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本という武器の選び方|ひよこ家の読書交換日記③

夫婦でやり合う読書交換日記、前回の旦那の記事から、期限の1週間を超えてペナルティ(罰金)が発生してしまった。

期限ぎりぎりの夜、旦那が外食に誘ってきた。今日ごはんに行けば、間違いなく期限超過して、罰金を支払うことになる。旦那はそれを受け取れば、自分のごはん代が少し浮く。他人を貶めて、自分は得をしようという算段である。そんな誘惑には・・・・・・、のった。

自分で決めたルールだけど、もう変えたい。

▼前回の記事

課題図書①の感想の感想

▼課題図書①

前提として、私は物覚えが非常に悪い。

人の名前や顔をすぐ忘れる。
一晩寝ると、何に怒っていたか忘れる。
他にもたくさん忘れるけど、何を忘れたか忘れる。

特に、コンテンツに関する物覚えは絶望的で、
本・映画・ドラマの内容をことごとく忘れる。
この課題図書に関しても、例外ではない。
自分で課題を出して、内容をすっかり忘れていたが、旦那の感想を読んで、ようやく思い出した。

私がこの本を評するとすれば「天才ビートたけしという芸人ごときが指南する、『悪口は機転だ』というたった一言を最高に痛快に長ったらしく語った本」である。

そう、私はこの本を読んで絶望したのだった。

口の悪い私が、口の悪さをうまく扱って、笑いをとれるようになったらいいのに、と期待して読んだ本。だけど、書いてあったのは、タイミングや間を取るセンスがないと、愛される悪口なんでできないよという内容だったのだ。

そんなの、これから身につかないよ〜。コマネチ!

課題図書②の感想

旦那が出してきた課題図書、いきなり新書ときた。かしこそうだ。

ページを開くと、表とかグラフとかが並んでいる。まずい、絶対眠くなるやつだ。

ここで、私の特技を紹介しよう。

ページをパラパラめくること10秒くらいで、なんとなくこの本の雰囲気、著者のキャラ、自分に合っていそうかが分かる。
小学生の頃に、圧倒的な刊行スピードで有名な赤川次郎氏のミステリー小説にはまり、本屋で何百冊も並ぶ氏の著作を前に、次はどれを読もうか、少ないお小遣いで厳選し続けた結果である。

この課題図書をスキャンしてみた。

  • 理系版の『思考の整理学』

  • 理路整然としてて、ねっとりしていない

  • 表とかグラフとかあるけど、ギリギリついていけそう

なんとか旦那に本を突き返すことなく、読み進めたものの、やっぱり眠くなって期限を超えてしまった。だってだって、転職したてで、毎日眠いんだもん。春なんだもん。

がしかし、非常に有用な本だった。

春は眠いよね

筆者は、いろいろな社会問題を引き合いに、その問題の捉えられ方、メディアでの取り上げ方、なぜそのように取り上げられたか、取り上げ方は正しいのかを、元データにまでさかのぼって検証する。

引き合いに出すお題は、出版当時を反映して、「少年犯罪」「ゲーム脳」「携帯電話とペースメーカー」「ゆとり教育」と古い感じだが、検証する過程の確かさは風化しない。

たとえば、ゆとり教育が始まってすぐ批判にさらされた。その大きな発端は、国際学力テストでの成績低下だったが、テストでの国際順位が下がった原因を詳しくみると、一概にゆとり教育を批判する材料にはならないと提示する。

  • 初参加の国がいきなり上位にきた(順位表の検証)

  • 順位は下がっているけど、前後の複数か国と、とった点数に統計的有意差はない(点数の検証)

  • テスト問題は、それまでの詰め込み型教育で行っていた暗記型問題では正答率が高く、思考型の応用問題で低い(出題内容の検証)

情報化の時代(という言い方すら古いけど)、こうした一次情報に誰でもアクセスできるので、惑わされず自分の見解を持とう。「ウソ」を見抜く、自分なりの視点を持とうというのが筆者の主張だ。

・・・ところだけど。あらゆる社会問題に、いちいちこの態度をとっていたら時間がいくらあっても足りない。正直こうした行為は、有識者や専門家にまるっとおまかせしたい。

グラフ読むの、つらいよね

だから私たちは、テレビやSNSで、「この人の言葉なら信頼できる」という、『マイ識者』を追いかける。

マイ識者の発信する見解を、確からしいと無根拠に信じて、それをさも自分の見解かのように発信する。

ん?

あれ?

これって、一歩間違えると、「ネトウヨ」的な、すごく偏った道に突き進む可能性がありそう。自分が正しいと思ってフォローした識者たちが、みんな同じ方向を向いた人たちになったら、「ぜったい正しいに決まってる」「これが世界の真実」と信じちゃうよね。。。

んむむー、困った。

筆者のように、全部を事細かに検証することはできないけど、「どんなに信頼できそうな人が言っていても、鵜呑みにしない」「他の主張も検証してみる」「アクセスできる一次情報にはさわってみる」といった態度は必要らしい。

旦那にとって、この本は今でも、情報の見分け方の羅針盤になっているそうだ。

たしかに、コロナが流行り出したころ、感染の仕方すら不明で、家から一歩でも出たら感染しちゃうんじゃないかと、みんなが買いだめして怯えてたころ、東京都が出す感染者のデータベースを分析して、「正しく怯える」あり方を自分なりに考えていた旦那がいた。くやしいけど、マイ識者認定。

課題図書③

何か言い返してやりたいが、この土俵で戦っていては、勝てないことがよくわかった。

次の課題図書は、私がいちばん好きな本、自分にとっての「エロ本」とも言える。毎度恍惚とする、こちらを読んでいただきたい。

好きすぎて何度も読んでいるので、内容もだいたい覚えている。

この本を否定されたら、夫婦生活の破綻も予想されるが、こちらの土俵に引き込まないと辛い。純文学を右脳で読め!

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