記事一覧
ESCAPADE -3-
週の半ばの仕事帰り。
駅までの道を歩いていると、突然右耳のイヤフォンが外れる。
宏太「綾さん。」
右を振り向くと、彼がニッと笑っていた。
宏太「何回か呼びかけたんだけど、気付いてくれないから。」
そう笑いながらイヤフォンを渡してくれる。
宏太「お疲れさまです。」
綾「お疲れさま。宏太くんも仕事帰り?」
宏太「うん。それで駅向かってたら、綾さんがいたからちょっと走っちゃいました。」
ESCAPADE -2-
後日、由紀から呼び出しがあった。
由紀は先日の食事会、もとい合コンを開催してくれた友達その人。
私のために開催してくれた合コンを、当の本人である私がドタキャンをしたものだから、当然お怒りの様子。
由紀「ちゃーんと理由、教えてくれるよね?」
お怒りと言っても長い付き合いなので、本気で怒っているわけではない。由紀は何かと抜けている私をいつも心配してくれて、その度に背中を押してくれたり手を貸して
ESCAPADE -1-
彼氏がいなくて、早幾年。
若い頃は理想もあったし、妄想も沢山したけど、もう夢見るだけではいられない。
周りは次から次へと、結婚、妊娠、出産…。
綾「私、おいてかれちゃったなぁ。」
残業終わり。
駅のベンチで電車を待ちながら、ため息が溢れる。
??「電車、ないんですか?」
綾「………へ?」
突然隣から声をかけられ、素っ頓狂な声が出てしまった。
??「あ、独り言でしたか?すみません、