辞書にはない言葉
【写真で掌編小説】
「辞書にはない言葉」
辞書には言葉がいっぱいある。
幸せの定義とか、悲しさの行方とか、後悔の正体とか。
ありとあらゆる言葉が詰まっている。
ありがとうやごめんなさい。
意味はわかる。意味だけなら。
だけど、その言葉を正しく使うことは難しい。
昨日、友達から「うざい」と言われた。
僕の心にはささくれが出来たみたいに、キリキリとチクチクとした感じになった。
そして、うざい、という言葉を調べた。
意味はわかった。
だけど、この感覚を解決するための言葉は載っていない。
擦りむいた心をどうしたら良いのだろう。
悩みながら辞書で調べる。
何時間も調べた。
やがて、夕焼けが広がり帰り道に着く。
すると、友達は帰り道の途中で誰かを待っていた。
友達は僕に気付くと駆け寄り、目の前で手を合わせた。
「ごめん」
たった一言の謝罪だった。
僕は返す言葉を探す。
意味だけわかる、ありがとう、を返すべきだと思った。
だけど、何か違う気がした。
謝る友達に、僕は手を差し出した。
僕と友達は握手をし、笑いあった。
辞書にある言葉以外にも、言葉はあった。
終わり
写真から掌編小説でした!
九作目です!勉強した言葉ももちろん大切だと思います。だけど、勉強する言葉以外にも言葉はいっぱいあるのかな、と。
素敵な写真をありがとうございました。
また、お会いできることを楽しみにしています♪
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