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【閑話休題】子どものいないことと「交差性」

2020年にとった「子どものいない人の職場での現状」のアンケートについてレポートしています。
その中で、ずっと心に引っかかっている回答がありました。

「時短、育休とるのは正社員ばかり。その穴埋めをする私は派遣社員。育休はおろか、不妊治療もできない」

ダイバーシティを学ぶ中で、「交差性(インターセクショナリティ)」という言葉を知りました。二重の「マイノリティ性」を抱えている人の問題という意味です。

たとえば、「黒人で女性」の被る差別や不利益は、「黒人男性」や「白人女性」からはうかがい知ることができません。

それで思い出すのは、2016年公開の映画「ドリーム」です。
1960年代の宇宙開発の裏部隊を描いたこの映画。
主人公のキャサリン、ドロシー、メアリーは黒人女性でNASAに勤務。キャサリンは天才的な数学の才能を持っていますが、有色人種と白人と、厳しく分離政策をとっているため、活躍の場を得られません。
キャリアアップのため、裁判までして大学に通おうとするものの、夫に「女は家庭第一」と反対されます。
有色人種、女性と両方のハンデが掛け算となって、彼女たちを阻むのです。このように、複数の不利益・差別が交差してハードルとなっている状況を「交差性」を呼びます。

アンケートに声を寄せてくださった女性は、「非正規雇用」「子どもがいない」、そしてもしかすると「女性」ということで、三重のマイノリティの「交差性」による不利益を被っているように思います。

そう考えると、「子どものいない人」が今の日本社会で被っている不利益さは、子どもの有無だけで考えればよい話ではないのは間違いありません。


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