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私の貧血のお話⑦


⑥の続きになります。

婦人科の初診で、問診票をきっちりと埋めるのには時間がかかる。
書かなきゃいけないことがたくさんあるからだ。

どの診療科でもそうだと思うが、婦人科の場合、現状や直近の経過だけではなく、過去が必要になったりする。

日にちや数字が必要だから、その場で思い出すだけでは書けないこともある。

救急車に乗る時に、日記のように使っている手帳を持ってきていたので、それを見ながら問診票を埋めた。




「こんにちは。うん、えーと、うん、うん、うん、大変だったねー」

書き込まれた問診票を読み、PCに打ち込んでいく先生。
入院して2日目に、病院内の産婦人科を受診した。

婦人科の先生が男性か女性か、気になる方もいらっしゃると思うが、私はそれは全くない。

生理が不安定な独身の頃も結婚後も、子どもが欲しいと思った時も、妊娠、出産を経てその後も、幾つかの婦人科、レディースクリニックを渡り歩いた。

いいなぁと思う先生が見つかってもクリニックごと遠くに移転してしまったり、もう二度と行きたくないという思いをしたり。

目の前にいるこの先生が、やさしいといいなぁ。
怖くないといいなぁ。

「これがね、あやしもさんのCTね。
で、これが筋腫、これ。だいたい6センチくらい。
筋腫の方は、そんな大したことないと思う。

えーと、子宮腺筋症があやしいんだよねー。
ほら放射線科のでもここに書いあるでしょう、
"子宮腺筋症の疑い"って」

子宮腺筋症しきゅうせんきんしょう

子宮内膜の組織に似た何かが、子宮の筋肉の中に入り込んで増殖してしまい、子宮を分厚く、大きくしてしまう。
生理のたびに増えていき、月経血を大量にしていく。痛みも悪化していく。
女性ホルモンによって進行。
閉経がくれば進行も症状も止まる。
子宮筋腫や子宮内膜症と同時に発生している場合もある。
30〜40代の経産婦に多い。

自分の理解の範囲で書きました

下記のサイトでも説明が載っています。
https://www.seirino-mikata.jp/disorder_mens/adenomyosis/

この病名を、私は聞いたことがあった。
子宮の病気についてネット検索していた時に目にしていた。
症状が、自分と似ているような気がして、

「もしかしたら私は、子宮腺筋症という病気じゃないでしょうか?」

生理がつらくて通っていた近所の婦人科クリニックで、思いきって問うてみたことがあった。
検診の時に子宮が大きいと、この先生に言われたので。

「いやいや違いますよ、そんなものではないです。そうなら、もっとひどい症状が出るから」

そうおっしゃった近隣クリニックの先生を責める気は毛頭ない。

その時そのクリニックでは分からなかった、それだけだ。
念には念を……と自分から別の医療機関を、例えば精密検査に長けたところを紹介してもらい、セカンドオピニオンを受けてみる選択肢もあったのに、私はしなかった。



今、目の前にいる先生は続けた。

「内診のエコーだと分からないのですよね。
CTとMRIと腫瘍マーカー、全部検査やって確定できるのです。

分かるのはやっぱりMRIかなぁ。
あと腺筋症だと腫瘍マーカーが上がるのね。
そういうので分かります。
だからそれ、検査しましょう。

今、自分のヘモグロビンいくつになったか知ってる?
8.1※か。上がったねぇ。貧血、治ってきてるねぇ。よかった。

きっともうすぐ退院出来るから、外来でまた来て、MRIを撮ってもらえますか?
この病院の中で撮れるから。
この入院中はMRI撮らなくていいよ。
今は貧血を治していくことが最優先ね。

検査結果が出てから、この先どうしていくかです。

腺筋症へのアプローチは幾つかあります。
これはね、生理があるかぎりどんどん悪くひどくなっていくの。
さすがに今回みたいなひどいのにはもうならないと思うけど、貧血の原因になります。
このままだと毎回の生理が大量出血なので。


例えば、取っちゃう。手術で子宮を取ってしまう。

そうすれば生理、生理痛がない、子宮のがん検診もしなくていいし、頚がんや体がんの心配もしなくていい。

あやしもさん、49歳と半年ですよね。

うーん、微妙。閉経までね、あと2、3年かなぁ、いけるかなぁ。

あとは、ホルモン剤で、生理を止める。強制的に閉経の状態にしてしまうの。  

ホルモン剤はこれの他にもあるし、状況や本人の希望も聞きます。

まずはMRIだね。それから相談しましょう」

ちゃんと私の顔を見て、私の反応を見ながら話してくれる先生だ。
よかった。
良い先生に巡り会えた。
モニターばっかり見てるお医者さんもいる。

その日は内診と子宮頸がん、子宮体がんの検査を受けた。
子宮頸がん検診は毎年受けていた。
体がんの検査は初めて。

痛いとネットで読んでいて不安があったが、そうでもなかった。私がにぶいのか、先生の腕か。

内診中、子宮が硬いと言われた。
硬くなるのが子宮腺筋症の特徴らしい。


輸血をしてから、日を追うごとに身体は軽やかになっていた。

すごい。

身体が軽い。
頭痛がしない。
空気が美味しいように感じる。(気のせい?)

腕の湿疹が急に治った。
(何年も悩まされて皮膚科に通ってもいた腕の湿疹が、輸血と鉄剤服用でつるつるに)

早朝まだ誰も居ない病棟の廊下を走ってみようか、と思うくらい。
もちろんしなかったが。

私の身体は、数値も体感でも良くなってきている。

病院と繋がり、話しやすい先生たちにも出会えた。
これからも、調べてもらうのだ。

先の不安よりも、今をよかったと思おう。

……………………………
追記……※ヘモグロビン数値について
・8.8と投稿時に書いてしまいましたが、経過データを見直したら、8.1でした。
・「退院していい」と言われる前日が8.8でした。
・コメント欄で質問があったのですが、救急車で搬送された時は6.1でした。

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