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新型コロナウイルスがもたらしている本当の脅威

日本国内では約1年前の2020年初頭以降、パンデミックとなり猛威を奮っている新型コロナウイルス。第一波後に一時減衰傾向にありましたが、またぶり返しが起こり、更には変異株が登場しています。日本でも2度目の緊急事態宣言発令中(2021/3/10現在)であり、ピークは過ぎた感じはあるものの、一気に収束とはまだまだいかないであろう状況です。後にも述べますがワクチンの登場、そして特効薬の登場により収束に向かうのか。まだまだ予断を許さない状況です。インフルエンザのような形になれば一旦の収束と言えるかもしれませんが、コロナウイルスの場合、夏場も比較的猛威を奮っていたので、高温多湿にも強く、インフルエンザのようにはいかないのかもしれません。

今回、その新型コロナウイルスによる医学的なもの以外の影響について書いてみたいと思います。大いに懸念しており、そしてまた、一歩一歩着実にそちらに歩みを進めていることです。

新型コロナウイルスにより、私たちの生活はどう変化したでしょうか?三密を避ける、新たな生活様式。ウェブを活用したリモートワーク。いわゆる「対面」の機会を減らす方向で進んでいます。これは今回のウイルスの性質上、あるべき対策と思っています。このこと自体を否定する立場ではありません。

密を避けることで生じるリスク

ただ、私が懸念しているのは、まさにこのこと、つまり「対面の機会を減らす」ことです。そして、それを契機に起こりうる「分断」を大きく危惧しています。

「分断」は既にコロナ禍前から起きています。一番象徴的な出来事が「トランプ大統領の登場」でしょう。人類は今もなおグローバル化の方向に舵を切っています。グローバル化により便利になること、発展すること等々メリットも沢山ありますが、他方、デメリットもありますし、それに反発を感じる人も少なからずいます。そういう中で出てきたのがトランプ大統領であり、またブリグジットや各国での極右政党の躍進など、呼応する形で世界はグローバル統合の方向性とは真逆の「分断」に歩みつつあるように見えたのです。トランプ大統領はアメリカ大統領という、世界で最も影響力の大きい首領ですので、これは大きなムーブメントの一つとなりました。

なぜ人類はグローバル化に向かっているのか?

ただ、そもそも何故世界はグローバル化の方向に歩んだのでしょうか?この原点をしっかり見つめないと見誤る可能性があると思います。

分断の歴史は過去にもありました。寧ろ、分断されているのが長い間の世界のスタンダードでした。そういう中でグローバル化の契機となる大きな出来事が起こります。第二次世界大戦(日本での太平洋戦争)です。大戦前の世界はまさに分断された世界でした。日独伊の軍事同盟を基軸とした枢軸国側と、米英を中心とした連合国との分断。歴史的にもこうした分断は繰り返してきましたが、文明が発展したこの時には大きな悲劇と犠牲を伴います。たった一回の攻撃で世界を一変させる武器、そう、核兵器の登場です。当時の原爆とは比べ物にならないほど、今の核兵器は進化しているのです。一度これを使えば狙われた国は大きな被害が出るでしょうし、もしかしたら地球にも影響が生じるかもしれません。人類は地球を壊しかねないものを作ってしまったのです。

こういう反省の中で、第二次世界大戦後に作られたのが国際連合です。そしてこの事はグローバルで協調する時代の第一歩となりました。ただ、この時点では西と東の対立(冷戦)が残っていました。ソ連の崩壊により冷戦構造も崩壊し(とはいえ、中国やロシア、北朝鮮等冷戦時代の産物が完全に解決されているわけではありません)、グローバル化がより加速されていきます。

そうです、グローバル化とは人類が過去の歴史の反省も踏まえ、同じ過ちを繰り返さないための方策なのです。ですので、いくらその反動としての「分断」を求めるムーブメントが起きても、実はぶり返しのようなもので、大きな流れとしてはグローバル化が進んでいっています。これはトランプ現象後もそうでした。トランプが煽った分断に乗る流れもできましたが、それでもなお、大河はグローバル化の方向に流れています。実際、バイデン政権になり、再び国際協調へとアメリカが舵を切っています。トランプの4年間では、このグローバル化の流れは変えられなかったということだと思います。

分断第二派としての新型コロナウイルス

このトランプ現象を分断の第一派とするならば、第二派として出てきたのが新型コロナウイルスによる分断です。これは第一派とは違って思想ではなく、生命の危機に対する現実的な対策として人類が否応なく対処せざるを得ない結果の分断です。ですので、この対処法自体を問題視する訳では決してありません。その結果としてついてくる分断を、僕は懸念するのです。

現在、ネット上(主にSNS)では、様々な意見が飛び交っています。勿論、傾聴に値する専門家による貴重な意見も見受けられますが、他方、いわゆる「トンデモ」と言えるものも散見されます。そして、このトンデモ論の多くは、分断を助長する方向で論が展開されます。例えば、コロナワクチンにおいて、一定数の「反ワクチン派」という人たちが存在します。ちなみに、反ワクチンの思想は今に始まったことではなく、常に存在しています。自身の健康に対する考え方の違いなので、思想としては理解しますが、反ワクチンの厄介なのは、伝染病ですので、彼らがスーパースプレッダーになり得るという点です。つまり、99.9%の人がワクチンを摂取し、感染拡大や重症化を未然に不正だとしても、その僅か0.1%を媒介として感染が拡大する可能性があるということです。まあ、これも多様性社会の中で享受せざるを得ないことなのかもしれません。

オンラインは万能コミュニケーションツールか?

また、リモートワークやオンライン授業等を多くの方が経験されているかと思います。確かに、ウェブを使えば世界中と繋がることができます。ただ、やっぱりオンライン会議システムでは足らない何かを感じることはありませんか?

人類は生活を豊かにする上で色々なものを発明してきました。コミュニケーションツールですと、手紙(郵送)があり、そして、電話が出てきました。もし、リモートコミュニケーションが対面と完全に同価値であれば、そもそも電話で殆どのコミュニケーションは事足りるはずです。テレビ電話の登場で、全てが解決されるはずです。ですが、やはり、重要な話をするときは人は会って話しています。次にメールが登場します。これも劇的に仕事を効率化させました。ですが、やはり電話と同じく、メールでは上手く伝わらない部分があり、コミュニケーションのズレによりかえって不信感を生んでしまうような事態も起きました。メールでやり取りしつつ、最終的には会って解決するようなことも頻繁に起こります。

そうです、やはり人間は言葉や文字だけでコミュニケーションを取るのではなく、表情や仕草、雰囲気を感じ取りながらコミュニケーションを取ります。今のオンライン会議システムですと、綺麗な動画で見れますので、表情等は分かるのですが、やはり対面で得られる情報と比べると圧倒的に不足するのです。あくまで画面内の人は画面の中の人です。テレビで見る有名人を実際に見たとき、思ってたイメージと違うことはありませんか?やはり、実際に会うこととそれ以外のツール(手紙、電話、メール、オンライン会議、、、)には情報量に大きな差があり、そのことが最終的に決定的なズレを生みかねないのです。

「会う」ことの変え難い価値

僕の尊敬している人の一人に、チームラボ代表の猪子寿之さんがいます。猪子さんはこのコロナの状況を踏まえた上で、「人は密へと向かっていて、いずれ元の世界に戻る」と仰っています。

チームラボ猪子氏「人は生きている意味を求める」

こちらの記事では、まさに「反分断」をキーワードとして挙げられていて、私はそれに同調している訳ですが、人は対面コミュニケーションでようやく、その意味や価値を見出し、連携し、協調していきます。部分的にオンラインや電話、メールで効率化は図られますし、それはそれで大いに技術革新されていくべきですが、やはり最終的には直接会って笑顔で握手をする。それこそがコミュニケーションを円滑にし、信頼関係が生まれる唯一無二の方法であると思っています。

繰り返しですが、現在の「蜜を避ける」状況は致し方ありません。それを否定するつもりは毛頭ございません。ただ、現在推進されているリモート体制は決して万能の解決策ではなく、急場凌ぎに過ぎないということです。最終的には物理的な移動を伴った「対面」に世界は戻ると思いますし、そのことが「分断」を止めるファクターになるでしょう。

Webが得意なのは一方向性

そういう考えの中、私もTwitterやFacebookといった双方向SNS(と言われている)ツールはほぼ使わなくなりました。これらは双方向で議論するのに適していると思わないからです。寧ろ、分断を生みやすいツールと考えています。あくまで、できれば対面、それが難しければ限られたメンバー間でのコミュニケーションを重視したい考えです。逆に、このnoteは一方向性が強いため、不特定多数の方とのコミュニケーションには向いていると思います(ブログも同様です)。要は、オンラインは基本、一方向ツールであるということです。双方向でしっかり議論をしたい場合は、やはり対面でやるべき、と考えています。

今のコロナ禍はどうしても分断の方向にいかざるを得ず、このことが決定的な亀裂を生んでしまう恐れもあると思っています。他方、長期的に見れば、コロナが収束し、やがて反分断の波がやってきます。それまで反分断の攻勢を人類は耐えられるかどうか。人類の耐性を試されているような気がしています。

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