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いたいのいたいのとんでいけ通信 第71号 その1

付き添いの苦労が軽減されるお母さん食堂

都内在住 Tさんより

食堂1

今年の8月から毎週、美味しいお弁当を頂いています。食欲がなくても、不思議とお母さん食堂のお弁当は全部食べられます。自分では無い誰かが“私の為に食事を作ってくれる”ことは、“私のことを大切に思ってくれる人がいる”ことだと思います。

母になると、つい自分のことは後回しになります。病児となれば、尚更です。だから、お母さん食堂のお弁当を食べると、私自身も大切にして貰えると思えるのです。次男が発症したのは、生後9ヶ月。慣らし保育も終わり、仕事に復帰しようとしたゴールデンウィーク明けでした。突然、小さな命が消えそうになる恐怖に襲われました。幸い、何とか命を取り留めて、そして長い闘病生活が始まりました。

3歳になった今でも入退院を繰り返しています。24時間家族の付き添いが必須な時期もありましたが、今はきょうだい達(5歳と1歳)を保育園に預けている間に面会に行きます。普段は自分で作ったお弁当を持って行きますが、お母さん食堂の日は、お弁当を持たない分補充用の洗剤やオムツなど重い物を持って行く日にしています。

お弁当は病室まで届けてくださいます。子どもの様子を気遣いながら、私の話しを聞いてくださいます。勇気づけられたり、アイディアを頂いたりして、とても楽しい時間です。また、お弁当と一緒におかずを多めに作って持たせてくださいます。家に帰ってから、少しでもきょうだい達と過ごす時間が長く取れるようにと。

食堂2

温かい心遣いが、心に染みます。子どもが病気になって一番困ることは、何でしょうか?

私達は、経済的に困窮しました。それまで共働きだったので、収入が減りました。育休が明けてこれからと言うタイミングだったので、蓄えが充分ではありませんでした。そして、何より保険に入っていませんでした。公費入院費は免除されますが、病児の食費、洗濯代、面会の交通費、付き添いの食費など想定以上に出費があります。その中で、削れるのは付き添いの食費です。出来るだけ安い食事を病児の様子を気遣いながら、掻き込むようにして食べます。時には、食べることを諦めることもあります。子どもが欲しがらないように隠れて食べることもあります。安く済ませる食事は、栄養が偏ります。長く続けば続くほど、食事の楽しみが無くなります。

病院は付き添いを前提に作られていないため環境整備が充分とは言えません。大部屋ともなればカーテン一枚で仕切られた狭い空間は、プライバシーがなく、共用のシャワールームでの入浴や狭く硬いベッドでの睡眠で、体調を崩してしまう方もいました。

そんな中で1食2百円という安価で、いろどり豊かな季節感あふれたお弁当が届くのです。手間のかかる栗おこわのときは感激しました。こうした思いやりあるお母さん食堂がどこの病院にもあれば、付き添いの苦労は軽減されると思います。お母さんが元気で笑顔でいる方が子どもも嬉しいと思います。
(11月寄稿)

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