#3 小説「どうしても生きてる」(著:朝井リョウ)を読んで。

生の虚無感をもつ私が、タイトルに惹かれ手に取った一冊。

本書は6つの物語で構成されている。物語は場面と時系列が変動的であるがそれも楽しんで読むことができた。

それぞれの物語はメインの一人の視点で描写され、その人の思考を体験するようだった。

脳で咀嚼する間もなく、次々と災難にさらされる無慈悲な生。
自分の不運を受け入れることは希望となるのか。
自分を隠すことがうまくなればなるほど、心は現実から離れ痛む。
 
虚無感で憂鬱になる。
なぜ生きているのか顧みる余裕もあたえられない。
問題だらけの生の中で、身に起こる災難は理由があって起こるのだと、自分に言い聞かせても、なぜ生きるのかは明らかでない。

でもその中で、糸口をつかんで、目的、意味、衝動を追って、生きていく彼らの目線を通したことは、少なからず、私に生を歩む勇気を分けてくれた。


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