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「趣味:タンゴ」を解説 その1

書き手:Haruna
「タンゴを踊る人って具体的にいつ・どこで・何をやっているの?」という疑問に答えます。友人や家族がタンゴを踊っているが、まったくイメージが湧かない方はこの記事を読めばなんとなく理解できるかも。或いは「趣味はタンゴです」と言って相手をポカンとさせたタンゴ愛好家さん、このページをシェアすれば少しは理解してもらえるかも.。

社交ダンス?

タンゴと聞いて、「口にバラを、、、」という人、それはフラメンコです(本当はフラメンコでもないが)!金輪際改めてください。バラは無関係です。

「社交ダンス?」と思った人についてはもうほぼ正解としたいと思います。タンゴの日本語版Wikipediaでは以下のような説明文があります。

"日本では、本場アルゼンチンのタンゴを「アルゼンチン・タンゴ」と呼び、ヨーロッパに渡って変化したタンゴを、(日本の某レコード会社が和製英語を作りだし、それをジャケットなどに印字して日本人をミスリードした結果)「コンチネンタル・タンゴ」という和製英語で呼ぶことが行われるようになり[4](あるいは「ヨーロッパ・タンゴ」)と呼び、日本でのタンゴの普及は、昭和初期から戦前までにアルゼンチンから一部移入がされたものの、その後戦後にかけて移入したのは、むしろヨーロッパからムード音楽の一環としてのそれであり、いわゆる「コンチネンタル・タンゴ」の類であった。すなわち、競技ダンス・社交ダンス[5]で用いられる1ジャンルのタンゴのための舞踊音楽であった。"

タンゴの発生については諸説あるので、専門家でない私は議論を避けますが、とにかくアルゼンチン発信のものがアルゼンチンタンゴ、ヨーロッパ発信のものが社交ダンスのタンゴというジャンルであり、このnote【明日のタンゴ】で「タンゴ」と言えばアルゼンチンタンゴのことです。社交ダンスとタンゴでは音楽、衣装、姿勢、身体の使い方等が異なりますが、どちらも男女(又は同性同士)が2人で踊るもの、です。

サロンタンゴとステージタンゴ

タンゴ(以降、アルゼンチンタンゴを指す)には、大きく分けてサロンタンゴとステージタンゴがあります。超超簡単に定義すると以下の通り。

サロンタンゴ=基本的には「歩く」踊り、曲に合わせて男性がリードし女性がフォローする、全て即興で成り立つ。

ステージタンゴ=商業的にステージで演技するための踊り。基本はサロンタンゴと同じだが、ジャンプやターンなど、予め二人の間で「約束」つまり振付を決めておくことが多い。

同じダンサーで比べてみましょう。東京で活躍する「クリスチャン&ナオ」さんの動画、1つ目が即興のサロンタンゴで2つ目が振付のステージタンゴです。

※実際にはサロンタンゴでも即興でなく「振付」を決めて踊るダンサーもいます。

タンゴ愛好家の日常

やっと本題です。タンゴを趣味としている人は具体的に日々何をしているのか、この質問には以下の6つの言葉の説明が不可欠と考えます。

①ミロンガ(ダンスパーティ)

②グループレッスン

③プライベートレッスン

④コンペ(コンペティション、競技会)※以前、コンペの解説をしています。→アルゼンチンタンゴのコンペとは

⑤発表会

⑥海外イベント(フェスティバル、マラソン)

今回は①と②について解説します。

ミロンガという夢

ミロンガとはタンゴのダンスパーティのこと、タンゴを始める多くの人の目標はミロンガで踊ることです。東京都内でも複数開催されています。

どこで:日本の場合はいわゆるタンゴスタジオやダンススタジオで行われるケースが多いです。その他、クラブやレストラン、公共のスポーツ施設や多目的ホールを借りる場合もあります。

いつ:基本的には夜、タクシー代の高い東京では20時頃から24時頃が一般的で、毎晩どこかのスタジオで行われているので、月曜は銀座、火曜は表参道、水曜は、、、などルーティンを決めている人もいます。※COVID19の影響により中止したり時間を早めるケースが多く、週末の日中開催が増えました。

だれが:タンゴスタジオで開催する場合はそのスタジオオーナーであるタンゴインストラクターが主催する場合と、場所のみを借りてプロダンサーではない有志の「オーガナイザー」が主催する場合があります。参加者は、すべてのタンゴを踊る人です。イベント毎のカラーはありますが、20代~70代の男女が集います。

なにをする?:もちろんタンゴを踊ります。上述の分類でいうところの即興サロンタンゴです。タンゴの音楽が流れ続けているので、その場にいる踊りたい相手と踊ります。正確には、男性が踊りたい女性を誘い、合意を得てフロアで一緒に踊ります。踊るだけでなく、合間にお酒や軽食を嗜みつつ会話を楽しみます。ミロンガは「社交場」です。男も女もおしゃれをしてミロンガへ出かけるのです。ミロンガのルールや醍醐味、社交場にうずめく愛憎の渦、、、などはまた別の機会に解説しますが、とにもかくにも、あなたの周りのタンゴ愛好家達は毎週末、ともすれば毎晩、ネクタイを締め香水をひと振り、或いはルージュを引きなおし大振りの耳飾りを付けてウキウキと社交場へ向かうのです。ちょっとしたパーティってやつが、ここ日本でもあちらこちらで開かれているのです。

動画は、2017年に香港で開催された「タンゴマラソン」でのミロンガ風景です(実は筆者もところどころにうつりこんでいる)。タンゴマラソンとは、ある週末に3~4日間、毎日12~15時間ミロンガを続ける、というマニアックなイベントです。海外イベントについても後日解説するつもりなので乞うご期待。

タンゴの入り口、グループレッスン

先述の通り、ミロンガでは男性が女性を誘い互いに合意した場合に踊ることができます。つまり、男女とも互いを選んで踊っているのです。ミロンガで楽しく踊るためには選ばれるための準備が必要です。その第一段階がグループレッスンです。検索エンジンで「アルゼンチンタンゴ レッスン」などと入力すれば先生やスタジオが見つかるので、週1,2回通うところから始まります。どこのスタジオにも初心者・入門者クラスがあるので、まずは姿勢やリード・フォローの基礎を学びます。タンゴのレッスン受講生は成人がほとんど、大学生はほんの一部、私は未成年には出会ったことがありません。なので、多くのグループレッスンは平日夜又は土日に実施されています。

まずはグループレッスンに何度か通ってみる、動けるようになってきたらそのスタジオで行われているミロンガに行ってみる。自信がついてきたら他のミロンガやレッスンにも冒険してみる、、、という流れが一般的です。

結局タンゴって何?習い事なの?

答えはYESでありNOです。ダンススタジオへ通ってレッスンを受講するという点は完全に「習い事」なのですが、目的であるミロンガは社交活動です。タンゴ愛好家の生活モデルは、目覚める→(仕事)→夕食→ミロンガ、です(かなり乱暴なまとめ方ですが)。もう少しポピュラーな趣味だと、カラオケ、ボウリング、ダーツ、ビリヤード、キャンプ、山登り、あたりをイメージしてください。どれも殆どの人にとっては「習い事」ではないはずです。繰り返しますが、タンゴは社交活動、社会との関わり方の一つ、ある人にとっては家族・職場に続くサードプレイス、またある人にとってはファーストプレイスです。

ちなみに、、、「明日のタンゴ」を運営するSakurakoとHarunaは2人とも趣味から始めて趣味の域を完全に超えてしまいました。今回の記事はあくまでも、趣味としてタンゴを楽しむとはどういうことか、という一例に留めています。次回はコンペや海外イベントなど、もう少しディープにはまっていく趣味の世界を解説します。



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