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🟧 犬も歩けばミャンマー飯に当たる⑤ 〜プラトナーム編〜 🟧


ここはバンコクの新大久保か?

プラトナームはバンコク中心部ラチャプラロップ通り沿いのプラトナーム市場を中心としたエリア。衣料品の卸売り問屋街が多くあってボーベー市場と並ぶバンコク衣料品関係の商業集積地。

この街を歩いても観光客の姿は見られない。いろんな人種を見かける。いちばん多いのはアラブ、アフリカ系だけど、それ以外にアジア全域からも買い付け、輸出業者が押しかける。

元々衣料品を扱うお店のインド人向けのインド料理店が多かったがもちろんタイ料理店もあった。けど最近ではそれまであったお店に混じってミャンマー人向けのミャン飯屋が目立つようになった。

バンコクにもタイ人より外国人が目立つ街は多くあるけど、アジア・アフリカ系の比率がここまで高い街はない。東京でいえばかつての新大久保あたりがこんな感じかも。


プラトナームの歴史

Facebookより

プラトナームの意味は「水門」。18世紀に掘削されたセンセーブ運河の水位の調整、周囲の農地への灌漑を目的として1905年に水門が建設されてこう呼ばれるようになった。
当時すでにペブリ通り(1887年)、ラチャダムリ通り(1902年)が通っていて水上マーケットが開かれていた。()

ちなみに当時バンコクの運河や灌漑用の水路を掘削するためにはミャンマー人、モン人、クメール人、マッカサル人(ジャワ由来のムスリム)あるいは中国人移民が奴隷として使われた。プラトナームの北のマカサンという地名はこのマッカサル人に由来する。()

1907年にはセンセーブ運河にチャルームロック55橋がかけられ運河沿いにナイラート市場が作られた。

センセーブ運河と真ん中が
チャルームロック55橋
Facebookより

その後1949年にペブリ通りとラチャプラロップ通りの交差点にチャルームロック市場とチャルームロック映画館が建てられ、続けてパラマウント(1960年)、メトロ(1963年)、ペットラマ(1967年)がオープン。プラトナームエリアは商業地区として発展し始める。

1970年代に70年続いた生鮮市場が衣料品市場へと業態を変える。その衣料品市場はバンコクの中心部で最も安価に衣料品を販売できる場所として注目されて特に中東方面からの買い付けが多く来るようになる。

プラトナーム交差点(1970年)
Facebookより

1970年代から1980年代にかけてはインドラリージェント(1971年)、パンティッププラザ(1984年)、メトロ(1985年)、バイヨーク1(1991)などのショッピングモール(デパート)が次々にオープンしてプラトナームエリアはそれまでのバンコク郊外の運河沿い市場からバンコクの一大商業地区へと変貌した。

でも1989年のワールドトレードセンター(現セントラルワールド)オープンあたりから商業地区としては埋没。映画館が撤退、ショッピングモールが衣料品卸市場へと変わっていった。

旧ワールドトレードセンター
Facebookより

余談だけど、かつてプラトナームの運河上サラチャルーム橋のあたりには船上売春屋があったらしい…()


リトルミャンマーとプラトナーム

こんなプラトナームにミャンマー系のお店が目立つようになったのはいつからだろ。資料を探してもその辺ははっきりしない。

先ほどのプラトナームの歴史で書いたように運河掘削のためにミャンマー人を含む多くの人間が徴用された。
そしてマカサンエリアにそれらの人たちが居住を許されて、いまも人種ごとにコミュニティを形成してるらしい。()

今回プラトナーム市場界隈のミャンマー料理店とこのエリアで働くミャンマー人の関係を探ってみようと思ったが、どうもそのつながりを示す内容も見当たらなかった。

実際このエリアに無数にある衣料品関係のお店で働くミャンマー人はかなり多い。いままで見てきたリトルミャンマーではそのエリアで働くミャンマー人のためにタイの屋台飯よりも安いミャンマー料理を提供するお店がたくさんあった。

でもこのエリアにあるミャンマー料理店はどうもそういったミャンマー人向けにできてるような感じじゃない気がする。他のリトルミャンマーとはかなり趣きが違うといっていい。


プラトナームのお店

プラトナームエリアのミャンマー料理店は他のリトルミャンマーとどう違うのかというと、この辺りではエアコン付きの普通のレストランがほとんど。このエリアで住んだり働いたりするミャンマー人をターゲットにはしてないようだ。

プラトナーム市場のあたりを歩けば格安のミャンマー屋台や食堂もあるにはあるけど、その数はごく僅か。このエリアのミャンマー人の需要を満たしているとは思えない。

お値段について言えば、他のエリアのミャンマー食堂や屋台で麺類が40-50฿程度なのが、プラトナーム界隈では倍くらいする。税込で100฿程度はする。このあとのお店紹介では、参考までにモヒンガー(カオスエ)の価格を表示した。


🔸プラトナームのお店①

ペブリ通り沿いの大型店。食堂って言うかレストラン。バンコクのミャンマー料理店の中ではかなり高級店っぽい内装だけどお値段はお手頃。プラトナームエリアのミャンマー料理店としては平均。でもブルーカラーのミャンマー人向けじゃないと思う。
モヒンガー(80฿・税別)

Bagan Myay Asian Food House

🔸プラトナームのお店②

プラトナームエリアにありがちなビジネスホテルの1階にある。お店自体は小さめでカジュアルな内装。お値段はプラトナームエリアにしてはやや安め。
モヒンガー(85฿・税別)

သူကြီးသား Burmese Food Villa

🔸プラトナームのお店③

タイとミャンマー料理って看板を掲げてるお店。エアコン付きだけど内装はやや安っぽい。タイヤイ族の経営らしい。
シャンカオスエ(80฿・税別)

မနောမြေ ထိုင်း & မြန်မာအစားအစာ(Manaw Myay Thai & Myanmar Food)

🔸プラトナームのお店④

プラトナームでは珍しいミャンマー料理屋台。お値段は他のエリアの屋台、食堂レベル。お惣菜がメインで各種麺物も扱う。
モヒンガー(50฿)

Pratunam Food Hawkers and Shops

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