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高校生のための映像講座(1)絵コンテを描くコツ

「絵コンテ」なるものを描いたことがある高校生は、ごく少数だろうと思います。簡単にいえば、デッサンと文章(物語)を合体させたもの。映像分野(映画、テレビ、CM、Web動画など)で用いられ、台本(脚本、シナリオ)と並び、重宝されるものです。

絵コンテには大きく分けて「アニメーション(映画)型」「CM(企画)型」の二通りがあります。

【1】アニメーション(映画)型の絵コンテ

VV_絵コンテフォーマット

こういった枠線のある紙に、デッサンと説明を書き入れていくのが「アニメ(映画)型」の絵コンテになります。ここでSは「シーン」、Cは「カット」の意味です。シーンは一連の場面を、カットは画面の切り替わり(編集でつながれる)で隔てられた細かい断片のことを指します。

たとえば、以下はとあるアニメーション作品の「シーン1」「カット1〜3」を絵コンテに表したものです。

VV_絵コンテ_作例v2

アニメーション型の場合、まずシナリオが完成し、次に監督または演出家がおおまかな絵コンテを描き(アニメの場合「絵コンテを切る」という)、作画班へ指示する「作業指示書」として作成されます(ごく希に、シナリオを完成させず、まず絵コンテから描き出す作品もあります)。

なので、秒数を書き込む欄があったり、カメラの動き方を示す矢印などがふんだんに描き込まれます。また、例にもあるように、同一のカットに対して複数のコマを描くこともあります。

こういった絵コンテは、高度な訓練を積んでからでないと描けないものです。しかし以下の「CM型」なら、比較的簡単に描くことが可能です。


【2】CM型の企画コンテ

CM(コマーシャル=企業の新しいサービスや商品を宣伝する映像)の現場では、発注元の企業(いわゆるクライアント)へ何を撮影すべきか提案するための絵コンテ(企画コンテ)を作ることがあります。

その際、以下のように1案を1枚の中で完結させておき、それを複数枚作ります。場合によっては色を塗り、丁寧に仕上げることもあります。

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CM型の特徴は、あえてコマの大きさを変化させ、秒数なども明示せず、ひたすら面白さを全面的にアピールすることです。また、1ページで完結するように作ることが、アニメーション型と大きく異なります。


【3】CM型の絵コンテを描くコツ

絵コンテを描くには、まずCMになるような短いストーリーを構想しなければなりません。15秒から30秒程度で説明できるような内容は、だいたい200字程度で説明できるものとなります。

パパ・ママ・子供の家族連れで賑わう近未来の遊園地……「記念撮影は、持参したカメラで」が20世紀の定番だった。でも、誰かがカメラを構えると、全員で写ることはできない。そこで、とある遊園地が新たなサービスを開始した。AIを搭載したドローンをスマートフォンから操作して、写真が撮れるというものだ。勢揃いの写真だけでなく、遥か上空までぐんぐん高度をあげながら動画も撮れるサービスは大人気に……。(200字程度)

こういった商品・サービスを発想できたとき、CMの企画コンテは比較的簡単に作ることができます。全体を6コマで作るとするなら、2コマずつに区切って考えます。

1〜2コマ目)登場人物が困っている、または面倒な作業をしている。(……商品Xが存在しない世界の様子)
3〜4コマ目)商品Xについての説明
5〜6コマ目)登場人物がハッピーになった。(……商品Xが存在する世界の様子)

という流れで描けばいいのです。このとき、3〜4コマ目をいかにシンプルにまとめられるか(商品のサービスや機能を短く簡潔に説明できるか)が大事です。難しい説明がダラダラ続くと、観ている側に負担をかけてしまいます。だからこそ1〜2コマ目を具体的に、生き生きと描きましょう。すると、3〜4コマ目では商品名や外見をアピールするだけでも伝わるはず。

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また全体を通じ、映像の迫力・インパクトを演出できるかも大事になります。どんな舞台が必要か。それは屋外か、室内か。カメラの視点は地面に近い方がいいのか、あるいは人物の頭の上から撮るべきか。どんな台詞をしゃべらせると効果的か、生活シーンがどのように一変するか……などを、あれこれと妄想しましょう。きっと、楽しい作業になるはずです!


姉妹編「ストーリーボードを描くコツ」はこちら



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