2回のインド旅を終えて

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 2回目のインド旅を終えて、大学2年の秋学期がはじまった。前までは週5でバイト、週2でフットサルをして、朝まで飲むこともたくさんあった。そんな目まぐるしい日々から一転、バイトを一つ辞めたことで時間の余裕がかなりできた。ちゃんと大学に行って、授業が終わったらまっすぐ帰宅するなんて、入学以来初めてだった。

 余った時間で本を読んだり、映画をみたり、今まで忙しくて会えなかった人たちと飲みに行ったり、なかなか有意義な時間を過ごした。しかし2ヶ月くらい経つと、その"生ぬるい"生活に飽きて、突然自転車にテントを積んで遠くまで行ったり、中国に5日間行ったりした。

 インドで「You can go anywhere」と言われたおかげか、どこに行くにも何をするにも自信たっぷりだった。旅先で遭う困難も、余裕を持って楽しめるようになっていた。

 一方で、「何をしているんだろう」という気持ちになることもあった。私は人に「ありがとう」と言われるようなバイトを辞めて、誰のためにもならない事をしていた。たとえ中国の辺鄙なところまで行けたとしても、それはただの自己満足だった。誰にも必要とされないことを、ひとりで勝手にやっていただけなのだ。自由を手に入れたつもりだったが、実際にはどこか虚しかった。

 旅をすれば世界が開けると思っていたが、早くもその限界を感じていた。ただ旅をするだけでは、これ以上大切なものは得られないような気がした。

 それでもなお、旅をしたいという気持ちは常にあった。次は旅のスタイルを変えて、色々な世界を、景色を見てみようと思った。
 


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