朝生容子

キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、研修講師。専門領域はキャリア開発、ダイバーシ…

朝生容子

キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、研修講師。専門領域はキャリア開発、ダイバーシティ、メンタルヘルス。 「子供のいない人生を考える会」主宰。好きなことは、歌舞伎、茶道、着物、いちご、チョコレート、ヨーグルト。大学の専攻は多文化共生国家であったオスマントルコ史でした。

マガジン

  • 子どもがいない働きにくさを考える

    働くことと子育てとの両立ができる社会。それは素晴らしいことだと思います。ただ、それは「子どもがいない人」へのしわ寄せで成立させてはいないでしょうか? おへそが斜めについているせいか、世のトレンドをちょっと斜めの視線から見たくなるわたくし。「子どものいない立場」で「働き方改革」「ダイバーシティ推進」といった世の流れを眺めてまいります。 当サイトでご紹介したデータ、および考察は、「ダイバーシティ&インクルージョン研究会」に帰属します。利用にあたっては、ご一報ください。 関連サイト: 一般社団法人WINK(Wellbeing Institute for No Kids)~子供のいない人生を考える会:https://www.facebook.com/blwoc 一般社団法人WINK:https://wink.jp.net/

最近の記事

WINK3周年イベントの裏テーマは「子どものいない人も未来とか次世代って考えているんですか?」に向き合う

ひさしぶりのnoteです。 (一社)WINKの理事仲間が、今度とある産業界の団体で「少子化」をテーマに登壇することになりました。 その時に、同席していた子育て中の女性から「子どものいない人も未来とか次世代って考えているんですか?」と言われたのだそうです。 同じような体験した方も多いのでは? 何年か前になりますが、英国の首相候補を選ぶ際には、そうした発言が問題になりました。(私が書いたコラムです) https://sharescafe.net/49083976-201607

    • 【閑話休題】子どものいないことと「交差性」

      2020年にとった「子どものいない人の職場での現状」のアンケートについてレポートしています。 その中で、ずっと心に引っかかっている回答がありました。 「時短、育休とるのは正社員ばかり。その穴埋めをする私は派遣社員。育休はおろか、不妊治療もできない」 ダイバーシティを学ぶ中で、「交差性(インターセクショナリティ)」という言葉を知りました。二重の「マイノリティ性」を抱えている人の問題という意味です。 たとえば、「黒人で女性」の被る差別や不利益は、「黒人男性」や「白人女性」か

      • 子どもがいないことによる「不利益な経験」。そのときどんな行動・対応したか?

        仕事をする上で、子どもがいることが不利益に働いているということは、ほとんどの人が認識していると思います。 でも実は、子どもがいないことによっても、職場で「不利益」を被っている人が少なからずいることが、私たちの調査でわかりました。 では、不利益を被った人は、そのことに対してどんな反応や行動をとっているのでしょうか?「不快な経験」について調べたように、「不利益な経験」についてもその反応について調査しました。 参考:「不快な経験」に対しての対応https://note.com/

        • ワールド・チャイルドレス・ウィーク ジャパン2022 開催中

          昨年、日本版の第一回を開催しましたが、今年も12日からオンラインで開催しています。 「ワールド・チャイルドレス・ウィーク」は、イギリスで2017年に発足。現在は英語圏を中心に世界中で展開している活動です。 日本版は、昨年から(一社)WINKの主催でオンラインで始まりました。 毎日1000を超える方にご覧いただきました。 今年はさらに、多様な視点を盛り込んで開催しています。 <各日の内容> ◆9月2日(月):オープニング「WINKの活動にこめる思い」 一般社団法人WIN

        WINK3周年イベントの裏テーマは「子どものいない人も未来とか次世代って考えているんですか?」に向き合う

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        • 子どもがいない働きにくさを考える
          20本

        記事

          職場で「不利益」を感じるどのくらいいる?誰からそう感じている?

          かなり久しぶりの更新となってしまいました💦 2020年に行った調査結果報告の続きです。 前のエントリーでは「不快」な出来事にとどまらず、実際にどんな「不利益」を被っているかの調査結果を報告しました。 話は前後しますが、ではどのくらいの人が職場で「不利益」を被っていると感じているでしょうか? 半数強の人が「不利益な扱いをされている」と回答しています。 「不快」な経験はほとんどの人がしていたのに対し、「不利益な扱い」は必ずしも大多数ではありませんでした。それでも半数以上の人

          職場で「不利益」を感じるどのくらいいる?誰からそう感じている?

          【閑話休題】World Childless Week 2021 in Japan 開催中

          「World Childless Week」という団体があります。 英国のステファニー・ジョイ・フィリプスさんという女性が2017年に立ち上げました。 その団体が、毎年9月の中旬の週に、連続してイベントを開催しています。 今年の期間は2021年9月13日~19日。 一般社団法人WINK(Wellbeing Institute for No Kids)では、本家と連動し、日本版としてオンライントークイベントを開催しています。 スピーカーとしてお招きしたのは、「子どものいない

          【閑話休題】World Childless Week 2021 in Japan 開催中

          【調査結果】子どものいない人が受けた職場の「不利益」とは

          ここまでは、子どものいない人が職場で受けた「不快なこと」についての調査結果について述べてきました。ここからは「不利益」についての調査結果について触れていきます。 「不快」というのは主観的なものですし、それ自体で当人が不利益になったとはいえません。しかし「不利益」は「損失」を被っていることです。 「子どものいない人が職場で不利益なんて被っているのか?」と疑問に思われる人もいるかもしれません。実際、「子どものいない人の被っている不利益の調査をしている」というと、驚く人も少なか

          【調査結果】子どものいない人が受けた職場の「不利益」とは

          「言っても無駄」の心理

          前回、子どものいない人が職場で嫌な思いをしても、そのことについて抗議したりはしないという調査結果をお伝えしました。その理由として「言っても無駄」と考えていることもわかりました。 「何もしなかった」という回答も多かったことを考えると、「不快だけれど、どうせ言っても無駄だから何もしない」と捉えている人が多い様子がうかがえます。 本当にそうなのでしょうか?もしかしたら相手に伝えることで、事態は改善されるかもしれませんが、それを確かめる前に多くの人が諦めてしまっている。これも一種

          「言っても無駄」の心理

          【調査結果】マイクロアグレッション(小さな攻撃)を受けた人はどう対応しているか?

          子どものいない人が職場でアンコンシャスバイアスやマイクロアグレッションを受けている現実がアンケートから見て取れることをお伝えしました。 では、当人たちはそれに対してどう対応しているのでしょうか? (複数回答可) 第1位:「何もしなかった」43件 第2位:「仕事のモチベーションが落ちた」28件 第3位:「誰にも相談できなかった」22件 第4位:「メンタル不調になった」18件 第5位:「相手に自分の意見を伝えた」17件 「何もしなかった」が圧倒的に多い結果となりました。 個

          【調査結果】マイクロアグレッション(小さな攻撃)を受けた人はどう対応しているか?

          ここで「アンコンシャス・バイアス」についてちょっと考える

          唐突ではありますが、冒頭からクイズです。 次のショートストーリーに登場する外科医と少年は、どんな関係にあると思いますか? -------------------- ある日、父親とその息子である少年が車で出かけたが、途中で交通事故に遭ってしまった。運転していた父親は救急病院への搬送中に死亡。息子の方は意識不明の重体で救急病院へと運ばれた。 病院の手術室で、運び込まれてきた少年を見た外科医はこう言った。 「ああ…この少年は私の息子です!」 --------------------

          ここで「アンコンシャス・バイアス」についてちょっと考える

          【調査結果】子どもがいない人はどんな体験をしているか?~アンコンシャス・バイアスとマイクロアグレッション

          「職場における子どものいないへの調査」をそもそも始めたのは、先行調査で報告された多くの「肩身の狭さを感じている人」が、具体的にはどんな体験からそう感じるようになったかを明らかにしたいと思ったからです。 そこで、「不快な」「不利益な」の二種類に分けて、実際に体験した出来事について答えていただきました。 本調査の対象者を、「不快、不利益な経験のある人」と置いたので、当然といえば当然ですが、回答者のほとんどは「不快」もしくは「不利益」な経験がありました。例外的に、「不利益を被っ

          【調査結果】子どもがいない人はどんな体験をしているか?~アンコンシャス・バイアスとマイクロアグレッション

          【閑話休題】子どもがいないことで「わきまえている」あなたへ

          オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森会長が辞任。後任は紆余曲折を経て、橋本聖子さんが就任されました。 一連の騒動の中でキーワードとなった言葉が「わきまえる」でした。当の森氏の発言を見てみましょう。 「私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます。みんな競技団体からのご出身で国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですからお話もきちんとした的を得た、そういうのが集約されて非常にわれわれ役立っていますが、欠

          【閑話休題】子どもがいないことで「わきまえている」あなたへ

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」回答者プロフィール④~子供がいない理由

          みなさんは「子供がいない」理由として、どんなことがまず頭に浮かびますか? 今回、アンケートに回答いただいた方の「理由」は本当に様々でした。 <不快な経験または不利益な扱いをされた当時にお子さんのいない理由(複数回答可)> 私自身は「子どもは欲しいが、仕事を優先したかった」「自然のなりゆき」のどちらもあてはまります。 「仕事を優先して」出産期を先延ばしにした面はありますが、積極的に作らなかったわけではありません。不妊治療もしました。でもできなかった。 アンケートを見て

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」回答者プロフィール④~子供がいない理由

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」結果③~婚姻状況

          「子供のいない人」と聞くと、とっさに思い浮かぶイメージはどんなものだろうか。 結婚している人?それとも未婚の人? 今回の調査では、婚姻状況は問うていない。独身でも、結婚していても、過去に結婚していても、対象とした。 その結果、以下のような比率となった。 1.結婚している:72件(67.3%) 2.離別(離婚し再婚していない):6件(5.6%) 3.死別(配偶者と死別し、再婚していない):1件(0.9%) 4.結婚したことがない:28件(26.2%) 7割近くが、現在婚姻

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」結果③~婚姻状況

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」結果②~回答者の年代

          昨年実施したアンケート調査「子供のいない理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」。調査名が長いので「子供いない人の職場での実態調査」に略します(それでも長いが💦)。 107件の回答のうち、男性が5件と予想外に少なかったことは前回お伝えしました。 では、それ以外の属性で見るとどんな人たちが回答してくださったのかをご紹介します。 まず年齢は、調査する時点で、15歳~60歳とさせていただきました。現役でやたらいている方とするためです(組織で働いていることを前提としているため

          調査「子供のいないことを理由に職場で不快な経験をされた男性&女性」結果②~回答者の年代

          「職場において不快・不利益を感じた子どものいない人」を対象に行った調査①男性が少ない

          小酒部さん、松本さんという心強い仲間が見つかったことで、調査はぐっと進んだ。2019年の秋に設問を検討、12月から年明けにかけてアンケートを行った。 アンケートは大きく以下の4つの分野について設問を設けた。 (1)不快であったことについて。どんなことを経験したか?その時、どんな対応・反応をとったか? (2)不利益を受けた具体的な経験は?その時、どんな対応・反応をとったか? (3)妊娠中、もしくは子育て中の社員からされた不快であったことは何か? (4)今後、誰にどんな

          「職場において不快・不利益を感じた子どものいない人」を対象に行った調査①男性が少ない