生理を止める生活 ~ミレーナ体験記①

最近、ネットを見ていると「生理を止める」という記事が目につきます。
「生理を止める」とはではどんなことをするのか。
止めたらどうなるか。
一人のアラフォー女の体験記です。


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2022年秋から「ミレーナ」を始めました。
「ミレーナ」とはいわゆる避妊リングの1つです。
とはいえ私は避妊がしたいから着けたわけではなく、生理の煩わしさとか、それからPMSが酷くて、特に生理が始まる10日くらい前から感情が酷く揺さぶられて気分の浮き沈みが酷かったり、生理の時の体の状態に毎月振り回されてる感じがもううんざりだったのでやってみよう、というのが理由です。

でも情報としてミレーナ、あんまりネットにないよなぁ、と。
しかも「全然痛くなかった!」「快適!」「生理来なくなった!」と良かったことは書いてあるけど、副作用とかについてのデメリットについてはなんとなくしか書かれていない。人によって差があるのはわかるけど、やっぱりやるならその前に知っておきたかったと思うことが何度もあった。
私が見つけられなかっただけかもしれないけど、人によっては大変かもっていうのももっと周知されていい気がします。
というわけで着け心地とか、どんなことが一人の女に起きたのかとか、自分の忘備録も兼ねて残しておきます。


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ミレーナを知ったきっかけ

知ったのはツイッターのフォロワーさん。多分年齢は私より10くらい上っぽい人が「ミレーナいいよ!」と言ってたので検索したのが始まり。
調べてみると「生理が軽くなる」とか「生理がなくなる」とか書いてある。
「生理がなくなるとか動物としていいのか?」といぶかしんでその時はそこで終わった。

けどそれからしばらくしたときに同級生が「妊娠期間とそのあとしばらく生理来なくて楽だった~。そのためだけでもまた子供産みたい笑」みたいなことを言っているのを聞いて、そもそも今みたいに毎月生理来てるほうが人類史として珍しいのでは?と思うようになった。だって昔は12~3歳で嫁に行ってそのあとは数年ごとに子供産んで、20代後半くらいでようやく出産期間終わるでしょ?
それで50歳くらいで更年期になって終了。
私みたいに彼氏も旦那も結婚も出産も予定ない女の生理回数と比べてら、あきらかに回数が少ない。そう、特に子宮を使う予定もない女がわざわざ毎月苦しむ理由なんてないのだ。
そういう思いがじわじわ数年かけて広がっていった。

病院探し

とはいえ、ミレーナつけてくれるところってどこ?
よく本だと「がん検診のときなどのタイミングで婦人科のかかりつけ医を見つけるチャンス」なんて書いてあったけど、そもそもがん検診なんて会社でやるから行かないし、昔行ったところは近かったけど、なんか受診者多すぎて殺伐として、受診するにもいろいろなルールが(予約の仕方とか)覚えきれなかった。そんなところにまた行って「どうしてルールわかってないですか?」とか「ミレーナ?あなたには必要ないでしょ?」みたいな対応されたら心が死ぬ。もっと優しくしてほしい…。
とネット検索を繰り返す。
でもよさげなところはだいたい予約が取れない。満員マーク。
まぁ、みんなネット評判がいいところに集中するよなぁ。

ネットの海をさまよいながら「そもそもよさげってなに?」みたいに分からなくなってきたとき、「とりあえず自分の知りたい内容を説明しているページがある医者に行く」というコメントを読み目からウロコだった。こう、考える基準みたいなのがあるといいのね。
そこで自分の中でいくつか条件を作ってみた。

  • ミレーナをやってる

  • 女医さん(男性医だとどこまで着けたい、って意味が通じるか不安があった)

  • 若めの医者(おじーちゃん先生とかは「女は妊娠するべき!」みたいな認識あると辛い)

  • 産科より婦人科に力を入れてそうな人(妊娠する気はないけど、たぶん妊婦さんに囲まれるとメンタル削られる)

それからこれは後で感じたことだけど、家から近い方が絶対にいい。もしミレーナつけることにした人がここを読んでたら近いところをお勧めする。都心だと産婦人科はたくさんある。電車に乗ればそれこそあちこちに行くことができる。けれどできるだけ歩かない(電車やバスに乗る時間も短い)近さがいい。装着には何回か通うし、万が一何かあったときに片道1時間半とかだと後悔しかない。

と、そんな条件から選抜されたのは、どローカル駅近くの婦人科。家からは40分くらいかかるけど、それでも自分的には近い。先生は女性だし、時間も遅くまでやってるし、土日もやってる。ミレーナを始めたら定期的に行かなければならないので消去法に近かったけど自分としては納得してそこにした。

電話で質問

さて、ようやく行く病院は決めた。でもそれで終了ではない。
というかここからが本番だ。ミレーナを取り扱っているのか、というのをそもそも確認しなければならない。
実はHPにはミレーナを使うとは書いてなかった。「避妊リング」とだけ。避妊リングにも種類がある。私がやろうと思ったものなのかは質問しないとわからない。別物だと困る。そしてもしミレーナを取り扱っているとして、ではいつ受診できるかも問い合わせなければならない。

ちなみに婦人科への問い合わせは、電話メインのところとHPからのところに分かれる。どちらも問い合わせという作業そのものに気が重くなる。
電話とかほんとしんどい。ネットで全部聞きたい。でもメールアドレス知られるのも毎回細かい情報を収集されるもの本音だと嫌だ…。なんてぐだぐだ思っていたが、私が決めたところは電話のみ受付だった。これ以上悩んでもしかたがない。電話一本で全部済むなら、といざ問い合わせ。

問い合わせるとミレーナを使ってるし、〇〇先生のいる日ならいつ来てもいい、と言われた。これがどローカル駅地元民しか行かない病院の強み…と思った。予約いらないの??
なぜなら、以前行った婦人科クリニック(我が家の近くの病院)は利便性がとてもいい所にあるので、それで常に混雑、待ち時間が非常に長かった。正直病院で半日は潰れる。いつ呼ばれるか分からず、たくさんの人たちと長時間待合室で待機。そして、待ち時間の長さはトラブル→独自ルールを設けて問題解消を図る、という循環を繰り返し、1度では覚えきれない複雑な受付方法に変貌していた。
そこに比べたら行ったらいつでも見てくれるって雲泥の差だ。
病院の場所ってそれだけで患者の負担の増減に繋がるんだな、と感じる。
ともかく、行く日は自分の都合に合わせて設定できることになった。
まずは一山越えられた。

初診日

初めて降りるどローカル駅にそわそわしつつ、病院へ。病院って少し早めにいかないと先客が多くてすっごい待たされるイメージがあったので一応10分くらい前に着く。やっぱりいるよ15人くらい…そうだよね、待つよね…これからきっと2時間くらい待たされるやつ!!と覚悟してたら30分くらいで済んだ。しかもその間、問診票とか書いててので早かった。これもどローカル駅病院だからこそ、な気がする。ありがたい。
ちなみに問診票って、初潮とかSEX経験とか家族の病歴とか書かされるものかと思ってたらそこの病院にはそういった欄がなかった。まぁ、今回は病気ってわけではないから訊く必要もなかったのかもしれないけど、そういうのってみんなどこまで覚えてるんだろうね。念のためメモしていったけど使わなかった。

で、そこで問診。でも正直何を言えばいいのかよくわからない。先生も「調べてきてるだろうから説明しなくて大丈夫よね?」とか言われる。は、はぁ…でも私の知識は偏ったネット知識…図書館とかに本とかあるかと思ったけど全然見つけられなかったから、流言と噂話とミレーナ推進派の医者のポジティブ記事情報の合間しかわからん…とおもっていたけど、結局細かい説明はなかった。聞いたら教えてくれたのだろうか。

でも「とりあえずPMSと生理痛緩和させたいので入れたい」という話をする。
すると先生が一言「ミレーナにはPMSを緩和させる効果はありませんよ」…マジか。生理前にイライラしたり、落ち込んだり精神的に追い詰められるのにもう疲れ果ててたのにそれは良くならない…でも生理痛は減るんだよね…「あとミレーナ入れるとダラダラ生理が続きます。ダラダラ続きます」なんかこのことだけは何度も説明してくれた。ダラダラってどういうこと?その時の私は2回目のは、はぁ…を繰り返していた。

結局、入れるのは生理が始まってから4日目くらいだし、今日は入れられるか検査をして終わりましょう、ということになった。
つまり、アレだ。股を開く検査だ。そういややるよね、うん。

すっかり考えてなくてタイツとパンツで行ったので下半身丸裸。スカートで行けばよかった。でもその時、手伝いの人が「背中汚れるんでたくし上げて!!」って言ってた。結局は背中は汚れなかったし、検査結果としてはミレーナOKらしい。あとはミレーナする気なら次に生理が来たら電話してくれ、と言われてその日は終わった。

生理が来た

予想より2日早く生理が来た。4日目につける、と言われるけどその日はどうしても仕事を休めない。6日目でもいいですか?と訊くとその日でもOKらしい。よかった、このタイミング逃したらまた1か月後のトライになるのだ。意外と働いてる人には難しい気がする。

ミレーナをつけるよ

とうとうミレーナをつける。この1~2年生理は最初の1、2日目が重くて寝込んだり頭痛がしたり酷いのだけど、4日目過ぎると急に月経量も減る。体の負担の差が大きすぎてもう少し分散してくれ、と思っても自分の体なのにいうことを聞かないのが嫌なところだ。
そんなわけでほどんど終わりかけのタイミングで病院に来た。
その日は午後休みをもらって、受診時間のギリギリについた。休み明け、ということもあってその後結構待たされる。まぁ、仕方がない。
そしてようやく呼ばれる。また下半身丸裸だ。とはいえここで気付いたのが、もし生理4日目とかだと、足を開いた瞬間月経がごぽっと出てくるやつなのでは??足元スプラッタじゃん…今日、私は6日目だからほぼこぼれることないけど、敷いてあるカーペット血まみれになるやつ…とおもってぞっとした。そのあたり病院は気にしないかもしれないけど、こっちは嫌だな。
「背中が汚れる」も多分そういう意味だったんだろう、と推測する。診察用の器具入れてるうちに背中を伝うんだろう。ほんと6日目で助かった。

そんなことを考えながら施術台で待っている間に先生登場。
どんなやつ入れるのか見せてもらいたかったけど、カーテン越しなので見れなかった。残念、と心の余裕をかましていられたのはここまでだった。

激痛が襲う

私は人生でSEX経験1回しかない。しかも痛くて途中でやめてもらった(優しい。ありがとう)。もちろん出産経験もないから産道も狭い。そこには「ミレーナいいよ」と言っていたフォロワーさんたちと大きな大きな差があった。あの方たちはたぶん子供産んだことある人たちだと思う。(つぶやきを見るに)
つまり経験が全く違ったのだ。頭ではわかっていたが、それを本当の意味で理解していなかった。

産道が狭いのは仕方がない。器具を入れられる圧迫感があるのも仕方がないし分かってた。まだ違和感があったってどうにかなる程度。ただ、タンポンいれると違和感でちょっと気持ち悪くなるのを思い出した。でもちょっとだ。だから耐えられるだろう。
そう思っているとさらに押し込まれる感覚がくる。…あれ、痛い。
「子宮口が狭いので少し広げますね」
そういえばネットにそんなこと書いてあった気がする。子宮口が狭い人は痛みがある。これがその痛みなのか!
そこから先、本当に「後悔」という言葉が頭に浮かんだ。
体の中で器具を広げられる痛み。さっきまでの余裕がじわじわと削られる。けれどどうにか耐えるしかない。痛い。なんでこんな痛い思いしないといけないんだ、と自分のやらかしたことを他人事のように責め立てた。今すぐ「やめてください!」とお願いしたくなる。自分で決めたことなのだ。自分で選んでおいてそんな簡単に言えることではない。ぐっと言葉を飲み込んだ。
それにもし、今止めたら一生つけられないやつでしょ?
痛いから、って途中でやめてもらったSEXも、あの時は「またできるし」と思っていたが、もう多分この先ない。
また同じことを繰り返すのか。
昔の後悔を思い出しつつ、その間もどんどん痛みが巨大化する。
「痛い!自然分娩する母親ってこんな気持ち??」
「拷問じゃん!」
「いや、子供産むときはもっと開くかもしれない。これ以上痛いの?マジ皆さん尊敬するわ」
「ってそんなこと考えても痛い!」
「早く終われ!早く早く!!!」
頭の中で痛みをどうにか紛らわそうといろいろ考える。
先生もぐいぐい押してくる。早く終わらせようとしてくれているのはわかる。だからこっちも耐えるしかない。

口を押えて漏れそうになるうめき声をどうにかとどめて数分。

いや、正確には時間とか全然わからないんだけど、どうにか終わった。ただ、そのとき「つらかったですね、気分はどうですか?」と言われたので正直に答えた。
「血の気が引いてます」
この時点で頭からすっと冷たくなっていたのだ。
脳貧血っていうのを起こしていたらしい。

すると先生と助手さんは慌てて「はいここで横になって!」と台から降ろして床に横たえらせる。いや、数歩くらいは歩けるんだけど、でも言われるがまま横になる。もちろん下半身は丸出しのまま。
仕方がないので数分そのまま横になっていると、ベット行ける?と訊かれる。ベットあるんかい。そっちで横にさせてや、と思いながらようやく服を着てベットへ移動。
それにしても痛い。女性器に入れて拷問する器具のことを思い出した。あれは確かにきついわ。無理やり広げられた子宮口の痛み、耐えている間に息があがって、手は冷たくなっていた。「楽になるまで休んでてください」と言われたけど、近くで看護師さんが他の患者さんの対応で走り回ってて休める気がしなかった。

結局ちょっと痛みが引いてきたかな、手の温度が戻ってきた気がする、というタイミングで待合室に出て待つことに。
その時、ちょうどエアコンの下にいることになったのだが、寒い。さっきまで暑くて上着を脱いでいたのがウソのように寒い。慌ててあるもの全部着込む。それでも寒くて震えた。

処置後、先生からミレーナ装着にあたっての問診票を渡された。でも正直これは処置後ではなく、処置前に読むやつなのでは?と思う事前確認事項がずらっと並んでいた。
そこには装着後の体調不良についても書いてある。結果は変わらないかも知れないけど、装着前に読んでおければ少しは気構えが変わったんじゃないかな、と思うし、もっと言えばネットに書いておいて欲しい。情報少なすぎるんだ。

痛みで動けなくなる

問診票を読みつつ、痛みと寒気が引くのを待ったが、結局会計時間になっても駅まで歩ける気がしなかった。もう病院も閉まる時間が差し迫っていたけれど、とりあえず一人で駅まで辿りつける程度に落ち着くまでは待合室で休ませてもらう。
さらに15分くらい休んでから「どうにか行けるか?」と思って病院を出たけれど、結局ほんの十数分電車に乗るのも辛くて、駅前のカフェで1時間くらい休んだ。病院から駅までは5分程度、そこから電車で十数分、そして家まで徒歩20分弱。それがとてつもなく長く感じた。この距離が恐ろしくなるような痛みはできればもう体験したくない。帰り道、何度もうずくまりたくなるような、痛みで叫びたくなるような気持ちを抱えながらどうにか帰宅することができた。

痛み止めは飲んでもいい、ということだったので薬を飲んでその日は布団に入った。
けれど、実際は横になった方が子宮に違和感を感じた。何かが引っ掛かっている感じ。横向きになると押されているような痛みがする。仰向けならいける。
痛いから寝たい、でも寝ようと思うと痛い、というジレンマを抱えながらその日は眠った。

この続きはまた書きます。

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