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天才少女の爪あと①

北島マヤは天才です。
漫画「ガラスの仮面」を読んだことのある人なら、それを疑わないでしょう。

ずば抜けた天才であるが故に、彼女は周りの人を振り回します。本人の自覚なしに。

マヤと共演したがために、翻弄され自分を見失った役者たち。
ここではそんな彼らを考察します。

case1 : 真島良まじま りょう
マヤが15歳の時に「嵐ヶ丘」で共演した役者です。
それぞれ少年少女時代のヒースクリフとキャサリンを演じました。
恋人の絵川由紀と共演できると思っていた真島はマヤが選ばれたことに最初は不服でしたが、やがてマヤの演技に魅せられていきます。

かつていろいろな女の子を好きになったし、いろいろな女の子とつきあってきた。
けれど…
これほどまでに激しく愛されたことがあったろうか…?
     「ガラスの仮面」文庫版第5巻より

勘違いするな、真島くん。
マヤが見ているのはヒースクリフだ。きみではない。

マヤの演技にのせられて真島もヒートアップし、大人時代を演じた主演役者をしのぐペアとして話題になりました。

千秋楽を終えマヤの気持ちがとっくに次の舞台へと移っていても、真島のマヤへの思いは消えません。
マヤの次の舞台を連日観に行き、由紀が訪ねてきても会おうとしません。
ついにマヤを呼び出して交際を申し込みますが、マヤはとまどいながらも断ります。

あきらめろ、真島くん。
天才少女の踏み台となったことを誇りに思うしかない。

case2 : 里美茂さとみ しげる
ヘレン・ケラー役で助演女優賞を獲得したマヤはテレビの大河ドラマに出演することになり、高校生女優として人気者になります。
そのドラマで共演したのが里美でした。

青春ドラマのスターであるのにおごったところがなく、爽やかで優しい里美にマヤは徐々に惹かれていきます。
里美も例によってマヤの演技に魅せられます。

真島の時と大きく違うのは、今回はマヤ自身が里美への恋心にとまどって演技ができなくなったことです。

あたしいったいどうしたの?
演技ができなくなるなんて!
本番中なのに!
     「ガラスの仮面」文庫版第8巻より

天才少女も人の子でした。

やがてふたりは公の場で初恋宣言をし、その場にいた速水社長が衝撃のあまりグラスを素手で割って血を見るという展開に陥らせます。

しかし、ふたりの交際もマヤの母親の死によって終わりを迎えました。
絶望の淵にいるマヤは彼を必要とせず、里美も深く追おうとはしませんでした。
その時の里美の思いは、のちに桜小路優によって晒されることとなります。

長くなりそうなので、case3以降は次回へ。


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