ホットドリンク

近所のパン屋は歩いて5分ほどのところにあるのだが、お店の前に丸テーブルが３つあって、買ってすぐにそこで食べられるようになっている。

そこからやはり歩いて5分ほどのところにあったカフェが無くなってしまって、いぬの散歩のときにコーヒーが飲みたくなると立ち寄れるところがここしかなくなってしまった。というか、家では主に日本茶なので、散歩に出るとコーヒーが飲みたくなるものだから、立ち寄る回数が増えた。
コンビニでもイートインでコーヒーは飲めるけど、いぬが入れない。いぬを外で待たせて、視線を感じながらゆっくり休憩はできないのでコンビニには行かない。

そもそもがパン屋で小さなベンダーマシンが置いてあるだけなので、けして美味しいコーヒーではない。そしてそれだけ買うのも申し訳ないので、塩パンとか、シナモンロールとか、デザートにしてもいいかなと思うようなフルーツの乗ったデニッシュ系のものなどを買う。パンは美味しい。でもコーヒーは薄いし、香りもない。

いぬは、あのう塩パンの塩っぽくないとこ、少しもらえるんだよね？と期待のまなざしで見つめる。他のテーブルで親子連れがおやつタイムのパンを頬張っている。

これで挽きたての豆で入れたコーヒー、あるいはちゃんと蒸気で作った細かいミルクフォームのカプチーノなんぞがあったら、そりゃ最高なんだけどもと思いつつも、寒い季節、日のあたる椅子に腰かけて、温かい飲み物を両手で抱えて、ふーふーするのはしあわせなことだと思った。