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猫詐欺 (笑) に遭ったときのこと ④

ネズコを保護して2ヶ月ほど経ったある日、猫広場のニャミリーの中の
老猫氏が、突然天国に行ってしまいました。

その日に限って、所用で夕方の給餌に行くのが普段より2時間近く遅かった
のですが、そのことがうまく働いて諸々のタイミングが合致し、私が彼を
最後まで見送る運びとなったのは、まず幸運だったと思います。
ひとつ何かがずれていたら、私は彼が亡くなっていることに気がつかず、
知らないうちになきがらを回収され、彼の行方は永久にわからないままに
なってしまったという可能性もあったので。

動揺しつつも、方々に電話をかけ、さまざまな段取りをつけて、他の子
たちの食べ残しを片づけていた時でした。
ふいに背後から声をかけられ、びっくりして振り向いたら Y さん。

あの、真後ろ (まじで背後1メートル) に立たないでもらえます?
私がデューク東郷だったら撃たれてますよ。
つーか撃ったろか?

彼女ときちんと顔を合わせるのは、ネズコの保護前以来でした。
バクバクする心臓を抑えつつ、

「老猫くんが亡くなっちゃったんですよ」

と言ったら、Y さん

「はい、知ってます」

知っとったんかい。

「夜に、人知れず埋めてあげようと思って (原文ママ)」

状況から察するに、私より数時間は早く、猫が亡くなってる姿を
見つけていたっぽい。

で、私が気づいてあれこれ手配し終えるタイミングを見計らって、
声をかけてきたらしかった。
(一体どこから窺っていたのやら?)

そうですか、何時間も前に彼の死を知りながら、ほったらかしにして
いたわけですか。
できもしないことを言い訳にして。

生き物が亡くなった姿が怖いというのなら、わからなくもない。
私だって怖くなかったわけじゃないもの。
それならそうでお為ごかしをいわないで、怖かった、どうしたらいいか
わからなかったといえばいい。

何が人知れず埋めてあげようと思っただ。
こんな住宅街の一体どこに埋めるっていうのさ。
そんなことするくらいなら、市役所にでも問い合わせる方が何倍も
簡単だろうに。
ってか、私の動向を見張って頃合いを計る程度の知恵はあるくせに、
もっというなら猫広場に現れなくなった猫を気にして専用のサーチ
サイトで検索して情報収集する (前に自分で言ってた) くらいの執心も
あるくせに、電話の1本や2本の手間を惜しむとか。



Y さん、私の前で老猫のなきがらを抱きしめて泣き伏し、その耳もとに
何か囁くという儀式を2〜3分。
芝居がかったパフォーマンスとしか思えませんでした。
そんなの、私が来る前にやっておく時間なんかたくさんあったじゃない?

でもまあ、老猫は亡くなっちゃったわけだから、本当に最後だからと思い、
明日〇時に市の担当者が迎えにくるけど、その時に見送りにきますか?
と訊いてみました (ほんと、バカなお人好しの私である)。

Y さん 「いいです」 と即答し、あっさり踵を返して去っていきました。
ワタシ劇場をやり遂げて、すがすがしい表情で。

・・・ 毎度のことですが、Y さんと話すと、狐につままれたような気分に陥る
というか、不協和音を変拍子で聴かされ続けたみたいに情緒がおかしくなる
んですよね 💧






余談ですが、別の猫好き女子大生ちゃんにも老猫氏の訃報を伝えた
ところ、ぜひ一緒にお別れしたいと翌日お花を携えて来てくれました。
女子大生ちゃんのコミュニケーション力・共感力の高さに、Y さんと
接して乱れた情緒はだいぶ癒されたのでありました 🙏


(つづく)

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