マガジンのカバー画像

平安文学・漢文など

8
源氏物語、枕草子、蜻蛉日記、樋口一葉など
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

「論語」と「自己への配慮」4 政治的なパレーシア 司馬遷

前回はパレーシアに踏み込んでしまった。古代中国で政治的なパレーシアをしてリスクを取られないようにするには孔子にはコツがあったのか?それは、

子張第十九
一〇(四八一)
 子夏がいった。――
「君子は人民の信頼を得て然る後に彼等を公けのことに働かせる。信頼を得ないで彼等を働かせると、彼等は自分たちが苦しめられているように思うだろう。また、君子は君主の信任を得て然る後に君主を諌める。まだ信任されない

もっとみる

「論語」と「自己への配慮」2

それでは、論語にギリシア哲学の自己への配慮の似たところがあるか見ていこう。

まず、
修得について、ギリシアの思索をフーコーに紹介してもらおう:
ミシェル・フーコー「性の歴史3巻」 新潮社 「自己の陶冶」より

《自己の陶冶≫について手短に特色をあげるならば、生活術生活技術 (technê tou biou) がそこでは「自分自身に気をくばる」 べしとの原則によって圧倒的につらぬかれている点であろ

もっとみる

「論語」と「自己への配慮」1

 ギリシア哲学などの古代の思索をミシェル・フーコーに導かれ読んでいる(*)と、ギリシアの思索には我々がよく知っている実践が随所に現れ、西洋の倫理の実践のコアが私たちにとっても特殊でないことに気がつく。
(*)「性の歴史」2・3巻
 フーコーによればそれらのコアはキリスト教により屈折したり弱まったり強まったり、復活したりしてしている(**)。
(**)フーコー講義録 自己と他者の統治
 それらのサマ

もっとみる