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香水を買ったお話。

先週、街中にあるデパートの一角で、ふとふわっと華やかな香りが漂ってきました。あたりを見回すと、近くに香水屋さんがあり、店内は男性も女性も、たくさんの人で溢れかえっています。なんだろう、最近は香水が流行っているのかな、などとぼんやり考えていた矢先、丁寧にリボンがけされたギフトバッグを受け取る女性を見て、ああ、バレンタインが近いからだ、と気が付きました。

最後尾に並んで10分、ようやく店内に案内されると、カウンターには綺麗に並んだたくさんのボトルが。いろんなブランドを扱うショップにある、形や色とりどりのボトルを見るのも楽しいけれど、統一されたガラスボトルに入ったフレグランスは一つ一つが宝物のようで、思わず魅入ってしまいます。店内は香りが混ざり合っていたものの、免税店のようなくどさはなく、調和がとれている印象を受けました。香水屋さん、何年ぶりだろうと思ったら約10年ぶり。アロマテラピーを初めてから、なんとなく市販の香水から遠ざかっていた気がしますが、プロの調香師の造る香りは、やっぱり素敵。

ふと手に取ったバラの香水に一目ならぬ一鼻惚れ。トップノートがとにかく素晴らしい、みずみずしいバラの香りそのもの!天才!思わず叫びそうになる衝動を抑え、迷うことなくレジへ向かい、きれいにラッピングをしてもらうと、自分までおめかししてもらったような多幸感に包まれながら帰路につきました。世の中色々な「香り」がある中で、自分が直感的に好きだと思える、刺さる香りに出会うことは、残念ながらめったにありません。特に探していたわけでも無いのに予期せずお宝を見つけることができるなんて、なんという幸運だろうと思いつつ、案外探していない時の方が、見つかるんだよなぁなどと、井上陽水さんの歌詞を思い出しながら電車に揺られていたのでした。

さて、今日はバレンタインデーですね。大切な人をイメージしながら、その人の纏う香りをえらんで、贈り物にした人も多いのだろうなと思います。誰かのための香水はもちろん素敵だけれど、自分のための香りの贈り物だって、とっても素敵なことだと思います。私は入浴後、まだ体があたたかいうちにお腹にシュッと一振りしてからお布団に入るのが、最近の楽しみになりました。好きな香りをまといながら一日を締めくくるのは、なんともいえない贅沢だなぁと感じています。慌ただしい生活に飲み込まれながら、あくせく労働する、そんな現実からすこしだけ逃避させてくれる華やかな香り。何歳になっても妄想が大好きな私は、たとえその日に辛いことがあったとしても、どこかの国のお姫様になったような気持ちで眠りにつくことができるのです。

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