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オンライン開催の天文学会秋季年会に参加しました

先週は日本天文学会秋季年会に参加してました.もともとは弘前大学で開催される予定で,青森県は未踏の地だったので楽しみにしていたのですが,新型コロナウイルス感染症対策の影響で完全リモートでのオンライン開催でした.

いくつかのセッションに参加したのですが,大きな問題なく快適に楽しむことができて,これはこれでアリなんじゃないかと思いました.せっかくなので覚えている範囲でここに所感を残しておきます.

オンライン学会の良かった点

まずはこれまでのオフライン学会と比べて,良いと思った点を列挙します.

(i) 会場までの移動コストが生じない.
(ii) 学会参加中以外は日常と同じで家族と一緒に過ごせる.
(iii) Zoomのチャット機能で個別に講演者に質問できる.
(iv) プレゼンテーションの文字が小さすぎて見えにくいという問題が起きにくい.
(v) 不慣れな講演者がピンマイクを手に持って講演してうるさい,という問題も起きない.

(i)はオンラインだからこそ得られるメリットな気がします.オフラインの場合は現地までの移動のためにまとまったお金と時間が必要になりますが,オンラインなら自宅からでも出られるので,そうしたコストは生じません.海外からの参加のハードルもだいぶ下がる気がします.場所によっては時差があってむしろ大変かもですが.

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(ii)もオンラインだからこそのメリットと思われます.いろいろと事情があって自宅から離れにくい場合に,そのことがハンディキャップになりにくいので,これも良い点かなと思いました.

(iii)については,別にチャット機能じゃなくてこれまでもメールでできたじゃんって気もしますが,Zoomチャット機能の方が気軽な感じはします.ただ,質問された側は講演中に回答しようとして慌ただしく感じてしまうのかな.そうだとするとあんまし気軽に送らない方がいいかも...

(iv)についてはオフラインでも前の方に座ればいいし,(v)については座長が適宜注意すればいいので,良い点かなとは思いましたが,オフラインでもそもそも深刻なデメリットではなかったかもしれません.

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オンライン学会の良くなかった点

一方で,これまでのオフライン学会と比べて良くなかった点は,

(1) タイムキーパーの計っている時間がわからない(講演直後に質問する際,残り時間が不明)
(2) タイムキーパーの鳴らすベルがノイズとみなされるからか,ほとんど聞こえないことがある
(3) 聴衆の反応がわかりにくい.
(4) セッション終了後,聴衆が静かに退出していくのがなんとなく寂しい.
(5) セッション終了後,気軽に質問することが難しい.
(6) 弘前に行って現地のおいしいものを食べる機会を逃した.

これらのうち,いくつかは簡単に改善できそうに思います.

(1)については,たとえばタイムキーパーの人のビデオをオンにして,デジタル時計を映しておくとか,タイムキーパーの人がこれまでベルを鳴らしていたタイミングでチャット欄に残り時間を流すとかできそうです.(2)については(1)と一緒に解決できるか.

(3)については,講演者や聴衆が,可能ならビデオオンにして良いかもと思いました.せめて質疑応答のときだけでもビデオオンになっているといくらかやり取りしやすいんじゃないかと.ビデオオンを強制にするとそれはそれでいまいちそうですが,特に若い講演者にとっては自分自身のことも聴衆に覚えてもらいたいって意図がある場合もありそうですので,ビデオオンにしたいって意見もあるんじゃないかな.けど,そうして限られた時間だけ一部の人がビデオオンにするだけでも,ネットワーク環境がいまいちな人にとっては重くなってしまうようなら,ビデオオフにすることは仕方ないのでしょうか.

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(4)はどうしたらいいんでしょう.これも解散時にビデオオンにして拍手するとか,拍手スタンプを送るとか.司会というか,座長がうまくまとめてくれたら,なんとなく寂しい感じは薄れるのでしょうか.

(5)はけっこう致命的な感じがしていて,そういう場でのやり取りがきっかけとなって新しい研究の着想が得られることもあると思うので,なんとか改善すべき点な気がします.研究会によっては,SlackやGoogle doc等を用意して講演中以外での質疑応答のハードルを下げてくれているものがあって,そこそこうまく機能している気がするので,良い感じに取り入れられるといいんじゃないでしょうか.
あと,研究会によっては,Gather TownやRemoといったサービスを活用した交流の機会を用意してたりするようです.ちゃんと使ったことないのですが,どうなんでしょうか.

(6)はちょっとどうしようもない気がします.ぐぬぬぬ...

今後の年会

今後の学会はどうなるのでしょう.当面はWithコロナの状況が続いてオンラインでしょうか.

私は,オフラインとオンラインのどちらが良いかと聞かれたら,断然オンライン派です.さらに言うといっそオンデマンドにしてくれないかなって思ってます.そうなったら待ち時間なしに聞きたい講演を選んで聞くことができて,さらにその中でも興味のない部分はスキップできて,効率がいいんじゃないかと.

少し前に開催されたSAZERACという国際研究会では,まさに海外からの参加者にも配慮して,リアルタイム配信だけでなく,それを録画した動画のオンデマンド配信も用意してくれてて好印象でした.
ただ,オンデマンドで視聴した講演に対して,後からSlackで質問しても,必ずしも返答が得られなかったのはちょっと不満でしたが.講演者がSlackユーザでないとメンションに気付かないからか.

オンラインとオフラインのハイブリッドの形もあるんじゃないかという意見をどこかで目にしましたが,私はハイブリッドはいまいちかなと思っています.リモートワークの場合もそうですが,オフラインとオンラインが混在する場合,どうしてもオフライン参加者に比べてオンライン参加者は議論などにおいて取り残されがちですよね.あと,オフラインもオンラインもケアしないといけなくなると,運営側はとても大変な気もします.

そういえば,今回は懇親会がなかったのですが,なんとか開催できないものなのでしょうか.

そして他の学会はどんな感じなのでしょうか.もっといろいろな事例を知りたいところ.Noteでも検索したら興味深い記事がいろいろとヒットしました.

今後どうなっていくかはわかりませんが,もしオンラインが続く場合は,リモート開催の学会や研究会の経験はいろいろ蓄積されてきていると思うので,そうした経験をもとに良いところをどんどん採用して試行錯誤していただけることを期待.


追記1:
講演で,画面共有時のトラブルはほとんどありませんでした.Withコロナ前からすでにZoomを使ったテレコンは多々開かれていたため,多くの人は操作に慣れていたからかなという印象.

見かけたトラブルは2件だけ.そもそも画面共有ができないというものと,画面共有を始めたらフリーズしてしまったというものでしたが,いずれも事前に提出されていたバックアップスライドを運営側がすみやかに画面共有することで大きな問題なく講演できていました.

オフライン開催の年会でもトラブルはまれにあって,例えばプロジェクターにうまく接続できずに講演時間がどんどん過ぎていく,といった事態が発生することがありますが,オフライン開催の場合でもバックアップスライドの提出を求めたら,講演時間を大きく失うような深刻な事態を防ぐことができたりするのかなと思いました.


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