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3日目

2日目 ⇦前回

 ハリドワールに向かう列車は快適で、日本でもあるような普通の特急の席だった。サービスで朝ごはん(かたいパンとフニャフニャのお菓子)とチャイが出てきた。ぎゅうぎゅう詰めの電車の方が旅情緒があっていいなと思ったが、ゆっくりiPadで本を読んでいられたので、それはそれで良かった。

 気付いたらハリドワールに着いていた。アナウンスも何もなく、気付けたのが奇跡なくらいだった。停車してからしばらく経っていたので、慌てて電車から降りた。駅を出て、iPadにダウンロードしていた地図を見ようとしたが、シートの前ポケットに入れたままにしたのを思い出した。最悪だった。駅員に言ってもどうせ戻ってこないだろう。調子に乗ってiPadなんか持ってこなければ良かった。

 絶望して立ち尽くしていると、チャイ屋のおばさんが手招きして、「まあ飲みなさいよ」と言っているようだったので、とりあえず店先でゆっくりした。街を眺めていると、衝撃的な光景がたくさんあった。車やトゥクトゥクと一緒に馬も走っていて、その馬は走りながらウ○コを出していた。そのほかにも牛や犬はもちろん、サルやヤギやブタもいた。ゴミがその辺に溢れていて、ブタがゴミを漁っていた。当然、街中はとても臭かった。信じられなかった。

 Wi-Fiがある少し高い宿を見つけ、部屋で休憩した。気分は最悪だし、昼間は暑すぎて活動したくなかった。明日はビートルズが過ごしたアシュラムに行くつもりなので、ホワイトアルバムを聴いて休憩した。

 しばらくして、丘の上のお寺に行った。ロープウェイもあったが、時間だけはたくさんあるので、歩いて行った。道中にはスラムっぽいところがあったり、変な太鼓を叩いている人がいたり、英語でない言葉でずっと話しかけてくる人がいたりするなど、インド感たっぷりだった。頂上に着いてお寺の中を見物しようと思ったら、すぐに下りのロープウェイ乗り場に出てしまい、流れで乗ってしまった。

 街へ降りて、そのままブラブラと散策した。バラナシみたいにガートはあったけど、あまり活気はなかった。それでも6時からプージャ(お祈りショー)があると言うので、それまで待つことにした。街中は臭いしハエがたくさんいるから、綺麗そうなコーヒーショップに入って時間を潰した(そこにもハエは何匹かいたけど)。一瞬大雨が降ったが6時前にはあがり、プージャは開催されるようだった。

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 店を出てプラプラしていると、おじさんに「プージャ見るのか?こっち来いよ」と言われ、特等席に案内された。そこへ座ると、物売りや寄付を要求するヤツがたくさん来た。他に外国人はいなかったから、こんなにカモにされるのだろう。周りはインド人しかおらず、自分は異質な存在で、ひとりぼっちだった。少し寂しいな、と思った。

 そんなことを思いつつも、お祈りショーを見ていると心が落ち着いた。距離が近くて、火やお香の匂いをはっきりと感じることができた。神聖でありながら、優しくて素敵な雰囲気だった。

 お祈りの途中で急に大雨が降り出した。それでもお祈りは止まらないし、周りは傘をさして見続けていた。雨に打たれながらも、火は燃え続けていた。

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 お祈りが終わっても、大雨は降り続いていた。急いで屋根のあるリクシャーを捕まえて、宿まで漕いでもらった。雨の中漕いでもらったので、値段も聞かずチップも込めて多めに渡したら、「サンキューマイフレンド!」と抱きしめられた。びしょ濡れの彼に抱きしめられて、服がもっと濡れてしまった。


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続き⇨ 4日目

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