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【絵本レビュー】 『ふたりはともだち』

作者/絵:アーノルド・ローベル
訳:三木卓
出版社:文化出版社
発行日:1972年11月

『ふたりはともだち』のあらすじ:


がまくんとかえるくんは、仲のよい友達。いつもふたりで散歩に出掛けたり、お互いの家を訪ねたり。病気のときは心配しあい、ごく自然に相手を思いやっています。

『ふたりはともだち』を読んだ感想:

5つのお話が入った64ページというちょっと長めの本ですが、うちの4歳児は飽きることなくじっと聞いていました。寝る前に読んで、途中で寝るだろうと期待していたのに一気に全部読まされて、「もう一回」と頼まれた時は本気で「もうイヤ」と言いました。まるでステージでリサイタルでもしたかのように、喉がカラカラでした。

息子には、幼稚園と幼稚園の外にとても仲の良い友達がいます。特に幼稚園の外で仲良くしている子は半年ほど下の子なのですが、まだ4歳とは思えないの気遣いようで親ながら驚かされます。私でもできないくらいの思いやりを込めて接しているのを見ると、「子は親を見て育つ」というのはあまり当たっていないな、と思います。

かくゆう私は親友という言葉がどうも苦手な子供でした。遠足などで先生が「じゃあ二人組になって」というのがとても怖くて、いつもドキドキしながら誰かに声をかけてもらえるのを待っていました。私の行った小学校は6年生までひとクラスしかなく、女子は11人だったので、誰かが余ってしまうのは必然でした。私がいつもいたのは3人グループで、その二人の子たちは入学式の時に一目惚れした大の親友だったので、二人組になる時に私が入り込む隙間はありません。わかっているのに、やっぱり誰かが声をかけてくれるのを待っていたんでしょうね。緊張して、教室を見回せなくて、机をじっと見ながら待っていました。やっぱり誰も誘ってくれなくて、私は大抵男子と組まされたのですが、家に帰って文句を言うわけですよ。そうすると父に、「なんで一人じゃダメなんだ?」と聞かれます。「だって二人組だから。。。」口ごもる私に父は言います、「媚びて二人組になるよりも、最初っから一人でいいと思った方がいいだろ」。

小学生の私には、それは正直ちょっと難しい考え方でした。私が理解できたのは、もうちょっと後になってからでした。友達って頼んでなってもらうものではないし、利益関係が生じるものでもない。私が私でいられないのなら、その人と友達でいる必要はないんですよね。そう思ったら、ずいぶん楽になりました。そんなことを思い出しながら息子とその友達の関係を見ていると、4歳児ながらすごいなと頭が下がります。母はまだまだ学ぶことがありそうです。

『ふたりはともだち』の作者紹介:

アーノルド・ローベル(Arnold Lobel)
1933年アメリカ ロサンゼルス生まれ。高校卒業後ブルックリンの「プラット・インスティテュート」に入学。本のイラストレーションを学ぶ。ポーランド生まれのアニタ・ローベルと出会い結婚。『わたしの庭のバラの花』など、ローベルが文、アニタが作画を担当した絵本も出版されている。『ふたりはともだち』でコルデコット賞次賞と全米図書賞、『ふたりはいっしょ』でニューベリー賞、『どうぶつものがたり』でコルデコット賞を受賞。20世紀アメリカを代表する絵本作家となる。その他の作品に『ふくろうくん』『おはなしばんざい』(以上文化出版局刊)などがある。1987年ニューヨークの病院で他界。

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