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【AshiraseCOO就任記念対談・前編】深い課題に向き合い、ユーザーさんに役立てる「手触り感」があるサービスを創りたい

2024年6月17日付でAshiraseに取締役COOとして香山由佳が就任しました。

前編では、香山のこれまでのキャリアやAshirase入社の経緯について、視覚障がい当事者でもある、あしらせスタッフの西川がインタビューしています。

香山由佳(かやま ゆか)プロフィール

香山由佳の話している様子

2005年に東京海上日動火災保険株式会社に入社。多岐にわたるBtoBセールス経験を積む。出産を機に2018年にヘルスケアスタートアップ株式会社ニューロスペースに転職。アーリーフェーズからシリーズAラウンドの事業やサービスの立ち上げを牽引後、取締役COOとして事業成長を推進。退任後、2023年1月よりAshiraseでのサービス立ち上げを行う。

西川隆之(にしかわ たかゆき)プロフィール

西川隆之の話している様子

網膜疾患の視覚障がい当事者。視力0.1、視野が狭くソフトボール程度の大きさ。15年ほど通信会社で社内システム運用業務に従事し、その後1年半ほど外資系IT企業にてスマホアプリの視覚障がい者向けアクセシビリティ改善業務(障がい者が便利に使える機能・設定)に従事。2024年5月よりAshiraseにジョインし、視覚障がい者向け関連ビジネスに携わる。


事業を創りたい、出産を機に大企業からスタートアップへ

西川:まずは、香山さんのキャリアのスタートについて教えてください。
香山:2005年に大手損害保険会社に新卒で入社しました。最初の8年は、地方で法人営業としてあらゆる業種の方と働き、仕事の基礎を叩き込んでもらいました。その後は本社でグローバルメーカーを担当したり、名古屋で営業統括の役割を担ったりと幅広く経験しました。
新卒の時は、女性が法人営業をやること自体に懐疑的な価値観が残っている時代でしたが、とにかく目の前のお客さんの信頼を得るために人とは違う努力をしよう、その場所ごとに自分だからこそ成し遂げられたと思える成果を出そうと心掛けていました。そして、2018年に出産を機にヘルスケアスタートアップに転職しました。

西川:前職のスタートアップに転職をしたきっかけは何だったのでしょうか?
香山:自分の根本的な価値観として「いろんな場所で必要とされる人でありたい」という思いがあります。当時は、クライアント企業の事業リスクをヘッジする側であり、サポートできる醍醐味ややりがいもあったのですが、やはり私自身が事業を創る側になりたいという思いを抱いていました。
ただ、いざ自分が別の場所でチャレンジしようと思っても、何からどうチャレンジしていいかわからなくて。
産休に入り、仕事漬けだった生活から離れる時間ができたことをきっかけに、スタートアップでボランティアができるサービスを見つけて、子供を抱えながら参加することにしました。そして、1か月後には入社を決めていました(笑)

西川:そうなんですね!実際に大企業からスタートアップに転職されて、違いを感じられましたか?
香山:そうですね、大きな違いを感じなかったこともあり、すぐに転職しようと思えた気がします。どの環境においても共通して大切なのは、バックグラウンドがどうこうよりも、覚悟ややりきる力、柔軟性といったようなその人の根底に流れるものだと思っています。
ひとつ違いを挙げるとすれば、今まで大企業であれば、数多くの人と役割分担して仕事を進められていたことを、初期フェーズのスタートアップだと全部自分で1からやらなくてはいけない。でもそれが「楽しいな、最高だな」と思っていました。
私はあまり役職とか、社会的な立場にはこだわりがないので、自分でゼロから創って、創ったものをお客さんに届けきるまでできることを特に最高だなと感じます。

西川:前職はヘルスケアスタートアップだったのですよね。
香山:はい。ハードウェアを活用したサービス立ち上げやアライアンス事業を進めていき、最後には取締役COOになりました。スタートアップあるあるですが、大変な時期も色々なハードシングスも経験してきましたが、その都度、覚悟を持って決断していき、とにかくあらゆることを全部経験させてもらった4年でした。

Ashiraseとの出会い

西川:そんな中で Ashiraseにはどのように出会われたんですか?
香山:元々、前職のあとは自分で事業を起こそうかなと考えていたのですが、退任後のことは具体的には決めていなくて。そんな時、お世話になっていたVCの方からAshiraseを紹介いただきました。

西川:初めの印象はどうでしたか?
香山:まず「またハードウェアだ」と思いました(笑)
と同時に、視覚障がい者の方向けのプロダクトということで、これまで関わったことがない市場であることにも強く関心を持ちました。
前職の経験からも、ハードウェアを持つサービスの大変さと面白さをわかっていたので、この会社で何か力になれるかもと思い、代表の千野さんと会うことにしました。

西川:千野さんとお話されてみて、どうでしたか?
香山:最初振動でナビすると聞いて「なんで振動なの?」ということと、世の中にナビサービスが溢れている中で「本当に必要なの?」と疑問に思いました。
当時私は視覚障がい者の方とほぼ接したことがなかったので、単独歩行をサポートするためのナビゲーションを、振動というこれまでにないインターフェースで提供する意義がピンと来なかったんです。

実際に現場を見て自分で手触り感を持てないと納得できない性格でもあるので、視覚障がいの方がいらっしゃるイベントにすぐに足を運びました。
そこで実際にお話を聞いて一緒に歩いてみると、移動について、とてつもなく大きな課題が存在していて、沢山の困りごとが溢れていることに気づかされました。
これまで駅や道で白杖を持っている人を見かけることはあっても「困っているのかな、声をかけたほうがよいだろうか・・・」で何もせずに終わっていましたが、まずは「何かお手伝いしましょうか?」とお声がけすべきだと強く反省しましたね。
その方はあしらせにとても期待してくださっていて「本当にあしらせで自分の未来が変わる」「一人で歩けるかもしれない!」とおっしゃっていました。その時に、これだけユーザーさんの深い課題に対して取り組めるプロダクトはすごいなと感じましたね。
千野さんとお話ししていたことが、ユーザーさんとの会話の中で答え合わせできたようでした。

視覚障がい者の方とのコミュニケーション

西川:実際に視覚障がい者の方とお話しされてみてどうでしたか?
香山:最初お話しする時は、失礼なことを言っていないか、説明がちゃんと伝わっているかとすごく緊張したのですが、話してみると、正直意外と普通なんだなと思いました。
これまでも仕事を通じてたくさんの人と会ってきたので、何というか、皆さんそれぞれ違っていて当たり前で、相手の状況や気持ちを想像しながら言葉にしっかり耳を傾けて、コミュニケーションを取っていくのは一緒だと改めて思ったんですよね。

西川:そうなんです。意外と普通とよく言われます(笑)

香山:実際にこうやってお話しして、やっぱり私は働く上で、直接誰かの役に立っていると感じられる、「手触り感」があるサービスに携わることを大事にしているなと実感しました。
Ashiraseに入社後は、様々なユーザーさんとお話しさせていただく機会があるので、そのたびにこのマーケットで自分の力を発揮させてもらえることにとてもやりがいを感じています。今後も、人の琴線や価値観に触れることができるプロダクトを創っていきたいなと強く思っています。

後半では、代表の千野も加わり、香山や西川がAshiraseにジョインした以降のお話や、あしらせ新モデル発売に向けてそれぞれが目指したい未来についてお話しします。