で「自由に踊る」を求められました。
それは無線の使い方も分からないのに「モールス信号だけで3分間適当に話してみましょう」と言われたようなもの。
特にダンスも音楽もやったことない人種からしたら、未知の踏み込みがたい領域なんです、即興。

唯一の救いは、練習すればできるようになること。

体操のムーンサルトとか、素潜り200メートルとかではないのだから。

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