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【伝わるという体験】

悪戯に過去の事件を蒸し返すつもりは無いが

桜木紫乃ヒロインのレビューを読みながら

17年間逃げ続けた元オウム真理教菊地直子についてふと調べた

《私は全国指名手配されて逃げているうちに、自分が地下鉄サリン事件で使われたサリンの生成に、なんらかの形で関与してしまったのだろうと思いこんでしまっていました。


しかし、よくよく思い出してみると、指名手配になった当時は「なんで私が?」

「幹部と言われている人達とたまたま一緒にいたからかなあ?」などと思っていたのです。

 後になってから、「あの作業がサリンと関係していたのだろうか?」と考えてみましたが、私と一緒にその作業をしていた人は、地下鉄サリン事件では逮捕されていません。「薬事法違反」で起訴されているだけでした。「それでは何が?」と考えても他に思いつきませんでした。結局、何がサリンと関係していたのかがはっきりしないまま、私は17年も逃げ続けてしまったのです。》

全国指名手配とは本当に罪作りでそんな風に、罪が無い人も罪人として追い込み、17年間逃げ続ける人生を選択させてしまった。


サリンと関係していたのかがはっきりしないまま「それでは何が?」と考えても他に思いつきませんでした。

これに、ついて彼女は、そんな相談をする相手はいなかった、と。

やはり、18歳で出家し、両親とも上手くいって無かった彼女は支援先は無かった。

やはり、自分が本当に困ったときに正しい道に導く信頼できる人は大切だ。


確かに殺人容疑で指名手配されたら、怖くて誰かに相談することなどできなかったかもしれない。そのへんの心境も彼女は手記に書き込んでいる。


ちょうどその頃、私は両親との関係に悩んでいました。両親は定期的に面会に来てくれていましたが、私には両親が自分をコントロールしようとしているようにしか感じられず、面会の度に強い恐怖を感じていたのです。


「いったい何がこんなに恐怖なのだろう?」
 この状態から抜け出したくて、私は幼少期の体験まで思い起こして、必死にその原因を探ろうとしました。そしてやっと、無意識的にある思考パターンに陥っていることに気付いたのです。

そのパターンとは、
「話してもどうせわかってもらえない」「わかってもらえなくて傷付くだけ」
だから「最初から話さない」、もしくは「一度話してだめだったらすぐにあきらめてしまう」というものでした。

 
 そのことに気付いた時、私は初めて、傷つくことを恐れずに自分の思っている事を相手に伝えようと思いました。そう決意して面会したところ、それまでは全く伝わらなかったこちらの意思がすんなりと相手に伝わったのです。それは劇的な変化で、いったい何が起きたのかと呆然としてしまったほどです。》


それは、自分の刑事裁判の体験から生じた思いでもありました。判決は「有罪」でしたが、裁判を傍聴していた(面識のない)方から、「本当に知らなかったんだなと思った」「(私の)証言に説得力があった」等のお手紙を頂いていたのです。
「裁判官には伝わらなかったけど、一部の人達には確実に伝わったんだ」
 この体験は、「どうせわかってもらえない」と感じたことについては、最初から話さない癖のある私にとって、大きな成功体験になったのです。


この様にして読んでいると、

本当に諦める。自動思考と言うものは、あまりに本人の可能性を狭めていた様子が伺える。


本人も言っているが、両親との関係性が悪かったこと、でもそこから関係性を再構築できたこと、自分を知らない他人に理解を得られたこと、自分が傷ついてもいいから、1歩踏み出したことが肯定されたことで成功体験につながり、自分の事実を伝える行動に至ったと考えられる。


引用文献

元オウム菊地直子さんの無罪確定がマスコミにつきつけた重たい課題(篠田博之) - エキスパート - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/394e33771a5b5845c4bdff8ce27bb89bd516e259







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