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大学1年 冬③初めてサークルを立ち上げたら最初から40人いて、ビビりながらジョージを目指す人

バイト先の洋服屋に新しく大学生が入ってきた。

大学4年生の先輩らしい。

全身ヴィヴィアンウエストウッドの関西人だった。

僕とは系統が全然違うけどオシャレだなぁと思った。

彼はラッパーでもあるらしい。自分のCDを持ってきてお店でもかけていた。

自分の曲をバイト先でかける勇気もさることながら、自由人すぎる笑

さて、そんな彼の身の上話を聞くと、どうやら海外留学しに行っていたとのこと。

しかもニューヨーク。めちゃんこかっこいい。

ニューヨークでヒップホップに触れてきたラッパー関西にーやん。

これはモテるだろう。


ちなみに彼にはレギュラーで出演してるヒップホップのクラブイベントがあるらしい。

羨ましい。

俺もそんなん出たい。

これまでの僕は師匠のバーターみたいな感じだった。

しかし、実はこの頃、ダンスの師匠がNYに修行に行くことになった。

ダンスのレッスンをする人がいなくなったので、自然消滅的にダンス練習はなくなった。

このままだとダンスを教えてくれる人がいなくなるし、出演するチャンスもなくなる。

僕は自分でダンスを練習する環境を用意する必要があった。

"有名な師匠の教え子"の肩書きがなくなったら、僕はただの未熟なダンサーでしかない。

いつかスキルを磨いて、関西にーやんのイベントにも呼んでもらえるように頑張らないといけない。

そこで、大学内にサークルを立ち上げることにした。

とりあえず、10人以上集まればサークルとして申請が出せる。

サークルになれば場所も取れるし、なにより部費もでる。

練習に使う音楽プレイヤーも欲しい。

ええこと尽くしやないかーい!

よっしゃ、新入生が入ってくるまでにサークルにしておこう!

こうして僕は部員集めをすることにした。


まず、声をかけたのはバイト先も一緒のあべん。

彼はハウスダンスならやりたいと言うことで即署名をしてくれた。

その後は友達を中心に、飲み会で出会った人たちを片っ端からダンスやらないかと誘った。

途中からは"お前がやるならいいよ"と、大学内の不良たちがどんどん名簿に名前を書いてくれた。

そして気付いたら目標を大きく上回る40人超えのサークルが出来上がっていた。

こわい。

我ながら、とてもこわいサークルになってしまった。

だが、気にしない。

ダンスやりたいやつは真面目に来るだろう。

とりあえず、謎にたくさん集まってしまった僕らの最初の目標は、来年度の新入生への部活紹介でのダンス発表。

初心者ばっかだから、それくらいがちょうどいい。


街ではどこへ行ってもDragon Ashが流れていた。

歌詞の意味もよくわからず、僕たちは頭を振って歌っていた。

この頃はなんにもこわいものはなかった。

ただ、ひたすら前を進むだけ。

それだけで道がどんどん開いていってる気がしていた。

部活紹介で発表するダンスを練習しながら、バイトもしっかり行って勉強する。

ところで、バイト先にはファッションの勉強のために様々なファッション誌が毎月届けられていた。

その中でも"ジッパー"という雑誌には漫画が載っていた。

この漫画は、ファッション学生の主人公がコンテストを目指して奮闘するストーリーが載っていた。

僕も、彼のようにファッションデザイナーとして頑張りたい!

いやむしろ、小泉ジョージになってやる!

こうして、パラダイスキスの小泉ジョージに憧れた僕は、大学生ながらにまぁまぁ悪目立ちするファッションに染まっていくことになる。


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