シリーズ 米国のアジア人脈⑮ 及川正也 ヒンドゥー系大統領選候補、ギャバード氏 外交を争点に掲げる女性現役州兵
ヒンドゥー系大統領選候補、ギャバード氏
外交を争点に掲げる女性現役州兵
2020年米大統領選の民主党指名争いが本番を迎えるまであと2カ月。バイデン前副大統領やウォーレン上院議員ら並みいる有力候補を横目に孤軍奮闘しているのが、ハワイ州選出のアジア系女性下院議員、トゥルシ・ギャバード氏(38)だ。医療保険や格差、環境問題をめぐって白熱した議論が続く中、最大争点に外交を掲げ、戦地派遣された米軍の完全撤収と平和構築を訴える。異色の候補、ギャバード氏とは。【毎日新聞論説委員・及川正也】
「敵との対話」重視
「私はこの狂気を終わらせる。体制転換を目論む無駄な戦争を終わらせる」。海外での戦争からの全面撤退を訴えるギャバード氏の主張は、民主党の中でもひときわ孤立主義的な色合いが濃い。彼女の訴えが耳目を引くのは、地元ハワイ州兵として2004年にイラクの戦闘地域に派兵され、08年にもクウェートに志願して出兵した軍人としての経験に基づいているからだ。現在もハワイ州陸軍州兵で少佐の地位にある。
アフガニスタン、リビア、シリア、キューバ、ベトナム、イラク――。ギャバード氏はこうした国々の名前を挙げ、「失敗に続く失敗だった」と言う。「海外戦争から手を引く。アフガニスタンからも撤退する。外国のことは外国に任せる。すべての国が民主主義を求めているわけではない」。米国の介入主義の失敗から、圧倒的な軍事力があったからといって世界が米国の意のままにはならない現実を直視した発言だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?