思い出して鳴る
オフィスの奥まった位置にある部長席で、くるりくるりと椅子を細かく左右に回転させながら、パソコンの画面を眺めていた井間賀が、急にぴたりと動きを止めた。真剣なまなざしで画面に顔を近づける。
「おい、これ知ってるか?」
しばらく画面を見たあと、井間賀はすっと顔を上げて正面の席にいる飯尾に声をかけた。
「はい? えっと? 何ですか?」
一瞬、間があってから、いつも通りのんびりとした口調で飯尾が応える。必要以上に早く動くことのない男なのだ。
「宇宙人が現れたらしい。しかもこの街に」
どうやらニュースサイトが表示されているのだろう。井間賀は険しい顔で再びパソコンの画面に視線をやった。記事を読み上げる。
「先週、四丁目のゴミ箱で見つかってその場で捕獲されたって。これって、この近所だろ?」
「ええ、そうですよ」
ここから先は
202字
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?