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大学1年 夏④ダンス三昧の夏とラーメン大好きダニーさん

今回僕らダニエルカーターズが出演するのは、地元のターミナル駅そばにあるかなり大きなライブハウスで開催される高校生向けのバンドコンテストの地方予選。

このコンテストは全国大会も開催されていて、かなり有名なバンドもこれまでデビューしてきたのだそう。

そんな場所で踊れるなんてテンションが上がる。

そして僕らは毎日、ターミナル駅のロータリーにラジカセを持って行って練習を繰り返していた。

夜が近づくと、大学生や社会人ダンサーが激増する。

僕らより上手な人もいっぱいいて心折れそうにもなるけど、しばらく通っていると周りの人たちと仲良くなるようになって

徐々にアドバイスをもらえるようになっていった。

ちなみに、ロータリーで踊っている人の多くは地元の芸大の人たちなんだそうな。

学祭が近いからみんな練習に必死なんだと。

そういややたらオシャレな大学あったな。

学祭も行ってみたい。

そんなことを思いつつ、まだ高校生のカーターの親が心配するだろうからと暗くなる頃には帰路に着くような、実に健康的な生活を送っていた。


今回の振り付けは、主にダニーと僕の2人でパート分けして作った。

とは言っても2人ともダンサーとしてはまだまだ半人前。

持ちうる限りの知識をフル動員したり、当時はやっていたDVD付きのダンス雑誌を見たりしながらショータイムに耐えられるように仕上げていく。


ちなみに、実はこの夏に北海道の音楽フェスでのステージに出演することが決まっていた僕。

ダニエルカーターズとしても出れたらいいなぁなんて思いながら、そこに向けた練習も合わせて行っていく。

地元に踊れる場所があって本当に良かった!

それにこんなにダンサーがいることもビックリだった。

毎日たっぷりの汗をかいて、まさに「青春」な夏を過ごしていた。


あっという間に迎えたバンドコンテストの日。

地元に新しくできた大型のライブハウスで開催される。

リハーサルで会場入り。

でかい!

演劇のステージと違って、座席がないからお客さんとの距離がとてつもなく近く感じられた。

ステージの高さもないから、とにかく身体を大きく使って後ろの人まで見えるようにしよう!

そんな話をしてリハーサルを終える。

いよいよ客入れ。

地元の高校生バンドが勢揃いしていたこともあって、ギュウギュウに観客が入っていた。

コンテストが始まる前のゲストライブの時間に僕らの出番がはいる。

ライブハウス特有の大音量でBGMと紹介のMCが流れて、ステージに立つ。

板付きでスタート。

爆音で流れる日本語ラップ。

ライブイベントで打ち込みのサンプリングミュージックで踊る違和感もさながら"とにかく身体を大きく"と3人で声を掛け合ってステージに立ったのがよかった。


会場は大盛り上がり。

5分があっという間に過ぎ去った。

ステージから客席側に出ると、観客から歓迎のハグやらなにやらでもみくちゃにされた。

やって良かった!

あらためて、ウダことカーターに感謝の言葉をかける。

カーターはピアスバチバチに開けててちょっとグレてるJKだったけど、ダニエルカーターズの時は大人しくて素直な女の子になる。

歳上2人に挟まれてたらそうなるか笑

カーターの嬉しそうな顔を見て、俺もダニーも笑顔になる。

無事にバンドのコンテストが終わって片付けをしていると、綺麗なお姉さんから名刺を渡された。

このホールのイベント企画をしている人らしくて、直近で開催される大人のバンドイベントに、ぜひゲストとして出演してもらえないかとのことだった。

ダニエルカーターズとしてのまだまだ未熟な3人ながら、大人に評価されたことがめちゃくちゃ嬉しかった!

しかもスケジュール的には俺がまだこっちにいる時期。

今日は祝杯だー!


イベントの片付けを終えて、僕ら3人は打ち上げをすることになった。

でも、高校生もいるし居酒屋とかはさすがに無理だ。

とにかくお腹もぺこぺこだったから、駅の近くでラーメンを食べることになった。

僕の地元では当たり前のからし味噌ラーメンは北海道にはないから、地元を堪能して行ってくれ!というダニーの提案だ。

さすが仕事のできる男!やるやん。

僕とカーターは、普通のからし味噌ラーメン。

ダニーは1番辛いやつにチャレンジすると言い出した。

すごいねー!さすがー!

みたいな軽いノリで到着するのを待っていると、すぐ到着。

まずは僕とカーターが頼んだ普通のからし味噌ラーメン。

うん。美味しそう!

昔ながらのちぢれ麺の醤油ラーメンにからし味噌が乗っかっているのが特徴。

そして、いよいよダニーの最強大辛からし味噌ラーメンが到着。

第一印象は、赤い。

そして、スープがカレーライスみたい。

しかも数日煮込んでドロドロのやつくらいの粘度。

ダニー、こんなの食えるんだ、、、

そう思って彼を見る。

「ま、思ってたより辛そうだけどイケるべ」

なんか普通のリアクションだ。

すげぇ。


「とりあえず、今日は本当にお疲れ様ー!次のイベントもよろしくー!それでは、いただきまーす!」

3人一気に麺をすする。

「ゲホッ!ゲホッ!」

ダニーが一口目で吹いた。

そりゃそうだろ、どう見ても辛すぎるよソレ。

でも顔を真っ赤にしながら水を含んで呼吸を整え、そのまままた麺をすすりだした。

こいつ、まじで根性すごいな。

尊敬の気持ちすら浮かんできた。


僕とカーターがラーメンを食べ終わる頃も、ダニーにはまだ半分くらい麺が残っていた。

ダニーは"ちょっと、そのスープもらっていい?"と僕にスープをねだる。

もちろん!と思って食べ終えた器を渡すと、彼はつけ麺のように僕のスープに自分の食べている大辛の麺をつけて、洗い流すようにして食べ始めた。

一瞬にして、僕のスープすら真っ赤に変わる。

あのラーメン、唐辛子どんだけ入ってんだよ、、、

ダニーは汗と鼻水と涙と、身体中から水分が吹き出まくっていた。

クールな彼がここまでなるとは、、、大辛からし味噌ラーメン、恐るべし。

ヘトヘトになりながら無事完食。

3人で店を出る。

これ以降、3人でごはんに行く時にラーメンという選択肢は誰ともなく言い出すことがなくなった。


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