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【恋物語】蝉時雨

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#恋愛小説

【恋物語】蝉時雨/第二章⑵ 悪い夢

【恋物語】蝉時雨/第二章⑵ 悪い夢

春一番が吹いた今年二月。

嫌な夢を見た。
その夢の世界で、小春は夜中、酷く泣いていた。
車で猫を轢いたらしい。

珍しく電話が掛かってきたかと思ったらそのような内容で、電話越しに話を聞く僕の心臓も嫌な跳ね上がり方をして、彼女の元へ向かう途中にも動悸が止まなかった。

事故があってすぐに取り敢えず停めたというコンビニの駐車場に僕も車を停めて、彼女の車のドアを開けた。
彼女は靴を脱ぎ、体育座りの様な

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【恋物語】蝉時雨/第一章 色恋

【恋物語】蝉時雨/第一章 色恋

駅の裏にある公園の前で、僕は車を停めた。
もう終電は終わっているし、此処は田舎の古い町。
道は細くて辺りの街灯はほとんど無い。

彼女の話が途切れる度に、蝉時雨がタイミングよく降り始めるような、妙な感覚が今日一日付き纏っていた。

窓を開け、運転席で煙草に火を着ける僕の左腕に、彼女の背中がもたれかかった。
「あとちょっと」
文庫本の左側が大分薄くなっているので、
きっとラストシーンを読んでいるとこ

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