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コンスタンティノス11世聖地巡礼限界旅1~ミストラ~

コンスタンティノス11世(以下コさん)の聖地巡礼を前々からしたいと思い今回実行に移した。人気観光地はわりとスルーしてコさんゆかりの地だけを回る限界旅なので、当初は1人で行く予定だったが、心配した姉がついてきてくれることになった。fgoオタクでも歴史オタクでもないのに。姉、かわいい。

この旅行記ではひたすらコさんの「かをり」を感じてオタクが興奮する様子か、旅行のtipsを書き記す。なのでそのへんは注意されたし。

ミストラに着くまで

紙面の都合上(めんどくさくなっただけ)アテネ空港までは割愛する。ちなみに合計22時間ぐらいのシンガポール経由格安航空限界フライトだったので地獄だった。大人しくターキッシュとかエミレーツとかにしよう。

地獄だが、ホテルはスパルタ(ミストラの麓)に予約済みなので行くしかない。私たちは気力を振り絞ってアテネ郊外にあるキフィソス・ターミナル(日本語ではよくキフィスウと言われるが実はこの言い方は正しくない)に向かう。ギリシャの地方へ行くバスは全てここから出ているからだ。バスの番号はX93

余談になるが、入国審査でいろいろ聞かれた時にギリシャ語を披露して審査官を驚かそうと思ったが、特に何も言われることなくスタンプを押されて悲しかった。てか職務上なんか聞けよ!

バスターミナルにはチケット売り場があるのでそこで買おう。インターネット購入も可能だが、基本的にオンラインの予約表をチケット売り場でチケットに変えてもらう作業が発生する。また、行先の地域によってバス会社の名前が異なるので注意。例えば今回はスパルタまでこの長距離バスで行くので、利用するバス会社はKTELラコニア(地域名)となる。では出発。

バスから見える景色

何もない・・・。それもそのはず、ミストラのあるペロポネソス半島は「偉大な田舎」と呼ばれるほどギリシアの中でも超田舎なのだ。しかしこののどかな風景こそ私の心の癒しだ。アテネやイスタンブールに行けばわかる。

スパルタに到着すると今度は超ローカルバスに乗り換える。ローカルバスは町の2つの目抜き通りリュクルゴス通りとコンスタンティノス・パレオロゴス通りの交差点のすぐ近くにある。スパルタとミストラは京都市中心部と嵐山みたいな感じなので(例えがわかりにくい)15分ぐらいで着く。2ユーロくらい。

コンスタンティノス・パレオロゴス通り

ちなみに超ローカルバスなので、一日数本しかないうえに本数も多分その日の運転手の気分で変わってそう。特に、ミストラからの帰りが絶望的に無い。なので車を借りるかタクシー使うかのどちらかをおすすめする。さらに、行きのバスは変なところに降ろされる。

ミストラ行きのバスが降ろしてくれるところ

ここ、どこ・・・・?大丈夫、ミストラの目の前である。正面ゲートじゃないだけで。突っ切って登れば入口になるよ。

うおおおおミストラ!

今更だがこのミストラは第一級のコさん聖地である。何故なら、1443年から皇帝即位の1449年までコさんがここで親王領を治めていたからである。しかし実は、コさんはこの親王領を与えられるまで、隣接地域の親王領を治めていたし、ミストラに来ることもあった。つまりミストラはそれ以前からコさんにとってなじみ深い場所だったのだ。

心臓破りの街

がしかし、この街、崖の斜面に経っているのである。そしてギリシャの9月はまだまだ暑い。つまり、ミストラ観光=炎天下山登りである。暑い時期に行く際には日差し対策と水分補給をしっかりしてほしい。ちなみに付近に自動販売機などはないので、行く前にストックしてく必要がある。世界遺産なのにハードモードすぎるよ!!!

そんなわけで中々にハードモードな観光だったが、コさんゆかりの地を順番に紹介していく。

聖デメトリオス教会

聖デメトリオス教会

ミストラに入るとすぐに出迎えてくれるのが、同地の中心的な教会である聖デメトリオス教会。それだけに規模も大きく、隣接する建物にちょっとした博物館もある。
この教会のオタク的見どころは、床に埋め込まれた石板。

コさんがこの上で即位を宣言したと伝わる石板

なんと、この石板の上でコさんが即位を宣言したらしい・・・!!!!!これは燃える。パレオロゴス家の双頭の鷲があしらわれてるし燃え燃えである。

石板だけでなく、内部のフレスコ画も素晴らしい(多分こっちの方が観光のメイン)

宮殿

しばらくすると、コさんら支配者が住んだ宮殿が出てくる。

宮殿。修復作業に来る車が堂々と停まっているゆるさがギリシャらしい

残念ながら現在絶賛修復作業中。しかしまた行く口実ができたので悪くない。

下の話になってしまって申し訳ないのだが、「この宮殿の中でコさんがオ〇ニーしてた可能性もあるんだよな・・・」と呟いたら姉にドン引きされた。解せぬ。

ハギア・ソフィア教会

ハギア・ソフィア教会

ハギア・ソフィアはイスタンブールのものが最も有名だが、同名の教会がちこちにつくられた。ミストラのもその中の1つ。ここは皇帝家メンバーの礼拝堂として使われたらしい。つまりコさんもここでお祈りしていた可能性がある・・ってコト!?

この教会は、聖母マリアの誕生を描いたフレスコ画で有名

コさんオタク的にもう1つ重要なのが、ここはコさんの最初の奥様、マッダレーナ=トッコ様が埋葬された場所であること。ちなみにマッダレーナ様はコさんと結婚して1年で死産で亡くなってしまう。切ない・・・・・。

住人

他にも見どころは沢山あるのだが、今回はこの旅行記の都合上カットさせていただいた。その代わり、今は廃墟となったこの城塞都市の小さな住人たちを紹介しておく。

めぼしい建物の外だが食事を与えられていた住人
パンタナッサ修道院の住人その1
聖デメトリオス教会の住人
パンタナッサ修道院の住人その2

また、有名な建物以外にも、ミストラには廃墟と化した建物の残骸がたくさん残っている。こうしたスルーされがちなものにも目を向けて、在りし日のこの街に思いを馳せるのもまた楽しい。

ミストラとコさん、スパルタとコさん

観光を終えてミストラを出るが、想像以上にこの地ではコさんが英雄として扱われている。スパルタの目抜き通りにコさんの名前が使われているのは勿論だが、それだけではない。
城砦都市のすぐ下の集落には、コさんの銅像が建っている。さらに、毎年5月にはコさんを記念する行事がこの地で行われるらしい。すごいなあ、コさん。

コさんの銅像

スパルタも含めて、ミストラは本当によかった。ご飯はおいしいし、安いし、人は優しいし、なによりとても田舎でのどか。時間がとてもゆっくり流れていた。コさん記念行事や修復中の宮殿のこともあるし、是非ともまた行きたい。

ビザンツ帝国末期にあって常に穏やかならぬ状況に置かれたコさんだが、ミストラから見られるこの雄大な景色を眺めたときは少しは個々とも落ち着いたのだろうか

次回は(早速巡礼とは少しずれてしまって申し訳ないのだが)ナフプリオとミュケーナイ。

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