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白飯にあう焼売を食ったことがあるか

小栗ばりに中華料理屋で貪り食いたい衝動を覚えるように、この歳になるとなんだか自分の価値観というかある程度の想定の中で消費を行うものである。と、思う。

先週の土曜日、自分はすっかり忘れてしまったのだけれども、僕のワイフが素晴らしい飲み屋さんがあるから一緒に行こうと予約を取ってくれたのだった。ワイフが。二木さんの様に自分の奥さんの事をワイフと呼びたいので少しずつワイフと口に出す様にしよう。…そんなワイフは百貨店のバイヤーを知り合いにもつ友人に誘われてその店に行ったことがあり、それはもう感動して3ヶ月も予約が取れないなかやっとこさ予約にこぎつけて当日となったのであった。

さて、その飲み屋。カウンターのみ8席でメニュー無し。女性ソムリエと大将、女性スタッフ一名でカウンターに各席料理が映えるようにピンスポットが当てられていてモダンな佇まい。彼女のmodern。完全予約制で皆様揃ってからスタート。

私目、こんな感じに落ちぶれてしまってからは外で昔取った杵柄の様な飲み歩きなどしておらず、いいとこで串カツ田中ぐらいなもので久しぶりに飲みに出たなあ…と。ワイフに感謝である。

カウンターは私たち夫婦用の手前の2席が空いており皆様スタンバイ。スタンディング バイ。555。変身!

コートを女性スタッフに渡して着席と同時にソムリエがワイフに「お久しぶりです!」的な声掛けをしてから私にもご挨拶。ちとアウェーというか何とも言えない居心地の悪さを感じながらケツの座りの悪い都会のような気分となったが「何から始めますか?」というソムリエの質問に「日本酒で」と言うワイフの返答に黙って頷くだけのげに情けないことよ。

程なくして

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こんなん出てきた。食前酒の王道らしく甘みが強い微かな酸味の計算されたチョイス…を感じる味。

最初の料理は蕗の薹の天ぷら。荒目の塩でいただく。久しぶり蕗の薹。若くない大ぶりだったが香りはしっかりとして大変美味しゅうございました。岸朝子。で、ワイフは隣のご夫婦が飲んでいた物を飲むとのこと。私目はソムリエにお任せ。もうギャルソンというかハウスマヌカンというのが良いのかもしれないが、接客は一流で出てくる酒(日本酒)と料理(和食)も一流。何なら客も一流ぽいぞワイフよ。

何品目かにフォアグラ最中、刺身はクエ。デザートまで日本酒が料理に合わせてポンポン出て来る。勧められるまま飲んでいたが私目、日本酒あんまり得意じゃないの知ってるよねワイフよ。…でも全部美味かった。しかも悪酔いしなかった。隣のご主人は飲み過ぎたのか顔が真っ青になってたけど。

いや、本当に全てが素晴らしいと思った。皆様帰り際に次回の予約を取って帰るから予約の取れない店というのが良い分かった。…いやー本当に素晴らしい。お会計も。

¥42130

2人で2時間弱の料理とお酒のマリアージュを堪能した料金は、こんなおっさんになって初めての経験。こんな金の使い方するのも良いなぁ…。

…いやいやいや。今かぁ。そうか、今これかぁ。正直高ぇ。高ぇよワイフ。ワイフよ、次の予定とか入れなくて良いから。ちょ、ちょ待てよ。

と言うわけで次回の予約は4月2日。なぁ、皆んな。2時間で2人で4万円を超えるお会計の店に行った事はあるか?ぼったくりバーでは無いが、この店は今の俺には分不相応。しかしワイフはこの店で過ごす時間が活力になると。次回この時間の為にそれまで頑張ろうと思うと。それならば。それならばそれまでに俺の転職は成功しているのか。そしてメルカリで飲み代は稼げるのか。頑張ろうと思う。しかし無理だな。いや、最初から負けること考える馬鹿いるかよ!だな。

あぁ白飯に合う焼売が食いたい。

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