僕を生かす言葉たち

1

 ハロー、皆さん。
 僕は今新幹線に乗って旅行に行くところです。無職でも友達はいるので、旅行に行くんです。
 あ、でも転職活動はちゃんとしてます。ご心配なく。

 僕は窓際のE席を予約したはずなのですが、そこにはすでにおじいさんが座っていました。おかしいなと思います。仕方なくD席に座りました。
 でも、おじいさんは楽しそうに窓の外を見ているので、まあいっか、と思い直しました。
 僕はどうせこのようにnoteを書いたりして窓の外は時々見る程度なので、おじいさんの方が車窓風景をきちんと楽しむだろうと思うからです。
 おじいさんと僕との幸せの総和は、きっとこっちの方が高いのです。

 何一つ悪意なくこう書いたのですが、長く語りすぎてしまったのでかえって恨み言みたいになってしまいました。

 本題に移ります。

 今回は僕を生かす言葉を紹介します。ふとした時に思い出して励まされるというか、啓蒙を与えてくれるというか、そういう大切な言葉たちです。言葉と言っても、それはそのまま信条だったりします。

2

ゆるすつもりで考える

 同じようなことを言う人はたくさんいると思いますが、一応、これは僕のオリジナルとしておきます。

 意味はそのままです。理不尽や、不都合に直面した時、腹を立てるのではなく、ゆるす方向で考えるというのです。

 このワンクッションを置くと、何が起きるか。

 客観視できるのです。相手と自分との問題の場合なら、相手の気持ちを想像するきっかけになるのです。
 腹を立てると、分かる話も分からなくなります。それよりはよっぽど生産的だと思います。
 言い争いも嫌いですし、穏やかでいるために、僕はゆるす可能性を捨てません。
 ただし、どうしてもゆるせない時は、無理しないでください。

「きっと、そうか。」
「羅生門」下人の台詞

 同じくこれもゆるす方向の言葉です。より正確に言うなら、強い肯定の言葉でしょうか。
 これを呟けば迷いが消えます。大体、みんな、腹の底では自分の答えは決まっているんです。「きっと、そう」なのです。迷わず進みましょう。

 伝わったかわかりませんが、話すと長いので、次にいきます。

3

どんなに恐ろしい同調圧力の下であっても、心の中ではそっと不同意の姿勢を貫くこと。そして、大声を張り上げなくてもよい、小さな大事なものをそっと守り続けること。それが、文学に携わるわれわれ全員の仕事ではないかと思うのです。
沼野充義

 沼野充義さんは東京大学の名誉教授で、お年を召されて引退される際、YouTubeの動画で、このようなことを言っていました。リンクを貼っておきます。2時間もある動画です。僕はこの言葉をたまたま見つけただけで、全ては観ていませんが、いい言葉だなと思いました。

 説明は特にいらないかと思います。
 立場の弱い者に寄り添った、やさしい助言ですね。
 まあ結局、これも「ゆるし」の言葉なのかもしれません。

4

人生はタライの中の水
TV番組「オモうまい店」のとある店主

 テレビを観ていたら、次から次へとサービスの料理やお菓子を客に提供するお店が映っており、このようなことを言っていました。

 タライの中の水を、自分の方へかき寄せても、水は相手の方へ逃げていきます。
 しかし水を、相手の方へ送るとどうなるでしょうか。
 そうです、自分の方へ返ってくるのです。

 店主さんはこれを信じており、それで、サービスを与え続けるのだそうです。
 なんと素敵な精神でしょう。
 僕は感動して、同じく、そのように努めようとしています。
 社会というタライは大きいので、いつ自分に返ってくるのかはわかりません。

5

人間は好き嫌いで働くものだ。論法で働くものじゃない。
夏目漱石『坊ちゃん』

 これはそこそこに有名でしょうか、夏目漱石の言葉です。

 個別指導塾でアルバイトをしていた時、僕は生徒によく学んでもらうために、まず僕のことを好いてもらおうと考えました。その根底に、この言葉があります。
 復習の大切さを論理的に説明するのは簡単ですが、そんなんで子供は動かないわけです。
 だから好いてもらう。好きな人の言うことなら聞くでしょう。もちろん勉強もしますが、勉強と関係ない話もいっぱいしました。
 このやり方はだいたいうまく行きました。「だいたい」と書いたのは、一人の生徒に本当に好かれてしまって大変だったからです。これは予想外でした。

 人を動かしたい時には、好きと言う気持ちにアプローチすると良いかもしれない、という啓蒙です。
 あ、もちろん恋愛的な意味の「好き」ではありません。

6

 いかがでしたか。結構ちゃんと書いたので、参考になった人もいるんじゃないでしょうか。
 毎回、遠くの僕を見つけてくれて、スキが飛んできて、嬉しい限りです。欲を言えば、もう少しみつかりたいです。

 僕が生かされている言葉はもう少しある気がしますが、今思いつかないのでこれで終わりにします。

東京から出発した新幹線は、ただいま名古屋に着きました。隣のおじいさんは相変わらず窓の外を眺めています。僕とおじいさんはまだ降りません。もうしばらく、席を間違え続けましょう。

俺の熱 俺のうわごと 俺の夢 サンダーバード全機不時着
穂村弘

これは、どうしようもなくやるせない時に思い出す短歌です。

それでは。また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?