β-400 ぼへみあん・らぷそでぃ
まだ上京していたころのおはなし。
でも、その生活にも終止符を打つときがきていた。
一身上の都合によるものだったけれど。
上京してからの生活は刺激も発見もいろいろあったし、受難もあって、現実も知ってというのはあったけれど、なにより一定期間を終えたら、住みたい場所に引っ越して、そこでひっそりと暮らそうという想いが密かにあった。
いまでこそ、ひっそりと暮らしてはいる、実社会において。
これからは知らないけれど。
それはさておき、首都から離れるまでの1ヶ月というのは、まだ上京してからしてなかったことや、引っ越してしまうと、あんまりすることは叶わないだろうということを少しずつ行っていった。
そのうちの一つが映画鑑賞というものだった。
小規模の映画館自体は実際に行けずじまいだった。
ポレポレ東中野や池袋シネマ・ロサとか館の前に立ち寄って上映作品をチェックしてたこともあったけれど、結局館内にここまで入れていない。
状況が収まったら、マイナーでも力の込められた作品を見たい思いもあるけれど、その時の興味がどうなっているのかは、定かではない。
代わりと言ってはなんだけど、当時よく出没していた新宿のバルト9やピカデリー、TOHOシネマズといったところでその当時の話題作とかは見に行ってた記憶はあるけれど、正直なところあんまり記憶には残っていない部分も多い、その時は楽しんでいたけれど、いま振り返ってみると・・・そんなにかな。
よくレイトショーの時間帯に見に行ってたし、上映終了後には、方面によっては終電が過ぎていたなんてこともザラにあった。
幸いにして、私の利用していた路線は、まだ帰れるだけの本数はあったけれど。
そんな上京時代に映画館で鑑賞した映画で最も記憶に残った作品が「ボヘミアン・ラプソディ」という完全にベタど真ん中の作品でございました。
でも、見た当時はQueenというバンド、代表曲、メンバー構成は知っていても、そこから先の例えば当時の情勢だとかそんなことまでは知らずに見ていたっけな。
先入観なく見たこともあって、完成度の高い作品に出逢えたなという印象だった、もちろん出来事が前後していたり、マイルドに描かれていたりという面はあるけれど、終盤のLIVE AIDからのエンドロールのDon't Stop Me NowとThe Show Must Go Onまでの流れは圧巻だったし、そのおかげで見終わったときの高揚感をどうしても維持したくて最寄りの駅から帰らず、余韻を味わい落ち着くまで、夜の街を闊歩していた記憶が残っている、最近そういったものに立ち会えていないことに対する寂しさもそれとなく感じているので、またそういった作品や公演に立ち会いたいなあ、と考えるといまの情勢はある程度察してはいるけれど、憎い部分も確かにあるかな。
「ボヘミアン・ラプソディ」は暫定的に東京都心で見た最後の映画となっている、生きてる限り更新は必ずするのかもしれないけれどね。
でもあのときの私はこれが最後だし、どうせなら大きなスクリーンと音響のいい場所で見たいよねという部分が強かった。
ちょうどそのときに大ヒットした映画が「ボヘミアン・ラプソディ」という音響の良い場所で鑑賞しなきゃねという作品だったこともあり、当時、最も音質の良いとされていた映画館で大きなスクリーンとなると・・・いうことで探して引っ掛かったのは、TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーン7だった。
六本木ヒルズにあるこの映画館は、都内のなかでも規模の大きい映画館があり、スクリーン7はこれから封切りされる映画の舞台挨拶に使われるほどの有名な場所、六本木という街はショッピングやグルメをそこまで満喫したという記憶は少ないけれど、月に4回くらいは訪れていた馴染みの深い街。
ヒルズやミッドタウンはもちろん、青山ブックセンターも行きつけだった(閉店したのが惜しかった・・・)、当然TOHOシネマズの存在も把握はしていたけれど、館内に伺うことは意外にもなかった。
そこで、思いっきり楽しむために、時間が自由に利く日にちを用意して万全の体制で見ようという気持ちになった。
気まぐれから始まったもの中心に据えながら、気持ちを高めるためにできる限り都合の良いように計画を練った。
そして、敢行。
2019年の1月14日、成人の日、休みであった。
上映時間は2時間半、スクリーン7で公開されているのは事前に知っていた。
観る時間は18時15分から、一般的にバンドの単独公演となると17時や18時開演だよねというイメージからこの時間帯に、ふわっとした動機であるけれど、単に映画をというわけでなく、Queenのライヴに行くんだというような感覚で。
とはいえ、14日。
TOHOシネマズを利用した方にとってはご存知でしょう、毎月14日は1100円ということを(ドルビーアトモスのシステムもあって+200円だったけど)。
その当時は税率が8%だったんで1100円、10%適用で1200円とまあ、そういった価格改定はございました。
なお、TOHOシネマズは、2021年の7月14日より毎週水曜日にTOHOウェンズデイと称して、毎週水曜に1200円で観られるという方針に切り替わるようです。
所謂、TOHOシネマズデイとレディースデイ、夫婦50割引の統合というべきでしょうか。
まあとにかく、ちょっとでも負担を減らしたいという気持ちがあったみたいでして、ええ。
公開から2ヶ月を過ぎてもなお、満席だった。
祝日、シネマズデイと重なったこともあるのかな。
席をどこにしたかは忘れてはいますね、ピンポイントでは。
ただ、プレミアボックスシートの後ろの中央辺りだったと記憶しているけれど。
恐らくプレミアのところが一番見やすいと考えたから、そこに準ずる席をチョイスしたという感じかな、少しでも良い状況にしたかったこともありまして、結果として終始満足のいく座席だったかと、もちろんグレードアップしてプレミアで見ればより・・・だったんだろうけど、そこまではね、なかなか。。
あの当時はLIVE AIDの記憶がいちばん印象に残っていて、次点で20世紀FOXのOPだった、特別仕様だったのがより印象に残っているし、なによりあのロゴがくるとワクワクするものがあった。
ブライアン・メイとロジャー・テイラー監修の下、作り上げられた作品ということもあって、純粋に楽しんでいたという印象。
なによりもエンドロールが終わりきるまでに帰った方が少数だったと記憶している、いやただ単に出れなかったってのはあるかもしれないけれど、明かりが灯るまで、腰が浮かないお客さんが多かったかなという。
これだけの大ヒット作品なんで、地上波で放映されたときにそのときの背景や裏話がきっとあるんだろうなと感じていたので、先日の金曜と日曜、改めて見ながらどんなことがあったのかをさまざまエゴサーチしながら各シーンをじっくり見て答え合わせなどして・・・という週末でした。
特にメンバー間というよりはメアリー・オースティンやジム・ハットン、ポール・プレンターにまつわる話などの史実をはじめとしたところが特に新たな発見だと感じ、感嘆したものがあった。
個人的には日曜日が満足いく内容でした、円盤としても欲しくなるけど、LIVE AIDのとこだけ繰り返す内容になっていきそう。
そうね、当時の上映は2時間半、そのうち十数分は近日公開の映画の宣伝や性懲りもなく映画泥棒している方とかが出演されるから、そのときには、We Will Rock YouやCrazy Little Thing Called Loveなどはなかったんかな、LIVE AIDとしては。
そして、そこまでも見せて頂いた。
ねえ、こっちのほうを地上波でノーカットしてもよかったのよ?
でも、ほんまのノーカットではくどいと判断されたのかな、Don't Stop Me Nowは実際の写真もあって切りづらかったのはあるでしょうし、それだけは流して、というように地上波は甘くはない。
で、単にエンドロールオンリーのThe Show Must Go Onは削られてしまったと。
その救済措置としてBSでは追加2曲を加えて、最後まできちんと流してという内容だった。
なるほどね、2度見させるという思惑があったのかってとこだ。
吹替と字幕、その両方を一気に見させようという意図にまんまと載せられた訳だ、でも私としても楽しませてくれた映画だったからべつにいいんだけどねっ。
けど、視聴人口やトレンドの勢いからしてみると、当然ながら地上波に軍配なわけで、だから多少カットされようと地上波もチェックして、基本を収集して、復習がてら、補完というのも目的でBSで見るというのは、ある意味理にかなってるものがあるのかもしれない、もちろんBlu-rayや月額配信で補完するのもありだけども。
さて、ここからは楽曲を軸ににさまざま書いていくシリーズを私のnoteでは時折しているのですが、その第18回はQueenの“Bohemian Rhapsody”です。
18回目にして初の洋楽作品です。
制作秘話や過程というのは、映画でも描かれている部分はありますが、当時としては、2~3分台がザラだったなかで、5分55秒というもしかしたらこの1曲で他の2曲が紹介できるんじゃないかという演奏時間にバラードとハードロック、アカペラ、オペラを詰め込んだというとても濃い作品となっております。
バラードとハードロックの組み合わせは他にもあるかなと感じていますが、アカペラはさておき、オペラを組み合わせるのはなかなかないな・・・とは。
故に、ライヴ演奏にフルでというわけではいかず、そのときにはアカペラとオペラの部分は割愛され(多重録音の箇所は再現するのは難しいのは山下達郎さんもよく仰ってるので、なんとなくわかるような・・・)、残った部分をメドレー形式として演奏したということが多かったそうな、あとはオペラパートはテープを用いてという手法があったり、冒頭のフレディ・マーキュリーのピアノの弾き語りのとこを付加したりということをしていたそうな。
音を重ねると臨場感はより伝わってくるんだけど、それゆえにライヴでの再現を不可能にさせてしまうというデメリットがある、テープを用いないとどうしようも、生音100%はいろいろ至難。
フレディのドラムのように力強く鍵盤を弾く部分とブライアンのギターソロ、そしてそれぞれのパートに差し掛かる部分の転調(特にオペラの前後)、オペラパートの"Galileo"の多重といい、聴きどころのとても多い楽曲だなと感じていますし、なによりフレディがいちばん力を込めた楽曲なのは間違いないのかな、映画のタイトルになるくらいだし、とも感じ取ったものがございました。
歌詞の真意に関しては、べつに聞きたくもないかな、恐らくメロディに合わせて歌詞を入れただけというのはあるかもしれないですし、もしかしたらメンバー間とかにしか伝えていないフレディの深淵もあるのかもしれないけれど、そこまで素人は知ろうとも思わないものです。
演奏時間の長いこともあって、この楽曲はプログレッシブ・ロックのような側面があるような、というのもこの当時プログレッシブ・ロックも商業的音楽として流行っていたので、その影響を受けていたのかなと、オペラに関しても本格的なものではなく、パロディ的なものだったんじゃないかな、演奏形態に合わせるような感じで、その真偽であったり、組み合わせだったりというのは実際にはよくわかってないんだけど、その当時の状況から推測すると。
グラミー賞の殿堂入りを果たしている楽曲ですし、再生回数も13億を超えますし、映画も大ヒットしたこともあって、だれしも聴いたことがあるとは思われる楽曲の一つです、歌詞からしても演奏からしても難解ですが、Queenの系譜を知るうえでも重要な楽曲であることは間違いございません。
その時の想い出と楽曲そのものを中心に組み合わせて書いてみました。
400回記念特別編と題してね。
節目の回はどうしても気にしてしまいがちなあした・の・β<ベータ>でした。