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ノンフィクション連続小説第④話 『妖怪の棲む家』

私はその小さな屋根裏部屋を出て、廊下を進んだ。テレビの置いてある剥製だらけの不気味な和室の横を通り過ぎると、奥に部屋の扉が見えてきた。ゆっくりと開いてみる。

緑色のカーペットの洋間だ。ボードゲームや人生ゲームやおもちゃとおもちゃの箱だらけ。隅に学習机があった。ここは父の昔いた部屋だとすぐにわかった。電気をつけると蛍光灯が光る。

部屋を見渡していると、奥の壁が全面厚い擦りガラスになっていることに気づいた。引き戸の取手がついている。向こう側は、外なのだろうか。

私はおもちゃの箱を寄せながらその取手のところまで進んだ。分厚いガラスだ。重たい。引き戸ってなんでこんなに力が入らないんだ。

ズズズッ...少しずつ横にずらすことができた。重たいガラス戸は、私が通れるくらいに開いた。

外ではなかった。眼の前に巨大な天井が広がった。え、どういうこと?下を見ると2mほどの崖になっている。ここは隠し部屋になっているのだ。

秘密の遊び場。そんな言葉がぴったりの部屋。誰に対して隠すのだろう。陰気な雰囲気の漂う部屋。

私は、ガラス戸のところに一度腰をかけ、その大きな部屋に飛び降りた。

ここは窓も何もなくとてもとても薄暗かった。どんよりとしていてまるでドクロの部屋みたい。電気のスイッチがどこにあるかわからない。あるのはさっきまでいた部屋の蛍光灯の光だけ。

赤いカーペット。部屋の真ん中に大きなビリヤード台。周りにはキューやらソファやら大量の衣類、楽器の機材のようなものやたくさんの遊び道具が散乱し埃をかぶっている。

この地下室のような部屋はとても広く、寂れた廃墟のようで気持ちが悪かった。欲しいものすべてを買い与えられた部屋は欲望、欲望、欲望が渦巻いていている。悪いものがここに溜まっている。入ってはいけない空間に踏み入れてしまった。早くこの部屋から出たい..!

ガラス戸の方を振り返ると、頭上の高い位置にある。何か踏み台になるものを探さないと戻れない。暗くて怖くて泣きそうになる。

震える胸をおさえうろうろと部屋を歩いていると、奥に扉の取手を見つけた。...ここから出れる!

私は急いで扉を開けた。そこを出ると廊下だった。さっきまでの廊下はここまでずっと繋がっているのだ。奇妙な下り坂になって。

私はその坂の廊下を駆け上がり廊下を走り階段を降りて、台所まで走った。

そこには、料理をしている母がいた。そのごたごたの台所に、ゾンビのような祖父が座って何か食べている。助かった。

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第④話はここまで。次回も奇妙な家の迷路は続きます。ご期待ください。


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